第15話② ロストバージン(ホールインワンしてしまったお話)

 風呂に入っている間に夕食を用意すると言われたので、浴衣に着替え風呂に行く。


 女子チームは混浴に入るという。

 男子チームはその中に入っていく勇気がないので男湯で我慢する。

 でも、覗く。


 男湯の脱衣所にて。

 浴衣に着替え、タオルを被り、鼻の下で結んで武装する。

 女子チームが完全に入ったと思われるタイミングで行動開始。

 男湯の脱衣所から混浴に出入りする戸をそっと開ける。


「ほらね!」


「こら!スケベ!」


 完全に行動パターンを読まれていた。

 両脇に、バスタオルで武装した菜桜と桃代が立っている。

 怒ってはいない。

 むしろ楽しんでいた。


「しっしっ!はよあっち行け!ば~か。」


 追い返される。

 結局風呂の中は何も見えず、戻ることとなった。



 しかし、二人のバスタオル姿は拝むことができたから収穫あった。


「菜桜ちゃん、すごかったね。」


「うん。結構乳あったね。」


「桃代ちゃんも肌白いし、キレーかったね。」


「うん。」


 真剣に感動している。ホント、男はアホである。


 ヤバい!ムラムラする。

 今晩寝れるかな?

 絶対コキたくなるぞ!

 タマ●ンが痛くなってきた。

 見なければよかったと思った。



 風呂に入るとなかなかいい感じ。

 ヌルッとする系の湯だ。

 夕方から夜に移る時間帯。

 夕焼けが美しい。

 濃紺とオレンジ色のコントラストがなんとも言えないいい感じを醸しだしていた。




 風呂から上がり夕食。


 夕食の時、既に女子全員に覗きがバレていた。

 軽蔑されたり冷たくされたりすることはないけど、


「お前らあとで混浴入るっちゃろ?何らかの逆襲する!」


 と、菜桜にニヤケながら宣言された。




 山奥の旅館らしく、山の幸をふんだんに使った料理だった。

 ヤマメ…初めて食ったな。なんか美味い。

 牛肉の陶板焼きも美味しかった。

 山の幸、恐るべし!

 宿のおススメだけのことはある。




 大人たちは既にグデングデン。

 飲んで汗をかいたのだろう。また風呂に行くと言って何人か出て行った。


 子供達は食べ終わったため、全員で女子部屋に行く。

 いつものように、ヤラシイ話で盛り上がる。

 今回のターゲットは、ついに正式に付き合い始めた海&涼。

 えげつない質問の連続攻撃。

 恥かしさが止まらない!

 両者とも超赤面!

 無理矢理きわどいところまで吐かされ、ノックダウン寸前だ。

 こちらもどうやら指を入れるところぐらいまではしてらっしゃる!

 他人の話は聞いただけで勃起しそうになる。


 赤面&はしゃぎ過ぎて汗かいた。

 男チームは風呂に決定。


「女子大生とかOLのオネーサンおるやろか?」


 クソしょーもないコトで盛り上がる男ども。


 期待に胸と●ンポを膨らませ、いざ混浴へ!



 脱衣所にて。

 ユキは服を脱いだ時、チン先を触る。


「うわ~…結構な汁っぷり。さっきのが効いたね。」


 アホである。

 それにしてもヌルヌルだ。糸を引いている。

 間違いなく二人のバスタオル姿と生々しいエロ話のせいだ。

 千尋から、


「ユキ~…ちゃんと流して入れよ?お前の汁風呂とか、オレ嫌ぞ?」


 警告される。


「バッチシばい!」


 サムズアップで応える。

 とりあえずお湯をかぶり、ヌルヌルを丁寧に洗い流し風呂に浸かる。


 中にはまだ親達がいて、酒を持ち込みくつろいでいる。

 酒という楽しみがあるのはこういう時羨ましい。


 充分温もったので、風呂を縁取る大きな石に座り星空を何気なく見る。

 澄み切った夜空。

 ちりばめられた無数の星。

 星に興味はなくても一見の価値ありである。

 ひんやりとした夜の空気が火照った身体に心地よい。


 あ…流れ星…。


 なんかいい。

 このマッタリ感がなんとも言えずいい感じ。




 ボーッと星空を眺めマッタリしていると、女湯脱衣所出入り口が何やら騒がしい。

 目を移すと…うごめく肌色多数。

 女子チームだ!

 戸が開くとワラワラと入ってきた。妙にハイテンションである。




 脱衣所にて女子チームは。


 浴衣を脱ぎパンツを脱ぐ菜桜。

 片足立になり足を抜こうとした瞬間、


「やべ…ヨロヨロする。」


 パンツがつま先に引っ掛かりコケそうになっていた。

 桃代は、


「ウチも…うわっ!見てん!でったん汁が出よーき!汁がビラビラの外まで垂れてきちょーし!」


 垂れた汁を指ですくい取ってみせまくる。

 毎度のことながら残念過ぎる。


「バカかお前。なんそげ期待しちょーん?親おる前でハメる気か?」


 環からツッコまれる。


「誰が人前でするか!」


「まぁ、そぉやろぉね。どーせ人がおらんとこでもしきらんヘタレやし。」


「バカこけ!ウチ、処女やねーし!人おらんとこじゃ、バンバンするし!」


「はいはい。それ、聞き飽きた。」


「さ~!張り切ってまいりましょ~~~!!」


 完全に酔っていらっしゃる…。

 オイサンのノリだ。




 実はこいつら風呂場に行く前、調子こいて日本酒を飲んでいた。

 本来ならばジュース専門で、酒なんかには全く興味はない。

 子供の頃、親が飲んでいるのが美味しそうで、少し舐めさせてもらったことがあるが、アルコールの苦さが合わなかったため、見向きもしなくなった。


 なのに!


 たまたま「旅行」というシチュエーションがそうさせた。


 小腹がすいたので、宴会場で残った食べ物を漁っていたら、親の飲み残しがあり、興味が湧いて少し飲んでしまったら思いのほか美味かった。


「ちょっと甘いで美味しいかも。」


 みんなに回し、さらにもう少し飲んだ。

 もう少しが重なり…一人当たり量にして湯呑一杯弱。


 すきっ腹ではなくても飲んだ経験なんかないから抜群に効く。

 日本酒が足を襲い、理性を奪う。


「よ~しみんな!混浴いくぞ!」


 菜桜の掛け声とともに脱衣所へ。

 そして脱衣所のシーンへと戻る。


 ※警告:お酒は二十歳になってから!




 羞恥心と平衡感覚と服は、まとめて籠の中に放置。


「おい、桃っ!お前、なんタオル巻かんで入りよーんかっちゃ!」


 菜桜が叫ぶ。


「大丈夫~。これで見えんっ!」


「またやらかすぞ!聞きよぉんか?こら~!」


「うい~…聞いてますとも。」


 見ると、胸の上辺りから両手で摘まんで垂らしているだけ。

 そのままの姿で近寄ってくる。

 正直鼻血モンだ。

 目を逸らそうにも引力が強烈過ぎる。

 不可能だった。


 マッハで勃起する。

 尿道側が痛くなるほど勃起して脈打っている。

 洗い流したはずのカウパーが再び滲み出る。


 ユキたちは近付いてくる女子チームを見ておかしいことに気付く。


 ん?なんでみんなヨロヨロしよん?しかもテンションおかしくね?まさか酒飲んどるん?危ないなぁ。


 ユキの横には排水溝。

 温泉は排水溝付近が滑りやすいことがある。

 ここはまさにそれ。

 さっき滑って危なかったので警戒していたし、脱衣所にも注意書きがあった。


 ヨロヨロしながら徐々に近づいてきて、まさにユキの真横。


 コケなければよいが…


 思った瞬間、神降臨!

 期待は裏切るわけがない。


 ツルッ!


 お約束である。


「ぅわっ!」


 桃代が可愛くない声を発し、大きくバランスを崩す。

 バスタオルが宙を舞う。

 ここまではホントお約束である。


 ヤバい!コケたら頭打つ!


 ある程度の予測はしていたから即座に動けた。

 咄嗟にユキが下敷きになるように身体を滑り込ませ、頭を打たないよう庇う。


 よかった!間に合った。


 ユキの下腹部辺りに大股開きで尻餅をつく桃代。

 ドスン!という衝撃とともに


 ヌルッ!

 

 ヌルッ?


 ………?


 へっ?


 ヌルッ!ち…なん?


 意味が分からない。

 ユキの経験の引き出しの中に「ヌルッ!」はない。

 いー感じにキツく締め付けられているチ●ポ。

 なんか心地よく温い。

 先っぽが…いい。すごくいい!

 初めて味わう甘い刺激。

 虜になってしまっていた。

 と、同時に


 何?何?何事?何が起こった?


 ユキの目の前にあるのは桃代の白い背中。

 軽くパニックである。

 下敷きになり、ヌルッとして、ここまで約2秒。


 次の瞬間、


「いっっって~~~っ!」


 絶叫。


「なん?」


 みんな一斉に注目する。


「どげしたん、桃?」


「でったん血ぃ出よぉやん!どこケガしたん?」


 心配して全員が駆け寄ってくるのだが。


 そこにはミラクルな光景が繰り広げられていた。

 状況を理解した全員の目が点になっている。

 どんな光景かというと、具体的には。

 ユキの下半身に桃代が跨っていて…


 そして…


 ユキのチン●が桃代のマ●コにものの見事にホールインワン!!!


 ロストバージン。


 本来ならば感動的なイベントじゃないといけないはず。


 桃代は、海が見えるホテルで大好きなユキと結ばれる。

 嬉し涙を流し、髪をかきあげられ、そっと口づけをかわす。


 といった、ドラマのような展開を夢見ていた。

 がしかし、現実はどうだ?

 バスタオルは二人とも飛んでいってすっぽんぽん。

 エロい動画でよく見る男が仰向けに寝て女がその上にまたがって挿入する、それだ。

 ガッツリ股を広げているため結合状態がモロ見え。

 しかも大勢が見ている前で。


 大出血で、大けがしたみたいになってしまっている。

 そこに「ロマンチック」などという文字は無い。

 感動とはほど遠いものだった。


 幼馴染が群がってくる。

 そして全員で繋がった部分を観察しだす。アップで見るために、寝そべるようにして顔を寄せられる。

 各々が、


「うっわ~…エロ動画やらDVDと全く一緒やね!」


「ホントやね~。」


「こげなふうになるんやね。」


「エロいね~。」


「お前、散々処女やないっちいーよったばってんが…なんか?この血は?」


「まぁ、ウソっち知っちょったばってんがね。」


 感想を述べ合っており、心配などしてない。もちろん助ける者は誰もいない。


「なかなか見れるもんじゃないよね?」


 そりゃそーだ。

 ん~なモン、何回もあってたまるか!


 桃代はというと、


「ふぇ~ん…痛~い。恥ずかし~…」


 究極に赤面して、ついには泣きだしてしまう。


 変な体勢で&日本酒のおかげで足に力が入らない。

 つながった状態から未だ抜け出せずにもがいている。


「立てんし。」


 とてつもなく恥ずかしいカッコを惜しげもなく曝し続けている。

 状況を理解したユキはあまりの恥ずかしさで萎える。


「あっ!萎んだねぇ。」


「ホントね。抜けた。」


 いらんことを事細かに実況される。

 やっと合体解除。


 結局誰も起こしてくれなかった。

 背中を押し、身体をずらして脱出。

 未だ足腰の立たない桃代の脇の下から手を入れ起こしてあげる。


 乳に直で触れちょーっちゃけど、気付いていない?


 ごくうっすらと盛上るそれは、優しい柔らかさで…。

 できるだけ見ないように。

 でも視界には少しだけ入れて、触ったことには気付かないふり。


 乳、綺麗やな。


 とか考えながら、飛んでったバスタオルを拾ってわたす。


「…ありがと…」


 赤面しながら微笑んでくれた。

 今度はちゃんと身体に巻いた。


 お互いの大事なところが血まみれだ。


 洗い流して再度風呂に浸かり、温もって出た。




 15歳にして童貞を捨てました!


 強制的に合体!しかもナマ。

 感動の要素一切なし。


 目撃者多数。

 幼馴染全員と親も半分ぐらい。勿論桃母もいる。

 他の宿泊客もこの騒ぎには気付いていた。

 未曾有の大惨事。

 まだ告白すらしてないのに…順番が滅茶苦茶だ。


 とんでもないミラクルだった。

 もしかしたら宝くじ当てるよりも難しいかも。




 風呂から上がったら幼馴染全員から質問攻め。


「入れた感じっちどぉなん?」


「気持ちよかったよ。なんかでったん温かった。」


「入れられた感触は?」


「まだ痛い?」


「う~ん…そげん痛くはないけど、股になんか挟まっちょーごたー。」


 容赦なく根掘り葉掘り聞かれる。

 そりゃ、この中で入れたヤツおらんもんね。

 しょーがないか。


 しばしバカ話で盛上った後、男女別々の部屋に戻る。


 野郎の部屋ではまたあの話。


「ねぇ、ユキっちゃ。マ●コっちどげな感じ?」


 千尋が笑いながら容赦なく聞いてくる。


「温いよ。んでヌルヌル。入れたら気持ちいいのは分かった。」


「いーのー。」


「まぁね。」


 おバカな話題で再度盛り上がる。




 女子の部屋では


「桃、あんたよかったやん。ユキとヤレたんばい!」


「でも…あれはないよ。」


 しょぼくれる。


「いや~。いいもん見させてもらった。動画撮っちょきたかった。」


「バカ!何のエロ動画か!」


「羨ましいな。」


「ウソばっかゆーな!お前、人前でしたいんか?」


「それはイヤ。」


「ウチはしたんぞ。」


「爆笑。またいいネタできた。」


「みんなに言いふらかす。」


「頼むきやめて!」


「高校始まったら楽しみやのー。」


「たいがいせぇよ!」


 女子もこんな感じで盛上る

 でも最終的には


「よかったやん。ユキとできたんばい?そこは素直に喜んどかんと。」


 と、菜桜。


「うん。形はアレやったけど…やっぱ嬉しいよ。」


 と、桃代。


 次にするときは、「とびっきり感動的にする!」と誓う桃代であった。

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