第5話


 彼女は一息ついて、海に入っていく。今頃気が付いたが、彼女は裸足だった。


 足首まで浸かり、膝下、太もも、ついには腰まで浸かる。


 ────パシャッ


 小さく水飛沫みずしぶきが飛ぶ。ボクは目を疑った。


「少年!…いや、青年。どうだ?」


 彼女は海面から出ているをゆっくりと動かし問いかけてくる。


「どう、って…」


「驚いておるな。まぁ無理もないがな。見て分かる通り、わらわはヒトではない。故に、そなたより長く生きておる」


「だから話し方が変わっているのか…」


「そう感じるのなら、そうなのだろうな」


 彼女はこちらに戻ってくる。ボクたちヒトが海から上がってくるように。

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