第105話 茶会にて

ふみ 「ただいま、戻りました」

 

 ふみが今は、ほぼ月一の恒例となってとなっている仁神家の茶会から帰って来た。

 思えば、真之介に髷を切られると言う恥辱を受けた安行だったが、ようやくその髷も伸びた。ならば、今度はリベンジとばかりに、母と息子はそれぞれに復讐を誓うのだった。

 安行は退屈しのぎに屋敷に呼び寄せた役者たちの中に、真之介に瓜二つの夢之丞がいたことから、真之介を呼び寄せたのをきっかけに夜の町へ案内させる。だが、そこには世にも美しい芸者、蜜花が待っていた。

 すっかり、蜜花の虜になった安行は真之介に身請けを依頼する。さすれば、今までのことはすべて水に流し、ふみにも手出ししない、真之介の後ろ盾にもなると言ったが、当時の蜜花には身請け話があり、とても太刀打ちできる相手ではなかった。さらに、安行の父が亡くなり、身動きが取れない間に蜜花は江戸一番の材木問屋に身請けされてしまう。

 そんな傷心の安行は長年の不摂生が祟り、当時は贅沢病だった飲水病(糖尿病)になってしまう。幸いと言うか、父の死後、側室に男子が誕生している。

 仁神家としては大変喜ばしいことであるが、女に興味が持てなくなってしまった安行の心中は…。

 今は、真之介が勧めた釣りにハマっている。お陰で真之介はここのところ、ずっと釣りに付き合わされている。

 それでも、釣りに興じている間はいい。いつか、釣りに飽きれば、次は。また、その次は何を…。

 安行だけでなく、真之介も己が仕出かしたことへのツケを払わされているのだ。

 そして、ふみも安行の母、八千代の意趣返しに付き合わされている。

 元はと言えば、安行からの側室話を受け入れてさえいれば、起きなかったことである。八千代にしても、ふみに一泡吹かせてやりたい。旗本筆頭の家柄に刃向かえばどうなるか、それを思い知らせてやりたい。

 その手始めとして茶会へ招くも、真之介の送り込んだ白田屋拮平により、ぐだぐだのうちにお開きとなってしまう。その次の茶会は、ふみの天敵である筈の従姉の絹江がとんだ地雷を踏んでくれた。

 その後は、従姉姉妹は無論のこと、友達である佐和も除外し、ふみを孤立無援にするも、常に落ち着き払い時にはユーモアを交え、場を盛り上げるのだ。

 二年もあの呉服屋のにわか侍の側にいればこうなってしまうのか…。

 そんな中、ふみの弟兵馬が離婚した。これを逃す手はない。


真之介「如何であった」

ふみ 「如何も何も、その通りにございました」

 

 ふみにしても、今日の茶会に園枝が招かれることくらい百も承知していた。


ふみ 「もう、何か、可笑しくて…」

 

 それにしても、どうして八千代のすることはこうもわかりやすいのだろう。

 下座のふみとちょうど斜め前の席に園枝は座っていた。


八千代「本日は、園枝殿が参加してくれました。以前より、お声をかけていたので

   すけど、何やらお取り込みのご様子にて…。それで、もう片付いたのです

   か」

園枝 「はい、今はもう、すっきり致しております。お招きありがとう存じます」

 

 そして、園枝はわざとらしく、ふみに気が付いた振りをする。


園枝 「おや、まあ、これは誰かと思えば、誰あろう、元、姉上ではございません

   か、ご無沙汰を致しております」

ふみ 「こちらこそ、園枝殿にはお変りもなく安堵致しております」

園枝 「娘は元気にしておりましょうや」

ふみ 「はい、以前にも増して、健やかにお育ちですので、こちらもご安心くださ

   いませ」

 

 ふみの言った、以前にも増してが癇に障ったが、ここは抑えるしかない。


園枝 「それはありがたきことで。それに致しましても、女など要らぬとあれほど

   申されたに、いざ、離縁となりますと、どうしても手放さないとおっしゃら

   れ…。私も泣く泣く娘を置いて行ったような次第ですの」

 

 と、わざとらしく長襦袢の袖で目元をぬぐう仕草の園枝だった。


園枝 「まあ、それに致しましても、私程不幸な女もいないのではと思われてなり

   ません。これでも子供の頃は勉強がよく出来ましたの。手習いの師匠から、

   きっと、良いところから嫁の貰い手があると言われたのに、何と言うことで

   しょう。この様なことになるなんて。それもこれも」

 

 この様な席で、別れた男の悪口を言うとは…。


ふみ 「あの、園枝殿。お気持ちはお察し致しますが、もう終わったことではござ

   いませんか。過去にとらわれるよりは、今度こそ、良きご縁に巡り合われま

   すよう、お祈りしております…」

 

 と、長くなりそうな園枝の繰り言を、ふみが終わらせようとした時、茶が運ばれて来る。そして、今回の茶菓子に、ふみは驚くのだった。何と、その菓子はふみが一番最初に招かれた時、手土産にした、壺屋の壺々最中ではないか。


奥方 「まあ、何とかわいらしい形にございましょう」

   「これが、あの壺々最中にございますか」

八千代「ええ、確かに京の菓子も美しく美味なものですが、将軍家のお膝元にもこ

   のように、京菓子にも勝るとも劣らぬ菓子があると言うことです」

 

 壺屋と言うのは寛永年間に江戸町人が開業した菓子屋である。現代はすべて東京が中心で、東京に向かうことは上りであるが、江戸期以前は帝の御所のある京が中心であり、江戸へは下ると言った。酒も菓子もすべて京の物が最高とされた時代の最初の「江戸根元」の菓子屋だった。

 その壺屋の看板菓子が、壺の形をした最中だった。つぶあんとこしあんの二種類あり、しっかりと餡の詰まった最中である。

 八千代はいつにも増して、胸を張って壺々最中のうんちくを披露するのだった。


八千代「私共がこの様に無事に暮らしていけるのも、一重に将軍家のお陰にござい

   ます。この江戸にもそう言う心意気を持った町人もいると言うことです。そ

   れがこの一つの最中にも表れているとは思いませぬか」

園枝 「左様でございますとも。将軍家の御威光にあやかろうと町人から侍になっ

   た者もおります故…」

 

 またも園枝だった。


亜子 「それこそ、将軍家の懐の深さと言うものでございましょう。長い戦乱の世

   を平定された、神君家康公より続く今日の繁栄。誠に勿体なくも、有り難き

   ことにて…」

 

 安行の正室、亜子つぐこが言った。


亜子 「園枝殿とおっしゃられたか。そなたも先ごろまでは、その町人より侍に

   なった者と姻戚だった筈では…」

園枝 「はい、お陰様で、色々とございました」

亜子 「先程、ふみ殿もおっしゃられたではないか。いつまでも過ぎたことにとら

   われるのではなく、先のことをお考えなられる方がよろしかろう。まだ、昔

   語りをする齢でもあるまいに。それより、長話をしていては茶が冷めます。

   これ、新しい茶の用意を」

 

 夫の安行が当主となって以来、家を切り盛りしているのは亜子だった。

 それにしても、この姑はいつまで茶会を口実に、ふみへの意趣返しを続けるつもりなのか。また、それらは毎回不発に終わっていると言うに、性懲りもなく…。

 今となってはこの茶会が八千代の唯一の「楽しみ」となっているので、好きにやらせているが、これでは、余りにも子供じみている。

 肝心の安行はここのところ、ずっと釣りに凝っている。それは別にいいのだが、八千代にすれば真之介でさえ忌々しいのに、あろうことか、あの尾崎友之進まで…。

 本当はどちらの顔も見たくない。見たくないのに、どうして、息子は母の嫌いな輩とつるんでばかりいるのか。たまに、安行の釣った魚が八千代の膳に載ることがある。今の八千代にとっては、その魚だけがおいしい食べ物となっている。

 また、ここのところ茶会の菓子選びがいささか苦痛になってきている。見た目、味だけでなく、そこには何かの謂れのあるものが望ましい。

 京菓子なれば、すべてにおいて申し分ないが、毎回、それと言うのも能がない。そんな時に知った、壺の形の最中。それも江戸職人によるもの。また、ふみの弟兵馬と離婚したばかりの園枝も招き、この度こそは臨むものの、これまた、嫁の亜子が口を挟む。さらに、茶会の終わった後で知ったのだ。何と、壺屋の壺々最中とは、ふみが一番最初に持参した手土産だと言う。


八千代「どうして、それをもっと早くに言わぬのじゃ!なぜに黙っておった!」

女中 「申し訳ございません。私たちもすっかり忘れておりました。近頃は物忘れ

   もございまして…」

八千代「全く、役立たずの年寄よのう!」

 

 と、自分のことは棚に上げて、長年側に使えている女中に当たる八千代だった。出来れば、茶会も止めたいと思うが、そのきっかけがない…。


----もう、こんな老いぼれはお払い箱にしてやる。もっと、若いのを側に置かなくては。 


 そんな、八千代の苛立ちなど知る由もない、ふみは笑顔で帰宅した。そして、茶会での様子を真之介に話す間もにこにこしている。

 だが、逆に真之介はこの笑顔の意味を図り兼ねていた。暗い顔でなく笑顔なのだから、真之介が心配することもないと思うが、それにしても、何がこんなに、ふみを笑顔にしたと言うのか…。


真之介「何か、良きことであられたか」

ふみ 「いえ、大したことではございません。ああ、明日は佐和殿のところへ行っ

   て参ります」

 

 と、嬉しくてたまらない様子で立ち上がる。  

 懐妊中の佐和に会えることが、そんなにも嬉しいことだろうか…。

 その後も、ふみの思い出し笑いは止まらない。久も何とも言えぬ顔をしている。

 翌日、やはり気になる真之介は、久を呼び止め聞いてみるも、言葉を濁すばかりだった。


真之介「久、有態に申せ」

久  「実は…。お茶会からお帰りの際に…」

ふみ 「久。何をしてるの。そろそろ、出かけますよ」

 

 その時、ふみが部屋から出て来る。


久  「は、はい、申し訳ございません。では、行って参ります」

 

 と、ふみの声に救われたように、久は去って行くのだった。

 益々、怪しい…。


忠助 「旦那様」

真之介「なんだ」 

忠助 「奥方様のご機嫌がよろしいのは、多分、あのことではないかと…」

真之介「あのこと…」

忠助 「ほれ、今は昔の…」

真之介「しかし、あれは…」


 そうか、あれにはとんでもない尾鰭が付いてしまっていたのだった。

 一方の久は困っていた。  


久  「もう、奥方様がそのように、思い出し笑いをなさるものですから、旦那様

   が妙にお思いです。もう、いっそのこと」

ふみ 「いえ、駄目です。今は駄目です。もう、しばらく」

久  「そうですか…」

 

 そんな話をしているうちに、佐和の屋敷に着いた。

                                 

ふみ 「まあ、佐和殿、落ち着かれましたの」

佐和 「はい、お陰様で」

 

 佐和は今はつわりも治まり安定期に入っていた。


ふみ 「やはり、つわりとは大変なのですか」

佐和 「ええ、吐き気がひどくて何も食べられないのです。でも、やっと、食欲も

   出てきました。これからはしっかり食べなければ」

ふみ 「そう思って、卵をお持ちしました。二人分の栄養を取らなくてはいけませ

   んものね」

佐和 「まあ…。ありがとうございます」

 

 昔の卵はすべて有精卵であり、栄養豊富な病気の時にしか食べられない高価な食べ物だった。


佐和 「それより、先日のお茶会はいかがでした。ひょっとして」

ふみ 「ええ、ひょっとしなくても、当然の様に座っておりました。それが、わざ

   とらしく、これは元姉上ではございませんかって言うのです」

 

 ふみは茶会での園枝の愚痴と嫌味の顛末を語る。


ふみ 「茶会と申しましても、女同士のおしゃべりの場ですから、愚痴の一つくら

   い何ほどのこともございませんけど、泣き真似までしますか。私も過ぎたこ

   とより、これからのことをお考え下さいと言っておきました」

佐和 「本当ですわ。もう少し前向きな方かと思っておりました」

ふみ 「ああ、それと、お茶菓子が何と、あの壺屋の壺々最中でした」

佐和 「まあ…。それで、何かおっしゃってましたか」

ふみ 「まあ、栞に書いてあるようなうんちくを。きっと、私たちが一番最初の手

   土産にしたことも失念されてるのでしょう」

佐和 「そうですわねえ。でも、ふみ殿もまだまだ大変ではないですか…」

 

 ふみも懐妊すれば、しばらくは仁神家の茶会に行かなくても済むのにと思ってしまう佐和だった。だが、それにしては、ふみの顔は明るい、ずっとにこにこしている。


佐和 「何か、いいことでもありましたの」

ふみ 「それが…」 

 

 と、またも思い出し笑いをしてしまう、ふみだった。

 

ふみ 「あら、ごめんなさい。実は、先日の茶会の帰り道…」


 同じ方向に帰る女たちの中に、例の年嵩の奥方もいた。


奥方 「まあ、仁神様も相変わらずですね」

ふみ 「はい、お元気で何よりです」

奥方 「ほほほ。ふみ殿もお幸せそうで何よりです」

ふみ 「ありがとうございます」

 

 そして、体をよせてささやくのだった。


奥方 「何しろ、真之介殿はあの様なことまでして、ふみ殿を娶りたかったのです

   からね」

 

 あの様なこととは、仁神髷切り事件のことだろう。


ふみ 「いえ、それは…」

奥方 「だから、大事にしてくださるでしょ。ふみ殿を見ていればわかりますわ」

 

 確かに真之介はいい夫であり、輿入れしてよかったと思っている。


奥方 「でも、近頃では、そのかつての恋敵同士が仲良く釣をされてるそうではな

   いですか」

 

 恋敵…。

 いや、それは違う。あの髷切り事件は、一番は妹お伸のために真之介が引き起こしたことなのだ。だが、今、この場でそんなことは言えないし、第一、もう過ぎたことなのだ。

 ふみは曖昧に答えておいたが、真之介との間では、今はもう会話に上ることもない昔話の様になっている。それなのに、この年嵩の奥方にすれば、つい、最近の様の出来事の様にひそひそと言ってくるのだ。


----世間では、真之介が私に懸想して、あの様なことをやったと思っている…。


 実際は、実家の窮乏を救いたい気持ちの強い、ふみの前に現れた二人の男。

 一人は悪名高い旗本筆頭の家柄の嫡男、仁神安行。もう一人は士分を金で買ったにわか侍の本田真之介。

 この二人を天秤にかければ、暴力男と噂のある安行よりも、町人上がりの真之介の方が与しやすいのでは。

 痩せても枯れてもふみは旗本の姫なのだ。にわか侍には勿体ないくらいだ。決して粗略には扱うまい。 

 それでも、決死の覚悟で受けた縁組だった。いよいよ結納の時が来た。だが、吹っ掛けた以上に上乗せされた結納金を手にしたときは震えたものだ。

 気晴らしに町へ出て見れば、地獄耳の従姉姉妹と出くわし、早速に嫌味を言われたものだ。

 武士の誇りを捨て、金に目がくらんで輿入れする…。

 実際にその通りなのだが、往来の真ん中で当てこすりを言われ、思わず動揺してしまう、ふみだった。


----あの時は、私もうぶでした…。


 早々に、二人をやり過ごし小間物屋に飛び込み、目に付いたものを買い、店の外に出れば久も下男の忠助もいない。道もわからず、誰かに尋ねようと思いながら人波に押され、気が付くと川の側の木の下に佇んでいた。そして、声をかけて来た商人風の男。それは白田屋の拮平だったが、その時は心細いばかりでどうすることも出来なかった。

 その男を追い払ってくれた若侍がいた。さらに、久と忠助が追い付いてきた。無事、帰宅してみれば、父の播馬が明日は両家の顔合わせだと言う。咄嗟に箪笥を開けるも着て行く着物がない。急いで佐和に着物に借りに行き、翌日の顔合わせの席に着けば、目の前にいたのは、昨日の若侍だった。

 この人で良かったと思ったのも束の間、相手の真之介はこの縁組を考え直せと言うも、断る選択肢など無いふみだった。

 そして、真之介も決心したのか、ふみの手を引いて歩き出す。

 最初の内はぎこちなかった二人の新婚生活だったが、それが、今では変り映えのしない顔を毎日付き合わせている、それが結婚の現実だった。

 その間には、真之介が引き起こした仁神安行髷切り事件の真相も知る。また、一部では、あれは真之介がふみのためにやったものと言われていることも知っている。

 だが、そのことが思わぬ形で耳にするとは…。

 それも、ふみに好意的な年嵩の奥方から事実として語られたのだ。


ふみ 「ですから、世間では、その様に思われているのです…」

佐和 「それは、良かったではありませんか」

 

 佐和もあの事件の真相は知っている。


ふみ 「ええ、でも、その様に思われているだとしたら…。何か、もう、嬉しく

   て…」

佐和 「それで、つい、笑ってしまわれるのですね」

ふみ 「そうなのです。何か、笑いが込み上げて来て…。ほほほほほ」

佐和 「でも、笑い過ぎると、しわが増えましてよ」

ふみ 「まあ、いやですわ、佐和殿。私たちはまだまだ、若いではありませんか。

   今から、笑いじわのことなど心配しなくても…」

佐和 「つまり、ふみ殿はそれ程に笑い過ぎと言うことです」

ふみ 「でも、笑う門にはって言うではありませんか」

 

 と、二人して、また笑うのだった。

 思えば、ふみがこんなにも笑った顔を見るのは初めてかもしれない。佐和の実家とて裕福と言うほどではなかったが、幸い、あまり大きな病気をする者もなく、普通に暮らすことが出来た。

 知行(土地)を持たない旗本はどこも困窮していた。ふみの家は、病弱な弟の薬代に追われていた。ふみが女中達と一緒に手内職をしていたことも聞いている。

 あの頃の、ふみはいつも同じ着物を着ていた。そして、暗い顔をしていたものだ。そんな時、旗本筆頭の仁神家から側室の話が持ち込まれる。貧乏旗本からすれば、玉の輿と言えた。だが、相手はあの暴力男。

 どうなることかと思っていると、祖母が頑なに固辞しているとか。

 その祖母が亡くなり、喪が明けた頃、ふいにふみの縁組が決まった時には驚いたものだ。それも相手が町人上がりのにわか侍…。

 暴力男よりは格下の男の方がマシだと思ったのだろう。どちらにしても、家の窮乏を救うための輿入れでしかない。そんな、ふみの心情が哀れでならなかったものだ。

 それが今はどうだろう。きれいな着物を着た、ふみが楽しそうに笑っている。御家人とは言え、暮らし向きも楽なのだ。


----ふみ殿も、早く懐妊なさいますように…。


 と、佐和は祈らずにはいられなかった。


ふみ 「あの、お宮参りのお着物は、真之介の実家にお任せくださいませ」

佐和 「まだ、先のことではないですか」

ふみ 「ええ、でも、笑いじわよりは先だと思いますので」   

 

 と、また、二人して笑うのだった。

 佐和の屋敷から戻った、ふみは早速に真之介の前に座る。


ふみ 「明日は実家へ。旦那様もご一緒に」



                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               








 










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