第6話


 彼女のワンピースからは、ぼたぼたと水が滴っている。


「なぜ、見せてくれたんですか」


「言っただろう、そなたが気に入った、と。本来ならば、本当の姿である人魚の姿はヒトに見せてはいけないんだかな。そなたは特別だ」


「特別…」


 彼女がボクのなにを気に入ってくれたのは分からないが、そう言ってもらえるのは素直に嬉しかった。


「名前、聞いてもいいですか? あ、ボクは佐野さの 由都よしとと言います」


「良い名だな。わらわ翡翠ひすいだ。よろしくな」


「こちらこそ」


 この日から、ボクたちは度々会うようになった。


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