第8話 ニューフェイス


 これをなんと形容すべきか……。


 イエティの欠片……は、なんかちょと気持ち悪い。

 真っ白なマリモを自立させて、トイプードルの目をくっ付けた感じ。

 大きさは、30センチくらい。もしこれがケセランパサランだったら相当に幸運なことが起こるだろう。


 その毛玉。ルルと名付けた毛玉が、俺の膝の上で眠っている。


「ルル~、こっちにおいで~」


 そんな様子を羨ましがってか、エミがキャットフードをチラつかせながら、自分のたもとへとおびき寄せようと奮闘中。


 しかし、俺はこのモフモフを離す気などさらさらない。


 まぁ、本来はエミがモフモフを欲しているようなので、旅の道中でとっ捕まえてきたのだがこの手触りは反則だ。

 人差し指でつっつけば第二関節まで優に埋まり、顔をうずめればシルクのようななめらかな感覚が肌を擽る。

 こう言ってはなんだが、毛皮にすればさぞ高価だろう。


「もぉ~、なんであんたにばっか懐くのよ!」


 いまや、ウェットタイプとドライタイプ、2種のキャットフードを両手に持つエミが地団駄を踏んでいる。

 なんだか優越感。


「猫じゃないから、キャットフードじゃダメなんだろ」


「今朝は、食べてたじゃない!」


「なら、腹一杯なんだろ」


「む~……ズルいわよ! カリヤばっかり! 私にも触らせなさいよ!!」


「おい! コラ! 邪魔だぞ、画面が見えん」


 こんな状況だが、現在進行形で勇者さんがダンジョンを潜っている。

 他の3組のパーティから異様な視線を浴びながら。


「なぁ、勇者さんの提げているショルダーバックから明らかに大根の葉っぱみたいなのが飛び出ているんだが俺の気のせいか?」


「いいえ、大根よ。昨日の晩ご飯もベルから貰った野菜で作ったんだから!」


 満面の笑顔で言うエミ。

 この1週間で彼女と勇者さんの仲は、相当に親密なものとなったらしい。

 それこそ、自家栽培の野菜を貰い、一緒に風呂に入ってしまうほどに。

 きっと気が合うだろうとは思っていたがこれほどとは……。

 久々の友達にエミも嬉しそうだ。


「仲良くするのは別に構わないが、自分が魔王であることを忘れるなよ?」


「解ってるわ……」


 それにしても、大根の葉が気になる……鎧姿の金髪女騎士が大根の葉をチラつかせるなんて光景なかなか見れないぞ。アイツは、周りの目とか気にならないのか?

 そのうち、大根とネギとフランスパンという、バックから飛び出しそうな3大食材を全てチラつかせてくるかもしれないな。

 勇者さんのことだ、きっと期待を裏切らないだろう。


「そう言えば、カリヤが雇ってきた従業員候補はいつ登場するのよ?」


 俺の旅は、それはそれはしょ~もないものであった。しかしだ、やるべきことはちゃんとやってきたのである!

 本日のダンジョンは、俺が旅のなかで仮契約してきた魔族たち(と言っても2人だが……)の試験会場にもなっている。

 あとはエミのお眼鏡に敵うかによって雇うかどうかが決定するのである。


「25階層で1人スタンバイしてるよ」


 


    ※    ※    ※




 勇者さんたちは、その光景を見て一瞬動揺したように足を止めた。


 それもそのはず、その階層には室内をビッシリ埋め尽くすほどの数の鎧人形ゴーレムが密集しているのだ。

 体長4メートルはあろう、巨大な鎧の騎士が軍隊のごとく整列する光景は壮観だ。

 このダンジョンにおいて、モンスターを見たことがない勇者さんの驚きは相当だろう。

 しかし、この鎧人形ゴーレムたちはみな俺が発注したニセモノ。魔法を利用したモーターでずっと同じ動きをしているだけ。1人を抜いて。


鎧人形ゴーレムだー!!』


 画面のなかで誰かが叫んだ、と同時に数人が一体の鎧人形ゴーレムへと飛びかかったが、当然のように鎧人形ゴーレムは瞬殺される。


『な!? なんだコイツは!? 鎧人形ゴーレムじゃないぞ!』


『モーターで動いてるぞ!』


『バカにしやがって!』


 早速バレたが、ここからだ。

 勇者さんたちは、ゾロゾロと先を急ぐが、さきほどのこともあって勇者さん以外、緊張感が希薄になっている。


『ダー!!』


『オイ! 何があった!? ガッ!!」


『なんだ!? なに、グガッ!!』


 バッタバッタと倒れ伏す人間たち。

 本物が動いた。ニマニマ……。


 画面の隅を何かの影が横切った。


『気を付けろ! 本物の鎧人形ゴーレムが潜んでるぞ!! ッガー!!」


 ようやく、1人の人物がその事実に気づき、そして散っていった。

 その頃にはもう、残っているのは、勇者さんたった1人であった。


『出てくるがいい! 可愛らしい鎧さん!!』


 流石は勇者さんだ、このゴチャゴチャした空間のなかで彼女の存在に気づくとは。


 彼女は、ニセ鎧人形ゴーレムの影から姿を現し、勇者さんの前で立ち止まる。


 それも、鎧ではある。

 特質すべき点が多すぎてなにから言えばいいか解らないが、一番目立つのは武骨なフルプレートアーマーの鎧にも関わらず全身がピンク色だということ、そして身長が140センチていどしかないことだ。所々に散りばめられたハートマークが可愛らしい。

 鎧の中身が空っぽであるという衝撃的な事実に対し、インパクトが弱い! と思えてしまうほど可愛らしい鎧だ。


『貴様、名前は?』


 勇者さんの言葉に、彼女は兜の側頭部辺りをカツンカツンと指で叩くという答えを返した。残念ながら言語を理解することはできるが、声を発することはできないのだ。

 勇者さんは、その意を汲んで兜の側頭部に目を凝らす。


『ピュア♡プル……』


 俺たちは、ピーちゃんと呼んでいる。


 ピーちゃんは、コクコクと頷いた。


『いい鎧だ……』


 いいところに気がついたな。

 ピーちゃんの鎧は、もとの世界で言うとこの電動自転車みたくなっており、駆動部分に魔力を流し込むことによってひとつひとつの動作をアシストしているのだ。

 そして、ピーちゃんは鎧を褒めるとメチャクチャ喜ぶ。


 案の定ピーちゃんは、『もっと見て!』と言わんばかりに勇者さんのもとへと駆け寄りカシャカシャと自慢のボディをアピールしている。


『おぉ! 王都でもここまで緻密なものを作れる職人はそうはいない!』


『ガシャン! ガシャン! ガシャン! ガシャン!』


 大分、話が弾んでいるようだ。




 十数分後。

『それではまた会おう!!』


『ガシャン ガシャン ガシャン』


 お別れを言うと、勇者さんは次の階層に進んだ。


 ーーあぁ……行かせちゃうんだ。




 エミが感心したような声音で言う。


「なかなかヤルわね。鎧人形ゴーレムなんて希少種どこにいたの?」


「ここからワープして、地上に出たら厩舎に出るだろ、その隅っこに転がってたんだが錆び付いて動けないみたいだったから、食酢に漬け込んで錆びを取ってやったら気に入られたみたいなんだよ」


 厩舎と言っても牛や馬はおらず、ただ単にワープするための術式を破壊されないようにするためのカモフラージュらしい。

 そこにも昔は魔族が住んでいたのか、シャワーや浴槽があったので近くの村でありったけの食酢を購入し浴槽をそれで満たして、ピーちゃんをブチ込んだというワケだ。


「よくそんな扱いで、気に入られたわね……」


 ーー俺も、そう思う。

 


   ※     ※     ※ 



 ピーちゃんとお別れしてから、現在、勇者さんは70階層辺りを爆走している。


 なぜ、勇者さんは天井をブチ破って近道をしないかというと……


『流石は勇者っす〜、速いっすね〜』


『なにを言うか、まだまだ本気ではあるまい』


『それはお互い様っす!』


 勇者さんの隣で数々のトラップを捌き、楽しそうに笑いながら並走する1人の女性のせいで、天井をブチ破るための予備動作が取れずにいるのだ。

 

 緑の大きな瞳、高い鼻、肩口に切り揃えられた青色の髪はサラサラとはためき、とても美しいが、所々寝癖で逆立っており、それが彼女のガサツさを物語っている。しかし、何よりも目を引くのは、その上にちょこんとくっついている白い猫耳と長い尻尾だ。実に触りたい、いや……揉みたい!


 獣人族ワービーストの女性、アイルスは身体能力だけでいえば勇者さんに匹敵するのだが、あまり頭が良くないうえ、武術の心得もないので、ただただ獣人特有の危機察知能力でトラップを躱しながら、獣人特有の身体能力で勇者さんと並走するという役目を任せている。

 要するに、天井をブチ破らせないように勇者さんを見張りながらも、少しでもトラップが有効的に作動するようにサポートする役割だ。



獣人族ワービーストの中でも屈指の身体能力ね、この髪の色……もしかしてギーベラントの血筋?」


「あ〜、確かおっさんの名前がそんなんだったな」


 アイルスと同じ、緑の瞳と青い髪を持ち、キジトラの猫耳と尻尾を生やしたおっさん。酒の飲み過ぎで、瞳孔は拡大し呂律すらまわらない、真っ赤で浅黒い顔をしたおっさんだ。


「ギーベラントのコミュニティは、魔族の中でも相当な有名どころよ。ここらの森も、妖精族エルフの一派を出し抜いて自分らの縄張りにしたと言われているわ。そんなコミュニティにどうやって近づいたのよ」


「え〜と、森を歩いてたらおっさんが急性アルコール中毒でぶっ倒れてて、これはヤバイと思って救急処置をして助けたら、ゾロゾロ獣人が森の奥から出てきたんだよ。そしたらもの凄い感謝されて、『私たちにできることならなんでも言ってくれ!?』って言われたから、事情を話したら、『なら族長の娘あげます』って言われたから貰ってきた」


「族長に許可は取ったの!?」


「なぜかアル中のおっさんが縋り付いてきたな……でもアイルスに聞いても赤の他人だって言ってたから放っておいた」


「それ族長! そしてアイルスのお父さん!!」


 こんなことをしている間にも、勇者さんとアイルスは90階層まで来てしまった。


『ヤバイッす! このまま行かせたら就職のチャンスを失うかもしれないっす! アル中親父のもとに逆戻りはゴメンっす!』


 アイルスの顔から笑みが消えた、焦っているようで手や尻尾で勇者さんの走りを阻害しようとしているが、勇者さんは気にする様子もなく疾走。さきほどよりさらに速くなったが、アイルスはしっかりと追走している。


『魔族も就職難なのか……気の毒ではあるが、私はこの朝採れの野菜を届けなくてはいけないのだ!』


『人間さんたちも就職難なんっすね! 勇者も配達の副業っすか?』


 負的に笑ったアイルスがショルダーバックに手を伸ばした。


『なっ!? 辞めろ!!』


 勇者さんは、その足を止め、庇うように野菜を抱え込みアイルスに背を向ける。

 

 ーーどんだけ大事なんだよ……。



『渡すっす! 代わりに私が配達してあげてもいいっすよ!!』


『い〜! や〜! だ〜!』


 今や、野菜を抱え込みながら駄々をこねる子供のように座り混んでいる。


 ーーなんだこれ……。


 呆れたというのもあるが、なによりも勇者さんの姿があまりにも可哀想で見ていられない。


 俺は、ウィンドウに映されている拡声機マークを押す。


「あ〜、あ〜。聞こえるか?」


 アイルスが、『聞こえるっす〜』と言いながら腕を振っている。


「アイルス、もういいよ」


 勇者さんのことだ、このままやっても必ず駄々をこね続ける。

 アイルスは『了解っす!!』と適当な敬礼をし忽然こつぜんと消えた。


 ーー去り際だけは、風格あるな……。



   ※     ※     ※



「私は、ずっと考えていた。考えすぎて、この5日間ほど目が冴えて全く夜に眠れないのだ……夜は最低でも6リールは寝たい!」


 ガン! とテーブルに拳を打ち付ける勇者さん。


 居住スペースにあるテーブルで向かい合うように、俺とエミは2人で横並びになって椅子に腰掛け、勇者さんはその反対側に1人座っている。

 ピーちゃんとアイルスは、少し離れたところでルルをモフったり、2人でなにやら話したりと、思い思いの行動をしている。


 ーー勇者さんのこだわりりは知らんが……一体なにがあったんだ?


 第一声からもう、『あっ、これ絶対どうでもいいやつだ』と思ったが、例の騒音がないにも関わらず眠れないとは……これはきっと唯ならぬ事情があるに違いない。


「まぁ、代わりに昼頃から最低でも8リールは寝ているがな」


 ーーあっ、これ絶対どうでもいいやつだ。


 2時間、睡眠時間が延びてんじゃねぇか! 普通に夜、寝た方が効率的だろ!


「一体なにがあったんだ?」


 思わず、溜息が出そうになる。


「お隣さんちの旦那にな……相談されたのだ……最近、妻がよそよそしいと……」


 隣からものすごい視線を浴びた。

 エミが目でなにかを訴えかけているのだ。


(ほら見なさい! カリヤが変なことするからよ!)


 チラッ!


(俺のせいか!? 奥さんが不倫なんてするからだろ?)


 チラッ!


(でも、なんだか寝覚めが悪いじゃない)


 チラッ!


(手紙を出したのは俺だろ? なんでエミが気にかける必要があるんだよ)


 チラッ! チラッ! チラッ!……。


「あぁ、なんだこの孤独感は! なんだこの疎外感は! 息苦しい……死んでしまうかもしれん!」


「ウサギか、お前は!!」


 どうやら勇者さんをなおざりにしてしまったらしい。

 それにしても、感性が豊すぎる。

 息苦しい雰囲気で、本当に息が苦しくなるなんて聞いたことがない。


「それで、私は……私はどうすればいいのだ!?」


 ーーやっぱり、そうなるよな……。


 正直、面倒臭い。

 奥さんのときは、こちらとしても利用できると思ったから手助けをしてやっただけで、善意など欠片もないのだ。

 今回に限っては、利がない。

 しかし、なにかしらやらないと、勇者さんはここに居座り続けるだろうし、さっきから横からの肘鉄が半端ない。


「仕方ないな、なんとかしてやろう」


「よし! 任せたぞ!」


 ーーコイツ、頼みを聞いて貰うのが当たり前だと思ってやがる!!


 以外と、あざといな。


 少し考えたが、前回同様、手紙をしたためることにした。


「よし、この手紙を『奥様に渡してくださいと頼まれました』と言って旦那に届けろ」


 今回も、中身が見えないように3つおりにしてあるが、表に差出人と宛名を書いておいた。

 勇者さんは、それを見て顔を顰める。


「差出人の名前が知らない男のものだぞ? それに宛名が『愛しき人へ』? なんだこれは?」


「あんた! また、変なこと企んでるんでしょ!?」


 エミが、椅子から立ち上がって詰め寄ってきた。


「落ち着け、お前ら。

 少なくともこれで、旦那さんが奥さんに対してよそよそしいと感じることはなくなる」


 勇者さんは、俺の言葉に『おー!』と感嘆するが、エミに関しては疑わしそうな目でこちらを見てくる。


「さっそく、届けて来るぞ! ありがとう!!」


「渡すのは、旦那にだぞ!」


 今日も、勇者さんは騒がしく帰っていった。




 エミが嘆息する。


「なにを考えてるのよ?」


「そう、難しいことじゃない。

 想像しろ、奥さん宛に、見ず知らずの男から手紙が来たうえに、宛名が『愛しき人』だったら、それを見た旦那はどうする?」


 当然、読む。

 エミの顔が真っ青になった。


「なっ!? あんたまさか!!」


 答えを言うと、あの手紙は奥さんへの恋文だ。

 不倫相手の男の名前は知らないが、旦那が不倫について追求すれば、すぐ明るみに出るだろう。


「落ち着け。どう転ぼうが、奥さんの不利になることはないんだよ」


 エミがなにがなんだかさっぱり、みたいな顔でこちらを見ている。


「思い出してみろ、勇者さんは壁越しに声が聞こえると言った。つまり、勇者さんは集合住宅に住んでいるんだろう。

 勇者が住む場所なんだから当然、高いんだろうな」


「そうでしょうね」


「しかしだ、この前、勇者さんはお隣の旦那がに行っていると言った」


「確かに、お金があるのに出稼ぎに行くっていうのは変ね……」


「そうなんだ、考えられる可能性としては。

1.家賃だけは誰かが肩代わりしている。2.労働が趣味。

3.出稼ぎに行くというのが嘘。」


 俺は、指を3本伸ばしながら、語りかけるように言う。

 正直、もっと色々な可能性があると思うが、いま重要なのは、確かにそうかもしれないと信じ込ませることだ。

 だってこれ、この場を凌ぐための言い訳にすぎないから。


「確かに……」


「1、2は考えずらいから多分、答えは3だ。そして、3だったとして奥さんに出稼ぎに行くと嘘をつく理由はなんだ?」


 エミは、少し考える素振りを見せると、ハッ! っと、閃きました言わんばかりにこちらに目を向ける。


「まさか……!?」


「そう、旦那も不倫をしている可能性が高いんだよ。それに、出稼ぎに行くと偽れる旦那ってことは、一家の主な収入源は奥さんだろう、いいとこの娘さんなのかもしれないな。

 つまり、もし旦那が不倫をしてなかったとしても、家から出て行くのは奥さんではなく旦那だ。その場合、不倫をしていたお金持ちの奥さんから慰謝料でも貰えばいい」


「ん〜、なんか納得いかないわね」


 ーームム……。


「そんなことはないぞ! 結婚に重要なのは、金か? 世間体か?

 否だ! 重要なのは! 2人はよりよい人と再婚するんだ、俺たちはその手助けをしてやったと思えばいい!!」


 相当、恥ずいことを言っている気がする。

 エミを言いくるめるためにこう言っているが、俺は結婚には、金も世間体も大事だと思う方だ。

 だって、どんなに好きであっても、相手が、『仕事がなくて毎日、満喫で暮らしている』とか、『殺人で刑務所に入っていたことがある』とか、カミングアウトされたら普通にドン引きする自信がある。


「確かに、大切なのは愛よね……」


 なんというチョロさ、罪悪感さえ湧いてくる。


「修羅場、不可避っす! 見に行きたいっす!!」


 さっきから、聞き耳を立てていたのであろう、アイルスがゲスな笑顔をしている。


「ガシャン ガシャン」


 ピーちゃんも乗り気だ。


 ーーまぁ、行かないがな……。


 興味ないし。





 勇者さん曰く、

 数日もしないうちに、2人は離婚したらしい。

 そしてまた、数日もしないうちに2人は違う相手と再婚したという。

(この世界では、女性もすぐに再婚できるのか。)


 どうやら2人とも、離婚したかったのだが世間体を気にしてできなかったということらしく、勇者さんの住む集合住宅には新たな男が加わることとなった

 奥さんに、渡す手紙に旦那を経由してみせたという、勇者のファインプレー。

 勇者さんは、大層感謝されたらしいが、その日から毎夜、気まづい音に悩まされることとなったのでした。




 


 

 

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