エピソード6/電話

俊之としゆきは今日もバイトだった。


バイトから帰って来ると、先ずシャワーを浴び、その後に夕飯を食べる。


その後、俊之は自分の部屋へ行く。


そしてバイトで遅くなった時は、絵美えみに電話をする。


バイトが早く終った時は、少し休んだ後、勉強を始める。


そして勉強をしていても、大体9時から10時の間に絵美に電話をする。


今日は家に帰って来たのが夜8時過ぎだった。


自室に戻って来ると、もうすぐ9時になろうとしていたところだ。


俊之は先ず、CDプレーヤーにCDを一枚入れて、スイッチを入れた。


入れたCDはアズテックカメラのストレイというアルバムだ。


俊之はそのCDの中のクライングシーンという曲が好きだった。


クライングシーンはアルバムの二曲目にクレジットされている。


俊之はそのクライングシーンを聴き終えるとプレーヤーを止めた。


そして時刻が9時を回ったのを確認してから、絵美に携帯で電話を掛ける。


俊之「こんばんは」


絵美「お疲れ様~」


俊之「昨日はあの後、どうなった?」


絵美「うん。由佳ゆか、泣いていたよ」


俊之「そか。悪い事をしちゃったかな!?」


絵美「俊君、全部、解っていたの?」


俊之「全部って!?」


絵美「由佳が怒ったり、泣いたりする事」


俊之「ああ、同情すれば、怒るとは思っていたけど、」


絵美「そっか」


俊之「泣くとまでは考えていなかったよ」


絵美「そうなんだ」


俊之「一回、思いっきり頭に血を上らせれば、すっきりするんじゃないかって、俺はそう思っていたんだけどね」


絵美「なるほどね~」


俊之「それで、どうよ?」


絵美「う~ん。まだちょっと、よく分からないかな」


俊之「そか」


絵美「昨日の今日だからね~」


俊之「だね」


絵美「でも、何ていうんだろう」


俊之「うん」


絵美「いい感じ!?っていうのかな」


俊之「何、それ!?」


絵美「由佳、前に川崎かわさき君と付き合っていて、お父さんに別れさせられたでしょ」


俊之「うん」


絵美「その時はすぐに復活したんだよね」


俊之「そうなんだ」


絵美「それで、その時と同じ様な感じっていうの!?」


俊之「うん」


絵美「だから、復活しそうな気配はあるって感じ」


俊之「じゃあ、大丈夫そうだな」


絵美「うん~」


俊之「ふふふ」


絵美「どうしたの?」


俊之「いや、絵美って、電話をしていても可愛いなって」


絵美「何を言ってるのよ、もぅ~」


絵美は少し照れている様だった。


俊之「取り敢えずさ」


絵美「うん」


俊之「再開をしよう」


絵美「うん」


俊之「これ以上、同情すんのも佐藤さとうに悪いし」


絵美「そうだね」


俊之「ただ期末テストが終わるまでは、デートとかしてる時間はないけど」


絵美「えー!?」


俊之「バイトのない時は、一緒に帰ったりしよう」


絵美「うん。今度はいつ休み?」


俊之「明日」


絵美「そうなんだ」


俊之「だから、明日、また俺んチに来ない?」


絵美「いいよ」


俊之「じゃあ、今日は、これで俺は勉強をする」


絵美「うん」


俊之「おやすみ」


絵美「頑張ってね」


俊之は電話を切ると、再びCDプレーヤーのスイッチを入れた。


そしてテーブルの上に勉強道具を広げて、勉強をし始める。


俊之はこうして、いつも0時から1時くらいまで、勉強をしているのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る