冒険者

「…冒険の装備とかは全て揃ったみたいだが、…冒険者って具体的にどんなことするんだ?」


「…え?冒険者になるのに、冒険者のことを知らないの!?」

ひどく驚かれた…。


まぁでも…そうか。冒険者のことを知らないのに冒険者を志すのはおかしいもんな…。

「えっと…。なんというか冒険者は色々な所を旅できるっていう感じしか知らなくて…。」


「まぁ、確かに冒険者は色々な所へ旅できるというのも魅力だけど、旅をするうちでの人との交流手段を始め、都市で買った物品を低価格で運べる。普通の商人とかだと税金がたっくさんかかるの。だから冒険者を始めるって人もいるわ。」

それだと商人とかじゃなくても冒険者をやるほうが得じゃないか。


「冒険者には欠点もあるわ。例えば…1つ、冒険者はこの都市を襲ってくる魔物などから守らないといけない。理由は簡単でこの都市に被害が出ると他のところへ移動が何ヶ月かできなくなるから。」


「2つ、冒険者の人に向けての定期的な試験がある。受ける場所によって違うけど大体は実技が多めね。魔物を狩れるだけの力があるか、ソロで狩れる力はなくともPTで必ず倒せるという証明があればいいらしいわ。まぁ、大雑把に二つだけよ。」

…その定期的な試験ってやっぱり難しいのかな?


「さぁ。人によって個人差は激しいから分からないわ。でも、これだけは言えるわ。魔物を狩れなきゃ冒険者になる意味がないってことね。」


おぉぅ…厳しいけどこれが普通なんだよな…。魔物が狩れなきゃ都市に被害が出るのは避けられないし。


「ってことで冒険のものは全て揃ったんだから、試験場所に向かいましょ。」


「え…定期的な試験って今日なの?」

「何言ってるの?定期試験は冒険者になってる人のための試験。冒険者入試験は特別なことが起こらない限り毎日行われているわ。そもそも魔物を狩った経験もないのにどう冒険するの?って言う話よ。」


あぁ…、なるほど。

「じゃあ今から自分たちはその試験をする場所に向かうってことか?」

「そういうこと。じゃあ試験会場に行きましょうか。」


---20分後


城から少し遠ざかったほうにある横にでかいいかにもギルド!とかそういう感じの場所についた。


…なんかすごく怖いんだけど。周りを歩いてる人のほとんどがごつい武器持ってて顔立ちすら歴戦の勇士と言わんばかりの趣きがあって…やっぱ冒険者むりぽ…。

「じゃあ行くわよ!」

トーカが俺の手を強引に引っ張り中に入った。

「ちょ…やめ、おぉ!?」


人ごったがえしすぎじゃね!?なんかラッシュ時の電車内のように混んでるんだけど。

その中をトーカはズンズン進んでいく。そして受付らしき場所に着くと

「冒険者になるための試験ってここで大丈夫ですか?」

すると受付の人は

「今日は定期試験の日だから少し場所が変わるわ。…そうね、着いてきて。」


受付の席を立つと隣にいる受付の人になにか言ってからこっちに来た。

「今から案内するから、ちゃんとはぐれず着いてきてね?」


まぁ、こんな人がいる中ではぐれたらどうなるか分かったものじゃないし。


受付の人にしばらく着いていくと裏庭のような場所に着いた。


「今日はここで試験を行っています。では、武器防具などがなければここから取ってください。」

見ると凄い数の剣と盾が大量におかれていた。


トーカは武器持ってるからいいとして、自分は盾は持っても剣は意味なさそうだしなぁ。盾2つで行くか。


「では、今から初心者用の魔物が来ますので構えてください。」


…受付の人が近くにある柵を開けるとそこからピョンピョンと兎が現れた。



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