正門にて

トーカと別れ、正門のほうに近づくと見るからに屈強な男と血気のある女性がちらほらと見えた。


そして自分が正門が近づくと筋肉がすごい赤髪の男とすらっとしたこげ茶の髪の女性が声をかけてきた。


「あな…「お?お前も城の警備をするのか?」」

赤髪の男が超さわやか系ボイスで話かけてくるので少し焦る。

「なんでそんな体でそんな声なんだ」…と声には決して言わないが。

というよりなんか今女の人のほうの声が消された気がするんだが…。


二人に言い寄られて咄嗟に、

「は、はい!初めてなので色々教えてもらえると助かります!」

なんか凄い焦ったように喋ってしまった。


「そうそう、名前はグレップ・トゥルビンってんだ。よろしくな!」

「私はメテリフ・パーシャと言います。仕事で一緒になったらよろしくね。」

…今思ったんだがこの二人は夫婦なのか?仲良さそうだし。


「お前体ほっそいな…城の警備なんて仕事大丈夫か?俺のほうの仕事と一緒になった時にはよろしくな!」


「…あなたの名前は---」

その後もやんやと二人がほぼ一方的に喋って来る。

やばい変な人に絡まれたかもしれない、早く逃げないと…。


「…城の警備のものはこれで最後かぁ?」

すぐそこの人だかりの中で大きな声が響く。


「4人ぐらい足りないぞ!来てないのか?」

…ん?警備の人呼ばれてね?


「あ、すいません!来てます!!」

「やべ!急ぐぞ!」

「あ、時間ギリギリだったの忘れてた!今行きます!」


近くの人から、間に合って良かったなとかまたあいつらかとか後ちょっと遅かったら…うっ。という言葉が聞こえた。おい、最後に聞こえた言葉怖いぞ!?


「えー、これでちょうど…一人足りないぞ?あと一人はどこだ?」


「ここにいますっ!」

と一人の声が下のほうから聞こえた。


…ん?下?

目線を下に向けると自分を見つけてもらうために必死にぴょんぴょんしている薄青色の髪をした子供がいた。

やば、…かわいい。


「またお前か!」

またお前か!ってことは、顔見知りか?


「今回はちゃんと参加紙を渡したでしょ!それに弟を身代わりに渡したんだから!これでも文句あるの!?」


すごい背も胸も小さいのに気迫がすごいなぁ…。なんて思ってたら、ギロッ!と睨まれた。み、見透かされた?…怖。


「お前みたいな子供が城の警備なんて無理だと前々から言っているだろうが!」

「私は12よ!もう大人よ!」

え?12で成人を迎えるのかこの国…いや自分の知識がおかしいだけで12で大人が普通なのかもしれない。


「大人と言い張りたいなら後3年は待て!」

そんなことはなかった。


「そんなには待てないわ!今回こそはお金をもらって冒険者になるんだから!」

「警備はいつもどおりさせないが他の仕事をやろう。」

そういうと2枚の紙をもらって女の子は妥協したようだ。


1枚目は参加紙と思うけど2枚目はなんだ?他の仕事の紙か?

…話しかけてみるか。


「ちょっと待ってくれないか。」

「なんですか。背と胸を見てた人。」

うっ。


「何図星を突かれたような顔になってるんですか。あ、図星を突かれたんですか。すいません。それでは。」


…イラッ!

なんか話をするのが嫌になったわ。というよりこんな子供相手に何やってるんだろ。他の仕事を知って何になるんだ。今は城の警備を始める前なんだ。


そっちに集中しよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る