エピソード50/作戦会議

学校の掃除を終えた4人は俊之としゆきの家へと、やって来ている。


そして掃除中に俊之と絵美えみが、いちゃついていたりしたので、いつもより、随分と時間は経ってしまっていた。


由佳ゆか山ノ井やまのい君と絵美の所為で勉強の時間がなくなっちゃったね」


木綿子ゆうこ「本当、本当」


絵美「ごめんなさい」


俊之「悪かったな。まあ、今日は佐藤さとう長谷川はせがわは勉強を休めばいいじゃん」


由佳「そうしようかな」


木綿子「だね」


俊之「今日は、おしゃべりをしようぜ」


絵美「やった」


俊之「やったって。俺達は夜に勉強をするよ」


絵美「えーーー」


木綿子「山ノ井君って、本当に勉強が好きなんだね」


俊之「嫌いじゃないけどね。好きと言うよりは、将来の為にって」


由佳「そんなに勉強をするのなら、もっと上の学校へ行けなかったの?」


俊之「俺、勉強をする様になったのは高校に入ってからだもん」


木綿子「本当、山ノ井君って、中学の時は勉強をする様なタイプじゃなかったよね」


俊之「悪かったな。それに、絵美を追いかけて来たってのもあるんだ」


由佳「そうなんだ」


絵美「私は西校が精一杯だったからな~」


俊之「俺は南校だったら受かったのかもしれないけど、南校だったら西校と大差はないじゃん」


木綿子「そんな事はないんじゃないの!? 進学するんだったら、南校の方が全然、有利だと思うけど」


由佳「そうだよね」


俊之「まあ、西校でも頑張れば、大丈夫だって。それに、今更じゃん」


由佳「それは、そうだけどさ」


俊之「そんな事より、今日は長谷川の話をしようぜ」


木綿子「私の話って何よ!?」


俊之「学校で大竹おおたけが好きだって言っていたじゃん」


木綿子「だから、何よ」


俊之「長谷川は片思いのままで、いいのかって事」


木綿子「だって、仕方がないじゃん。大竹君、彼女がいるんでしょ!?」


俊之「今は、どうなんだろうな!?」


木綿子「え!?大竹君の彼女って、確か、尚美なおみだったよね!?」


俊之「いや。小林こばやしは前の前の彼女だよ」


由佳「そうだよね」


木綿子「そうだったんだ。私は尚美が大竹君の彼女だって、ずっと思い込んでいたわ」


絵美「じゃあ、前の彼女って誰だったの?」


俊之「前は1コ下の子だったはず」


木綿子「じゃあ、その子とも別れちゃったの?」


俊之「みたいだけど」


由佳「木綿子、チャンスじゃ~ん」


絵美「ねぇ。それって、いつの話?」


俊之「俺が話を聞いたのは冬休み前だったけど」


木綿子「山ノ井君って大竹君と仲がいいの?」


俊之「そんなに仲がいいって程ではないけど、会えば普通に話はするよ」


由佳「それって大竹君から直接、聞いたの?」


俊之「いや。噂だけど、本当みたいだよ」


絵美「そうなんだ」


俊之「大竹ってモテるからな。その手の話は、すぐに広まっちゃうんだよな」


由佳「私達は知らなかったな~」


俊之「だって、冬休みを挟んでいたし、まだ幾らも日にちは経っていないじゃん」


絵美「そうだよね」


俊之「これから幾らもしない内に、みんなに広まっちゃうのかもな」


由佳「木綿子。そうなる前に動いた方がいいんじゃないの!?」


木綿子「えー。いきなり、そんな事を言われても」


俊之「確かに、早くしないと他の女にとられちゃうのも時間の問題だと思うよ」


木綿子「どうしよう」


俊之「大竹じゃなくてもいいってんだったら、長谷川もモテるから、その内、彼氏も見つかるだろうけど」


木綿子「私は、そんなにモテないって。私は由佳程、告られたりはしないもん」


俊之「佐藤は男からすると、告り易いんだよ」


由佳「何、それ!?」


俊之「見た目、軽そうじゃん」


由佳「軽そうって、私はそんなに軽くないと思うけど」


絵美「そうだよね」


俊之「実際はそうでも、そういう事は見た目で決まっちゃうからさ」


木綿子「私は、どんな感じなのかな!?」


俊之「長谷川の方が佐藤より、男子からの人気は上かもしれないな」


由佳「そうなんだ」


俊之「ただ、長谷川は男からすると、告り辛いんだよ」


絵美「何で?」


俊之「多分だけど、佐藤の場合は当たって砕けろみたいな感じで気軽に告れるんだけど、長谷川の場合はフラれるのが怖くなっちゃう感じなんじゃないかな」


由佳「なるほどね~」


俊之「それと、そういうタイプの男にモテるってのもあるのかもね」


絵美「そういうタイプって?」


俊之「だから、積極的な男は佐藤の方を好み、消極的な男は長谷川の方を好む傾向があるんじゃないかって」


絵美「じゃあ、私は?」


俊之「絵美は俺専用」


絵美「何、それ~」


由佳「あんたは山ノ井君がいればいいでしょ」


絵美「そうなんだけどさ~」


俊之「とにかく、そんな感じだからさ。 長谷川が気に入った男と付き合いたいのなら、自分から動いた方がいいと思うな」


木綿子「そっか」


俊之「今度、ウチに大竹を呼んでみるか」


由佳「それ、いいじゃん」


木綿子「えー」


俊之「俺達が無理矢理にセッティングをしちゃった方が、長谷川も踏ん切りがつくだろ!?」


木綿子「それは、そうかもしれないけど」


俊之「じゃあ、決まりだな」


木綿子「ちょっと待ってよ」


俊之「何だよ!?」


木綿子「だって」


絵美「いいじゃん。大竹君を呼ぼうよ」


由佳「そうだよ。最初は、みんなで話をするだけでもいいじゃん」


俊之「そういう訳にもいかないけどな」


由佳「何で?」


俊之「だって、どうやって大竹を呼ぶんだよ!?」


由佳「一緒に遊ぼう、でいいんじゃないの?」


俊之「だから、そこまで俺と大竹は親しくないって」


由佳「そっか」


俊之「だから、長谷川から話があるって、呼ぶしかないと思うんだけど」


木綿子「そうだよね。どうしよう」


俊之「もういいよ。長谷川の許可なんていらねー」


木綿子「えーーー」


俊之「だって、いつまで経っても拉致があかねーじゃん」


由佳「そうよ。モタモタしていたら、後悔をする事になっちゃうよ」


木綿子「だって、私が告ったからって、付き合って貰えるとは限らないじゃん」


俊之「そりゃ、そうだけど。このまま何もしないで、大竹が他の女の子と付き合っちゃっていいの!?」


木綿子は何も言えなくなってしまう。


俊之「だったら、自分の気持ちだけでも伝えてみていいんじゃないの!?」


絵美「そうだよ~」


由佳「もう観念しなさい」


木綿子「分かったわよ」


俊之「じゃあ、俺、明後日、バイトが休みだから、明後日に誘ってみるか」


由佳「ちょっと待って」


俊之「何で佐藤が止めるんだよ」


由佳「実はお母さんに今度ウチに、みんなを連れてきなさいって言われているのよ」


俊之「何で?」


由佳「山ノ井君チには、お世話になっているからって、ウチで夕飯をご馳走したいって」


俊之「おお。それは美味いもんを食えそうだな」


絵美「あはは。また俊君の食い意地が炸裂した」


木綿子「私達も!?」


由佳「うん。山ノ井君だけ誘うのも変じゃん」


木綿子「それは、そうだね」


由佳「それに、山ノ井君だけをウチに連れて帰ったら、お父さんに何を言われるか分かんないわ」


俊之「俺も、それは、ちょっと遠慮をしたいな」


由佳「とにかく、先に、そっちを片付けておきたいのよ」


俊之「じゃあ、来週の月曜になっちゃうけど、それでいい?」


木綿子「私はその方がいいかな。明後日じゃ、急過ぎるわ」


俊之「じゃあ、そうしよう」


由佳「それじゃ、明後日はウチで勉強をするって事で」


俊之「OK。何をご馳走してくれるの?」


由佳「そんなの、まだ分かんないって。楽しみにしておいて」


絵美「月曜日も楽しみだな~」


木綿子「何、気楽な事を言っているのよ」


由佳「じゃあ、私達はそろそろ帰りましょ」


木綿子「そうだね」


そして由佳と木綿子は自宅へと帰っていった。


絵美は洗濯物を取り込みに行く。


俊之は自分の部屋へと行った。


絵美は、このまま俊之の家に残って夕飯をご馳走になり、夜は俊之と一緒に勉強をしてから帰る予定だ。


洗濯物を取り込み終えた絵美は俊之の部屋へ行く。


そして二人は俊之の母の帰りを待ちながら、おしゃべりを続けた。

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