第2話 ウイ・イレ

「どうぞどうぞ。上がってくれぃ」

というから僕はおじゃましますと上がったけれど、

そこはルパンの家ではなかった。


ルパンの後輩の家であった。


後輩に会釈。

後輩も僕に会釈。


なお、ルパンとはあだ名である。


ウイニングイレブンの対戦が始まる所だった。

ルパン対後輩。


ルパンは最強クラスのチームであるブラジル。

後輩は再弱クラスのチームであるタイ。


ブラジルのキックオフで試合が始まった。

ルパンはセンターサークルの辺りからすぐにシュートを撃った。


遠すぎる。


タイのゴールキーパーがキャッチし、タイボールとなった。


後輩は細かいパスを繋ぎ、強豪国ブラジルを翻弄。


ついにキーパーと一対一になった。


キーパーが飛び出す。


それをタイのフォワードが、キックフェイントで交わした。


無人のゴール。


後輩がシュートボタンをちょんと触る。

右肩の動きでそれがわかる。


パスより弱い勢いで転がるボール。


ゴール!


後輩は申し訳ないという表情。


ガチャ。

リセットボタンを叩く音。

「はい!終了!没収試合ぃー!」

ルパンはゲームを強制終了した。


ふと見ると、ルパンは靴を履いたまま。

彼は、土足で後輩の部屋に上がりこんでいた。


これから三人でナンパに行く予定である。


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