第46話③ 新車(再会記念で酒飲んだお話)

 再会してから二週間後の金曜日。

 会社の飲み会でいつも利用する大きい方の居酒屋にて。

 今回は男がもう一人。涼が参加するので海がいる。

 海は実家にいるため、ユキとはちょいちょい釣りに行ったり家飲みしたりしている。千尋と大気は実家を出て一人暮らしをしているため、長期休暇の時しか会うことができない。

 特に大気は県外なので尚更だ。

 この中の何人かで飲むことは結構あるが、これだけ揃って会うのは高校卒業以来初めて。


 さてさて何が起こりますやら。




 座敷に上がり全員着席。

 生中が配られ、行きわたったところで、


「「「かんぱーい!」」」


 一気に飲み干す。

 仕事終わりの一杯。

 サイコーだ!


 ユキの隣には桃代。

 これはまぁいつものコトとして、反対側には当然のような顔をしてミクが座っている。

 友達としては大好きなのだが、こういうコトを平気でしてくるトコロが桃代的に凄く嫌なのだ。

 自分に自信が持てない桃代にとって、ミクはものすごい脅威。今日は何をしてくるか心配でたまらない。

 だから、


「ミク?お前、なしフツーにユキくんの隣?あっち行け!」


 早速追い払いにかかる。


「ん?ウチ、ユキ好きやし。桃も知っちょろーもん?」


 盗るつもりはさらさらないが、好きなのは本当。隠すことなく自分の思いを口に出す。

 ユキは照れまくっている。

 これがまた気に食わない桃代。

 しかも、あることに気付いてしまった。


「おい!お前、いつからユキ呼び?何で?」


「ん?そーやねー…高校卒業する時?それからずっとばい。」


 悪い笑みを浮かべながら平然と答える。

 全く知らなかった。


「そげ前から?なんがあったと?」


 心配になり、あからさまに声のトーンが落ちる。


「ん?色々。」


 意地悪い笑顔でからかっている。

 久しぶりにユキと桃代が一緒にいるのを見て、やはり二人の心の繋がりは強いと改めて思い知らされたため、せめてもの抵抗をしているのだ。


「その話、詳しく!」


「知りたいんなら特別におしえちゃろ。ん~っとねー、何から話すかな…あ!そうそう!この間した。クルマ契約した後ね!気持ちよかったよ。ユキ、舐めるの上手。それだけで3回イッた。」


 ニヤッと笑う。


「ウソ?」


 心配が頂点に達し、


「ユキくん…ホント?」


 鼻声で聞いてくる。

 既にウルウルなっていた。

 ユキはヤキモチ芸に苦笑する。

 これ以上続けると泣いてしまうのはミクも知っている。

 だから、


「ウソよ。してないしてない。」


 すぐにネタバラシ。


「もぉ!バカ!いらんことばっか言いやがって!信じかかったやねーか!」


 プチ発狂。

 ユキが絡むとどうしても感情が先走り、ウソが見抜けない。

 何回同じようにからかわれても、必ず引っかかり同じ展開になる。

 そしてみんなから笑われる。

 一児の母となっても幼さと残念さは健在なのだ。

 ミクが桃代をからかっている間に、串モノや刺身の盛り合わせなどがやってくる。

 みんな一杯目の生が空になりつつある。


「さぁ、飲むよ!頼も?」


 ユキが声をかけ、桃代とミクに飲み物のメニューをわたす。

 桃代はいつもの果実の入った炭酸系のを頼む。

 ミクは芋焼酎「若造」の水割り。水割りセットと、キープを持ってきてもらう。以前会社の者ときたときにしていたキープを勝手に飲んでいた。

 自分の好みの濃さに割り、氷を入れ飲んでいる。


「お前、イモやら飲むん?渋いね?」


 かなり得意じゃない芋を美味そうに飲んでいるミクに大人を感じ、ちょっとだけ羨ましがっている。


「そう?桃も飲んでみたらいいやん?」


「ウチ、芋は臭いきあんまし飲みきらんのよね~。」


「無理に飲めとは言わんけど、魔王ならフツーに飲めるかもよ?ロックで頼んで好きなごと割ったらいーやん。」


「そーなん?じゃ頼む。」


 そして、再度芋焼酎にチャレンジするのだった。

 すぐに来る。

 ロックのまま飲んでみて、


「あ!大丈夫かも。あんまし臭くない。ミクのは?ちょっとちょーだい?」


「はい。」


 飲んでいるのをわたすと、


「うえ~…こっちはやっぱダメ。」


「ゼータクなヤツやな。魔王、高いんぞ?」


「うそ?なんぼ?」


「チョイ前、一升瓶で一万ぐらいしよった。今はなんぼするか知らん。」


「ふぇ~!庶民の飲み物じゃないね。」


 魔王にビックリの桃代であった。


「ユキくんは魔王とか知っちょった?」


「うん。オレもこれ好き。ちょっと頂戴。」


「はい。」


「久々に飲んだ。これ、あんまし臭くないき、芋苦手の人でも意外とイケるっちゃ。」


 焼酎のハナシで盛り上がっていると、頼んでいた料理が続々と出来上がり、テーブルの上がにぎやかになってくる。




 あれから結構飲んだが、今のところ桃代の記憶はまだ飛んでないっぽい。

 キス魔が発動してないのが何よりの証拠。


 食べながら飲みながら、なんとなく涼の方を見ていた桃代。


 ん?涼ちゃん…。


 経験者だから気付いてしまった僅かな変化。引き締まった筋肉質な身体で、抜群のスタイルだったはずだが、前回の女子会の時と比較すると、明らかに優しい丸みを帯びていた。でも、それは太ったのとは全く違う。髪も脱色を止めてずいぶん経っているみたいでプリン状態が進んでいる。ゆったりとした服を着ているし、多分これは…。


 聞いてみることにした。


「ねえねえ、涼ちゃん?」


「ん?」


「今、お腹に赤ちゃんおるんやない?」


「なっ!!なんでわかった?」


 呆気なく正解してしまった桃代。実は美咲と渓も、妊娠した時の桃代を見ているのでなんとなく分かったらしい。テーブルの反対側で「やっぱし」と頷いていた。

 舞とミクはまだ妊娠の経験が無いため、見抜いたことに素直に感心している。


「ウチ、経験者やきね。おめでとう!海くんもお父さんやね。」


「うん、ありがと。」


「実は結婚式も決まっちょーっちゃ。近いうち手紙行くと思うきみんな来てね!そっかー…桃、子供産んだコトあるき、分かるんよね。」


 感心しっぱなしの涼。

 海はこの場で発表するつもりだったから、


「あ~あ。バレてしまったね、涼ちゃん。それにしても桃代ちゃん鋭すぎ!オレ、もぉちょいして、この場が落ち着いたら発表するつもりやったんよ。ビックリやねー。そっかー…経験者なら分かるんよね。」


 わざとらしく残念そうに振舞う。


「ごめん!ウチいらんことした!」


 焦って手を合わせ、謝ると、


「いやいや。別に隠しとくつもりはなかったき。」


 海は手を振りながら笑う。

 ミクと美咲と渓は、


「結婚かぁ~…いーなー。ウチら、いつになるっちゃか。っちゆーか、相手やら現れるんやか?」


 ユキで拗らせた者同士、しみじみとなっている。


 舞は相変わらず地味なので、最初からあまり喋ることなく、それでも暗いということもなく、ちゃんと存在感はあって、楽しげに笑いながら相槌を打っている。なんというか…落ち着きがある。この中で、一番大人だ。ちなみに近所の県立商業高校の簿記の先生をやっている。バカ話にはのるけどぶっ壊れないところはさすが先生だ。




 さらに飲む。

 どんどん崩壊し始める。

 涼は妊娠中なのでそんなに飲まないが、あとのヤツらは…


 桃代はユキにキスをしていた。

 渓は泣いている。

 美咲はデカいイビキをかいて寝ている。

 舞は起きている誰かと代わる代わる話ししている。泥酔しておかしなことにはならなそう。

 海は元々が大人しいのでゆっくり飲んでいるだけ。

 ミクは…暑くなり上着を脱いでTシャツになっているのだが、これがまたかなり緩めで、胸の谷間や脇が見えまくり、とにかくエロい。勃起モンだ。相変わらずユキの隣で飲んでいて、桃代をからかっていた。

 ユキの腕を引っ張って胸に当て、


「ねぇ。これ、どげな感じ?」


「柔い。いー感じ。ずっと触っちょきたい。」


 ヘラ~っと笑い、


「こら!バカミク!そげなことすんな!ユキくんも喜ばん!」


 二人して桃代に怒られている。

 どうやらミクは、酔うと好きな人に対して積極的になるらしい。

 怒られても、懲りる様子が全くない。

 チラッと桃代を見て、再び、


「こぉ!」


 ユキを自分の方に向かせ、シャツの首元を広げ見せつけていた。

 ギョッ!と目を見開き、


「は~…でっけ~!」


 真剣に感動していた。

 谷間が凄いことになっている。

 いい匂いがする。

 大接近して中を食い入るように覗き込んでいる。

 アホである。

 そして、


 バシッ!


 二人とも桃代に頭をはたかれ、力任せに引き離される。

 バカ力は今なお衰えていない。


「こら!ユキくんは!ミクはいらんことせん!」


 大激怒である。

 ミクは全然懲りてない。

 再度、ユキを引き寄せ、


「ユキ、はい。」


 ここで神降臨!

 再度同じことをやった時、力加減をミスり、ブラにも指がかかり、一緒に捲ってしまっていた。

 ダイレクトに乳首が見える。


「…いーね。」


 ボソッと言うユキ。

 ドアップで確認。目に焼き付けた。

 ミクの顔を見て左目を瞑り、サムズアップする。

 一気に血の気が引くミク。

 流石にこれは気が狂いそうになるほど恥ずかしかった。

 今まで乳首なんか誰にも見せたことがない。

 菜桜達と同じくユキへの思いを拗らせ男を作れないでいたため、この年になっていまだに処女なのである。


「今のナシ!」


 叫んで、胸元を押さえ、反対向いて超絶赤面しているミク。

 罰が当たった。


「ほらみろ。いらんことするき罰が当たろうが。っちゆーかユキくんにそげなもん見せんな!ユキくんも喜ばん!」


 呆れながら怒っている。

 ミクは、


「ユキ?見えた?」


 見えてないことを祈りつつ聞いてみる。


「バッチシ先っぽまで。デカいし色白いしピンクやし、でったんキレーやね。」


 感動しすぎて、笑顔がとんでもないことになっている。


「乳首まで見えたん?」


「うん。ありがと。また見せてね。」


 もう、ホントバカである。

 ミク的には恥かしかったけど嫌じゃなかった。どちらかというと嬉しい方が強い。

 なので、


「バカ…でも…ユキでよかった…」


 思わず本音が漏れる。

 ハッとなり、口を押え赤面してしまう。

 この仕草がとてつもなく可愛い。

 ユキもたいがい恥ずかしい。


「お前、何いーよんか!ユキくんはウチのんぞ!」


 桃代が怒りまくる。ハッキリと意思を主張している。ということは既に記憶がない。

 ここ数回の飲み会で、記憶が飛んだ時の桃代の様子は大体理解できていた。明日はまた朝から説明しなくてはならない。そんなことを考えながらユキは苦笑していた。


 既に美咲は深い眠りについている。

 渓は泣き疲れてやはり寝ている。

 涼は海に寄りかかってやはり寝ている。

 舞はこのバカバカしいやり取りを見て微笑んでいる。

 桃代はミクがユキにいらんことをしないよう、ユキとの間に入ってミクの攻撃を防御中。


 続行不能。

 おひらきだ。

 ピンポンを押し、店員さんに指でペケをし会計を済ませて店を出た。




 歩きで帰ることになった。

 ミクと舞は逆方向。

 涼も本来は逆なのだが、既に結婚することが決まっているので海の家に泊まる。

 妊婦さんなので二人はタクシーに乗って帰った。

 女性二人を暗い中歩いて帰らせるわけにはいかないのでユキが送る。ミクの攻撃が心配なので当然桃代もついてくる。そうなると、美咲と渓が二人で帰ることになるのでこれまた危険だ。タクシーを使えばいいのに、全員が金をケチって「歩く」と言い出した。結局逆方向経由で家まで歩くことになる。

 ミクと舞の家は居酒屋からそんなに離れてない。

 舞はそんなに飲んでないらしく、普段と変わらない歩き方だが、ミクが…。結構ベロンベロンになっていて、ヨロヨロで危なっかしい。桃代よりも足にきていた。

 絶対的な力では、ユキがいくらヘボいとはいえ男だ。舞よりは強い。舞に支えさせてコケたりすれば、二人とも大ケガ、という事態にもなりかねない。ユキがミクに寄り添い歩く。桃代はというと…これまたいつもの如くベロンベロンで、一応ちゃんと歩けるのだが、ユキに抱きついてキスしながら歩きたい。二人同時にしがみつけないので我慢して、一生懸命自力で歩いている。ユキとミクの状況を見せつけられ、どんどんユキ成分が欠乏していく。


「ユキ~…へへへ。」


 酔って頬がほんのり染まり色っぽい。

 やたら手をつないでくるので、


「こら!バカミク!離れんか!」


 桃代からチョップで切られ怒られる。

 明日になれば、今のこの状況をはっきりとは覚えてないのだけれど、ユキが他の女に何かされそうなのだけは本能で分かるらしく、くっついたり、仲良さそうにしているとヤキモチスイッチが入るのだ。

 ちなみにミクは飲んでも記憶が飛んだりはしない。


 それにしてもよほど嬉しいらしい。

 何回切られても、また恋人つなぎ。片時もユキから離れようとしない。

 好き好きオーラ出まくりなのが桃代に分かってしまっていて、先程からブーたれている。


 ほどなくしてミクの家。


「長谷さん、今日は楽しかったね。また一緒飲もうね!」


 社交辞令じゃない。

 ホントに次がある。

 そう思える言葉をかけてくれるから大好きなのだ。

 だから、


「また誘ってね。」


 笑顔で答える。


「分かった。おやすみ。」


「うん。おやすみ。」


 優しく微笑み、家の中に入っていった。




 次は舞。

 口数はミクに比べ圧倒的に少ない。

 学生の頃からそうだった。

 そんな舞が口を開く。


「ミクは小路のこと今でもでったん好きなんやね。」


 ミクの見たままの状況を口にする。


「そ。最大級に警戒しちょかないかん人物。」


 桃代からすれば第一級警戒人物なのだ。


「あんたも自信なさ過ぎやけどね。もぉちょい小路信じちゃらんと。」


 優しくダメ出しをする。

 舞はこの中で唯一、ユキに対して恋愛感情がない。

 幼馴染達の関係を冷静に見ることができる人だ。

 まぁ、ユキと深く関わる機会がなかったから、そうならなかっただけのハナシなのだが。

 もし幼馴染だったり、ミクのように何か係の仕事を一緒にしていたとしたら、舞もどう変わっていたか分からない。

 それはいいとして。


「じゃーね。今日はありがと。また呼んでね。おやすみ。」


「うん。おやすみ!」


 小さく手を振って家の中へ。




 ここからまた歩いて帰らないといけない。

 居酒屋からの距離の倍近くある。

 ということは、いつもの倍チューできる!

 舞が家に入っていったのを確認した瞬間。


 チュッ!


 早速抱きしめてキスをする。


「ホントにもぉ…バカミクは…」


 小声でブツブツ言っている。

 ここまで歩いた時間、ミクがベッタリだったせいでユキ成分が枯渇している。欲求不満がMaxだった。

 ガッツリ抱きしめ補給している。

 したいようにさせながらユキは歩く。

 渓は半分寝てしまっている美咲を支えることに集中していて、そんな二人にツッコむ余裕すらない。たまに膝から崩れ落ちるから、ケガさせないようにするのが大変なのだ。


「渓ちゃん、大丈夫?」


「うん。でも重い。」


 必死に美咲を支えながら歩く渓に声をかけながら。

 ちゃんと気にしてくれるユキの気遣いがなんとも嬉しい。

 やっと美咲の家。


「は~~~…やっと着いた。久しぶり長いこと歩いたら疲れた。」


「お疲れ。」


 美咲の家の勝手口をノック。

 やはり父親が出てきて、


「みんな、ありがと。いっつも寝かぶってごめんね。」


 礼を言うと抱え上げる。瞬間、力が抜けてグニャグニャになる。家に着いたのが分かっているらしい。親父からのお姫様抱っこ。


「おやすみ。」


 抱えられ、家の中に入っていった。




 渓は、


「お前チューし過ぎ!」


 歩きながら桃代にダメ出ししている。


「うるせー!いーやねーか!ミクがおったきできんやったとぞ!」


 しょーもない言い合いが続いている。

 家は近いのですぐに着く。


「おやすみ。また行こ?」


「うん。おやすみ。」


 渓は手を振って、家に入っていった。




 そして桃代。

 勝手口をノックしようとして、


「大丈夫!部屋変わってもらったき階段上らんでいい。」


 実に得意げだ。


 あ!そうやった。飲んだらこげなるき部屋が一階になったんやった。ついついいつもの癖で。有喜がこの前転げ落ちたっち言いよったし、それがいいよね。


「ユキくんおやすみ~…ただいま~。」


「おやすみ。」


 ヨロヨロしながら勝手口を開け、中に入ってく。

 帰ろうとすると、直後桃母が顔を出す。


「ユキくんごめんね。桃がまたぶら下がって帰ったっちゃろ?」


「ははは、まぁ。いーですよ、楽しかったき。おやすみなさい。」


「はい、おやすみ。ありがとね。」


 やっと長い長い歩きの旅が終わった。




 そして次の日。

 ミクから「昨日はありがと。また行こう」的なメッセージがくる。

 昨日のナマ乳が思い出され、改めてキレーやったな…と思ってしまう。

 その時のミクはというと、同じことを思い出し、照れまくっていた。


 で、やっぱし。

 10時過ぎになり、


『ちょっと来て!』


 の、メッセージ。

 すぐに行く。

 勝手口をノックすると、待っていたかのようにドアが開く。

 入るなり、


「おしえて!できるだけ詳しく!」


 いつもの展開だ。


「どこまで覚えちょー?」


「ん~っと…涼ちゃんのお腹がおっきいところ。そのあとから曖昧。ミク、なんかしよったやろ?」


 どうやらその程度の記憶はあるらしい。飲み方を変えたのだろう。帰郷直後よりは覚えていた。進歩している。


「あ~…聞きたい?」


「え?またなんか激しいことあったん?おっぱい関係?」


「まぁそんなトコ。」


「くっそ~!あのバカミク。で、アイツ何した?」


「胸元広げて谷間見せてくれよった。」


「は~~~…それでユキくん喜んだっちゃろ?」


 大きなため息のあと、ジト目で見てくる。


「そらー、あれほどのモノ、ナマで見せられて嬉しくない男はおらんと思うよ?」


「一般論を聞きよぉんやないと!ユキくんはどぉやったか。」


「ん?嬉しかったよ。乳首も見れたし。」


 正直過ぎる答えに怒りを通り越し、呆れまくる。


「はぁ?乳首まで?もぉ~…アイツ何してくれよーん?で?嬉しかったっちゃろ?また見たいと思ったっちゃろ?」


「そりゃまぁ。」


「バカ!アンポンタン!そげ巨乳がいーんか!」


「そんなことないよ。オレ、前にも言わんやったかね?桃ちゃんの感じやすいき好きっち。」


 本人を前にして、包み隠さず恥ずかしいことを平然と言うユキ。


「もぉ!うるさい!バカ!」


 顔を真っ赤にして照れまくる。

 なんとか気を取り直し、


「で?他には?」


「う~ん…大事件はそれくらい。あとは…何故かみんな歩いて帰るっち事になって。町田さんと海くんがタクシーで帰った後、長谷さんと鶴原さん送ってそれから帰った。」


「あ~…だき足がコワっちょーっちゃね。」

 訳:だから足が筋肉痛なんだね


「そうそう。だいぶん歩いた。いい運動になった。」


 というわけで説明会は終了。

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