第48話④ ロストバージン…菜桜の場合(ラブホで遭遇)

 何ということでしょう!

 時を同じくして、隣の部屋にラッキースケベの神様二人。

 ユキと桃代だ。


 爺婆が有喜を遊びに連れて行き、一緒に遊べなかった結果、ここにいる。


 実は何を隠そう、別れてから今日まで一度もえっちしてない。

 永かった。

 入籍してようやくその気になることができた。

 今日がその記念すべき一発目。

 久々の合体に心躍らせやってきた。


 車庫にクルマを止めて降りたとき、隣の車庫には見覚えのあるクルマ。

 ナンバーを見て、


「ねぇこれ、千尋くんのクルマよね?」


「うん。でも、千尋くんっち彼女おったんやか?その辺全然聞いたことないき知らんけど。」


「デリヘルかな?」


「どーやろ?」


 そんな推理をしつつ部屋に入る。



 口づけ。

 舌を絡ませ、いー感じに盛り上がる。

 ジーンズのチャックを開け、パンツの脇から指を入れると…既に大変なことになっていた。かなりの量垂れてきている。

 ちなみに今日はちゃんと女パンツだ。


 互いの我慢も限界。

 早速服を脱がせにかかる。

 まずは上。

 上着を脱がせ、トレーナー。

 そしてTシャツ。

 ブラをしていた。


「おぉ~!普通のブラ。」


「何がいーたいと?」


 わざとらしい怒り顔。


「ん?オレが知る限りじゃ、してないかスポブラやったき。」


「ふっふっふ!ワタクシも進歩したのだよ!」


 得意げに胸を張る。

 即座に突かれ乳首にヒット。


「ンあっ!もー!バカ!」


 感じてしまう。

 そして致命的な事象に気付かれる。


「あれ?だいぶんちっこくなったよね?」


 5月。再会した時は勿論、桃代のクルマでドライブ中に触ったときよりもさらに小さくなっていた。

 あばら骨感が強い。


「あ~っ!一番ゆったらいかんことゆった!なんでそこ気付くかな~。」


「もしかして気にしちょったとか?」


「当たり前て!せっかくホントのブラできたのに…こぉ。もぉ結構ブカブカになっちょーし。」


 そう言って見せる。


「別にオレは気にせんけどね。」


「ウチが気にすると!ぺったんこやったらカッコ悪いやろ?」


「ははは、そんなモンかね?」


 そんなやり取りをしつつホックを外した。

 桃乳があらわになる。

 小さくなったとはいうモノの、ユキの記憶にあるのよりはるかに大きい。


「デカ!こんなにあったって!」


 絶賛感動中のユキ。思わず声に出してしまう。


 ユキはデカいと言ってくれているが、幼馴染の中じゃ圧倒的小さい。

 桃代の次に小さい千春ですらブラをし忘れないほどにはある。だから谷間は少しあるし、今の桃代より数段大きい。

 桃代はというと、谷間なんか一生懸命寄せて上げて作らないとできない。

 ごくうっすらと盛上っていたのが、今は小さいなりに確実に盛り上がっている、という程度。辛うじてブラができるといった状態である。


「嫌味か!」


「まさか!本気の感動くさ。」


「はいはい。」


 半ば呆れ気味。


 上半身を脱がし終わりそっとベッドに寝かし、キスしたり乳首を舐めたり。

 久々にいじくってもらっているから感度がエライことになっている。

 恐らく今までで一番感じている。

 身体をよじらせ、結構大きめの色っぽい声が出まくる。


 愛撫が下半身へと移行。

 ジーンズを脱がせにかかる。

 あまりの気持ちよさに気を取られ、予防線を張っておくのを忘れていた。

 徐々にずらしていき…ユキの脱がし作業が止まる。

 反射的に、


「ふぁ!」


 変な声で叫ぶと同時に、転がりうつ伏せる。

 が、あまり意味がなかった。

 前だけじゃなく、横まで見事にそうなっている。

 隠すつもりは更々ないが、バレるのは恥ずかしい。

 なんとも我が儘な理由なのだ。


「ねぇねぇ、桃ちゃん?このお腹周りのヒビ割れすごいね。これ何なん?どげしたん?前はなかったよね?」


 上半身を起こす。

 ユキはそれを指でなぞりつつ問いかける。

 特にドン引く様子はない。むしろ興味深げだったりする。

 少しホッとした。


「うん。これ妊娠線。」


「何それ?」


「妊娠したらできる。これ、ユーキがお腹の中でおっきくなっていくときにできたっちゃ。急激に大きくなるもんやき、こげなってしまうん。なんか、こげなりにくい対処法とか色々あるみたいやけど、あんときは全然知らんで…おかしかろ?」


 恥かしさも手伝って、思わず大説明。

 焦りまくってヌレヌレな雰囲気がどこか遠くに吹っ飛んでしまっていた。

 でも、


「そっか~。お母さんの証拠なんやね!なるほど。オレ的にはむしろ誇るべきと思うけどね!」


 そのままお腹に愛おしそうに頬ずり。

 気にしていただけにとても嬉しい。


「次、妊娠したらこれ以上にヒビ入るやか?」


「さぁ…どーやか?してみらんと分からんね。」


「じゃ、妊娠してみる?今日、ナマで中出ししてみよっか?」


 すっごくキラキラしている。


「いーけど。でもすぐに妊娠するかどーかは分からんよ?」


「ま、そこは自然に任せるとゆーことで。」


「分かった。んじゃ、いーよ。」


 結果から言うと、結局この日のえっちでは妊娠しなかった。

 妊娠したのはもう少し後のお話。


 始める。

 久しぶりだ。

 ナマでした記憶はそんなにはない。試しに入れた程度でガッツリ腰を振ってない。そして、中出しの経験も無かったりする。


 感想は?

 ゴムした時と全く違う!

 一体感があって良い!

 摩擦っぷりが素敵過ぎ!

 それはもぉ気持ちよくて気持ちよくて!

 気が遠くなりかかり、大量に汁と声が出た。


 中出し。でったん嬉しいやん!




 一発目が終わって抱き合い、マッタリしていると…隣の部屋から極々微かだけど、時折女性の悲鳴っぽい声が聞こえる…ような気がする。

 気のせいかとも思ったが、二人とも気づいたので気のせいではなさそう。


「千尋くんおる部屋からなんか聞こえん?」


「ウチも思った。何やか?叫び声?」


「なんかそれっぽいよね?どげな激しいことしよるんやか?」


「さーねー。」


「あとで聞いてみよっか?」


「うん。千尋くんならおしえてくれるやろ。」


 興味津々だ。

 顔を見合わせニヤッとする。

 そしてハッとなる。


 向こうの声が聞こえたということは、こっちの声も聞こえた、ということでは?


 大きい声を出した自覚はある。

 心配になってきた。


「もしかしてウチの声も聞こえたやか?」


「どーやかね?」


「聞こえちょったら恥ずかしいね。」


「隣におったのは知らんかったことにしちょこ?」


「そやね。」


 聞いたら隣の部屋にいたことがバレるのに気付き、千尋への追及は思いとどまった。



 そして二発目。

 またもや大きい声が出まくった。

 問題なほどに感じてしまっている。

 しかも完全に病みつきだ。

 恐らくこれを機に、しばらくは狂ったようにやりまくることが予想される。

 以前、互いの部屋でやっていた時は声を抑える術を身に着けていたが、今日は全く制御できてなかった。


 これじゃ家でできんやん!毎回ラブホ?そんなんお金かかり過ぎるし!


 深刻な事態である。

 二人、話し合う。


「ウチ、どーしても大きい声出てしまう。我慢できんごとなっちょーみたい。どっちの家でもできんよね?毎回ラブホとかお金かかり過ぎやし。」


「困ったね。どげしよっか?」


「家の人おらん時限定?」


「それは難しいよね。」


「多分、いっときは毎日のようにしたくなると思うよ?」


「毎日ラブホはツラいね。クルマの中で、とか?」


「それもするけど…いっつもクルマっちゆーのもねー。」


「そーだ!プレハブの部屋買お?まだ貯金あるし。ホームセンターに展示してあるやん!」


「それいいかも!庭に建てればいいよね?」


「うん。そげしよ。」


 えっち時の声対策が決まった。

 家族に相談したらOKが出たので正月休みの間に注文をした。



 それはさておき。

 なかなかの充実っぷりであった。

 しばしマッタリした後、帰ることにする。

 料金を支払い、


「じゃ、帰ろ。」


 部屋を出た瞬間、とんでもないことが起こる。


「げっ!ユキ!」


「へ?千尋くん?と…菜桜ちゃん?」


「菜桜?あんた、いつから?」


 ガチ会ってしまっていた。


 出るときドアの音、気にしとかないかんやった!


 でも、もう遅い。


 菜桜は、


「………。」


 恥かしさのあまり、無言を決め込む。

 桃代は意地悪い笑みを浮かべ、


「菜桜~?後で家行くき、話聞かせてね?」


 今までいじられてきた分のお返しをする気満々だ。

 菜桜はそっぽ向いたまま、目すら合わせようとしない。

 他の客がいつ出てきても入ってきてもおかしくない状況なので、とりあえず帰宅することにする。


 それぞれのクルマに乗り込み帰っていく。



 ラブホは山の中で、周辺には何の施設もなく、しかも一本道。

 ユキのクルマの後ろにクルマが付く。特に気にせず運転していると、桃代のスマホに着信音。

 確認した瞬間血の気がサーッと引いていく。

 ヒカルから「お疲れ!何発やった?」と、入っていた。


「なんで?なんでヒカル先輩知っちょーん?」


 青ざめた顔で、後ろを振り返ると同時にパッシング。


「げっ!最悪!後ろのクルマ!」


「何?どげしたん?」


「龍先輩のクルマ!ヒカル先輩横に乗っちょー!あ~あ…休み明けまたからかわれる。」


 ユキは掌を顔に当て


「あっちゃ~…」


「ここ、道一本やし…何もないき、ラブホから出てくるの見られんでも何しよったかモロバレよね?」


 今日ほどクルマを白か銀にしとけばよかったと思ったことはない。色とナンバーで即バレだ。かといって桃代のクルマでも即バレるし、ミニカでもバレる。エロいことするのには全く向かないクルマばかり。3台ともお気に入りなのだけど、今、この瞬間だけは後悔する。


「そーやね。遠いところのラブホにすればよかったね。」


 今更何を言っても遅い。

 ミラクル2連発、な一日であった。

 休み明け一発目、何を言われるか考えただけでゾッとする。

 風香には間違いなく今日バレる。多分この後メッセージが来るはず。

 先の展開が見え見えだ。

 二人して諦めた。

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