初めての魔物

え、兎…?


そんなことを思ってると兎がこっちに一気に飛んできた。

「うぉっ!」咄嗟に盾で受け止める。


初心者向けでも手ごわいな…。


「なに油断してるの!こっちもやるわよ!」

トーカは自分が盾に受け止めた兎に火の攻撃魔法を放つ。



「火の魔法か…おぉ!?」

…兎の2倍の火球が飛んできた。

ってちょ!あっつ!

「うわぁぁぁっちぃぃ!」

兎は跡形もなく消えて、盾が灰になり自分の体が火達磨になった。


[耐性:火炎] を獲得しました。


「あっごめんっ!い、今水の魔法を!」

トーカは焦ったのか、今度はダムで全力放水した時のような水を一纏めに自分に落としてきた。


「うわぁぁぁ!おぼぼぼb…」


[耐性:水圧], [耐性:気絶], [耐性:溺] を獲得しました。


しばらくすると水はなかったかのように消えた。

「た、助かった…。」

「大丈夫!?」

トーカが凄く動揺してるのが見える。


大丈夫…ではないな。なんか色々耐性がついてしまったっぽいし。

「でもまぁ…一応…大丈夫なのかな?」

「ごめん…。焦って手加減が…本当にごめん。」

え?手加減間違ったら、これ?


魔物を放ったと思われる場所から受付の人が走ってきた。

「あの魔法はなんですか!?」

「あれは…。」

トーカがどもるのが目に見えて分かった。


トーカの膝を突いてよろけさせると自分に倒れさせた

「初めての戦闘だったらしく焦って全力をぶつけてしまったみたいで…。」


ほら、ゲームとかだと魔法って精神力とか使ったりするから使いすぎたらふらついて倒れたりするでしょ。


「…そ、そうなんですか?」

受付の人も納得?してくれたようだ。


「それで、魔物は倒せましたか?」

トーカのほうをちらっと見ると抱かれたまま無言を貫いている。

「えっと…魔物は…火の魔法で跡形もなく消えました。」

「えぇ!?」

あ、やばい。まずいこと言ったかも。

「すごいですね!それなら安心して冒険者の証を渡すことができます。」

…あれ?

「あ…そうですか、ありがとうございます。」


「でも、今度からは全体を残して倒すほうがお金になるので、…冒険者の方の大体の収入はこれですから頑張ってくださいね?」


そうなのか…。

「では…これが冒険者の証になります。冒険者の証2枚の初期料金、金貨2枚を徴収しますね。」


「え。金取られるの!?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る