エピソード66/返事

由佳ゆかがコンビニでアルバイトをしている。


明日から中間テストが始まるが、由佳はすでに成績が落ちる事を覚悟していた。


それよりも今日は"片桐かたぎり じん"という男が由佳の返事を聞きに来るはずである。


由佳にとっては、そちらの方が気が気でならなかった。


今は客が一人、来ている。


食料品のコーナーで買うものを選んでいる最中の様だ。


そして仁がコンビニに、やって来る。


仁はコンビニに客がいる事に気付き、雑誌のコーナーへ行って立ち読みを始めた。


食料品のコーナーにいた客がレジへと、やって来る。


そして会計を済ませると店を出て行った。


それを確認した仁が雑誌と缶コーヒーを持ってレジへと、やって来る。


仁「手紙、読んでくれた!?」


由佳「はい」


仁「俺なんて、全然、興味を感じなかったかな!?」


由佳「いえ。そんな事はないです」


仁「じゃあ、今度、一緒にドライブに行ってくれるかな?」


由佳「あの、」


仁「何?」


由佳「友達と一緒でも、いいですか?」


仁「ああ。構わないよ。でも、その友達って何人?」


由佳「二人です。私の友達とその彼氏で、その彼氏は、この間の男の子です」


仁「二人だったら、全然、問題はないよ」


由佳「それなら、私はOKです」


仁「じゃあ、いつがいいかな?」


由佳「今週、テストがあって、その後に修学旅行があるんです」


仁「そうなんだ」


由佳「だから、その後でいいですか?」


仁「それじゃ、仕方がないもんな。それと名前だけ、先に教えて貰えるかな!?」


由佳「佐藤さとう由佳といいます」


仁「由佳ちゃんね。じゃあ、これ。俺の携帯の番号を書いておいたから」


仁は1枚のメモを由佳に渡す。


仁「まだ先の話になっちゃうみたいだから、詳しい日程は電話で決めよう」


由佳「はい」


仁「先ず、そっちで都合のいい日が決まったら、連絡を頂戴」


由佳「分かりました」


仁「それじゃ、楽しみにしているよ」


そう言ってから、会計を終えた仁が店を出て行く。


改めて話をしてみると、益々、感じがいい様に感じた。


更に、初めて意識して仁の顔を見た由佳は、すでに仁に惹かれ始めている様だ。


店先の花壇にあるパンジーの花が楽しそうに風に揺らいでいた。

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