エピソード67/修学旅行を控えて

俊之としゆき「よく絵美えみだけ成績が落ちなかったな」


絵美「えへへ。多分、俊君と一緒に夜は勉強をしていたからじゃないかな」


俊之「昼間は勉強をしていなかったの!?」


絵美「実を言うと、そうなんだ。木綿子ゆうこが余り来れなくなったじゃん」


俊之「うん」


絵美「由佳ゆかが木綿子がいないと勉強をする気になれないって」


俊之「そうなんだ。でも、俺がいる時は、ちゃんと勉強をしていたんじゃない!?」


絵美「うん。だから、私と由佳が二人きりになっちゃうと駄目みたい」


俊之「そっか」


絵美「それで、私は由佳のおしゃべりに付き合っているんだ」


俊之「それって、佐藤さとうが絵美に付き合っているんじゃないの!?」


絵美「違うもん」


俊之「そっか。とにかく、それで分かったよ」


絵美「何が?」


俊之「佐藤と長谷川はせがわの成績が落ちた理由」


絵美「もう少しで由佳に勝てたのにな~」


俊之「勝ちたいんだったら、もっと、ちゃんと勉強をしろよ」


絵美「え!?そう言われると、そうなんだけどね。えへへ」


俊之「それより修学旅行は何処へ行こうか?」


絵美「そうそう。今日は、その話をするんだったよね」


俊之「何処か、行きたいところはある!?」


絵美「う~ん。ハウステンボスは外せないかな」


俊之「ハウステンボスかぁ。みんなも行きそうだな」


絵美「そうだけどねー」


俊之「だったら、二人きりにさせて貰う必要はなかったかもな」


絵美「えー。そんな事はないよー。私は俊君と二人で行きたいもん」


俊之「俺だって、そうだけどさ。結局、ハウステンボスで知っている奴等と顔を合わすんじゃって」


絵美「確かに、そうなんだけど、修学旅行で二人きりになれるのは自由時間しかないじゃん」


俊之「分かっているよ。じゃあ、ハウステンボスは決まりかな」


絵美「うん」


俊之「他は何処に行こうか!?俺達だけ班を抜け出して二人きりになれるんだから、何か思い出を作れる様なところへ行きたいんだけど」


絵美「そうだね~。私は後は何処でもいいかな」


俊之「何だよ、それ」


絵美「俊君と一緒なら、何処でもいいって事」


俊之「そんな事を言ったら、俺だって絵美と一緒なら、何処だっていいよ」


絵美「そうなんだ」


俊之「だから、一緒に考える事にしたんだべ」


絵美「じゃあ、ちょっと、それを見せてよ」


俊之「じゃあ、こっちに来いよ」


絵美「分かった」


絵美が俊之の対面から隣に場所を移して、一緒にガイドブックを見始める。


修学旅行は広島と長崎へ行く事になっていた。


そして長崎では班単位での自由時間がある。


その自由時間で俊之と絵美は、それぞれの班を抜け出して、二人で行動をする事になっていた。


集合時間の前に集合場所の手前で、それぞれの班に合流をする事にして。


勿論、それぞれの班のメンバーの了解と協力があっての事だ。


そして二人は俊之の部屋で、その自由時間での計画を練っている。


修学旅行を終えれば、幾らもしない内に梅雨入りするのかもしれない。


そんな初夏の夜であった。

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