警備の概要

「城の警備はできるわ。大体朝方の6時~昼12時、12時~夕方6時、6時~夜12時、夜12時~朝6時の4交代のどれかを選んでもらうことになるわね。全部選んでも良いけど。」


結構つらそう、っていうか全部とか無理だから。6時間か…。

でもこんなにきついなら給料高めは当たり前かもしれんなぁ…。

いまさらだが給料とかどれぐらいか気になってきた。


「給料は大体ねぇ…どの番を選んでも基本金貨1枚ぐらいかな~。」


…金貨1枚ってどれぐらいだ?


「え?金貨1枚あれば、大人2人が1週間普通に食事が食べれて、さらに普通の宿に泊まれるぐらいあるよ。」


大人2人の1週間の食事と1週間分の宿代の合算…大体5~10万円ぐらいか?

6時間で5万入るならこれは良い仕事…そう思えるのも納得だな。

普段は城までの交通整理、城に出入りする人数の確認、極稀に来るのは要人を守る仕事など。


「…ねぇ、ウルマは今日の昼からってできる?今日の昼の警備の人と身代わりが同時に病気になって人数が足りなくなったらしいの。」


早くない?…というかなんか嫌な言葉が聞こえた気がする。…身代わり?


「城の警備は命をかけるぐらいの忠誠をもってやってもらわないと困るから、誰であっても身代わりを必ず取るの。…そうね、例を出すなら大体愛人や恋人、家族、要は大切な人が身代わりとして取られることが多いわ。

身代わりを取る理由は、無連絡の仕事放棄とか賄賂、横領などをしてたときの違反の罪がお金でしか罪が取れないから。責任の肩代わりとして身代わりを差し出すことになっているの。もし違反してしまったときの最悪だと、目の前で身代わりの大切な人の命が消えることになるわね。」


…もしかして今回自分が働くときの身代わりってまさか?


「私ね。でも違反することをしなければいいのだから大丈夫でしょ?」


なんてことを…。初対面の人にここまで融通は働かせないぞ…。


「なんでそんなに気を利かせてくれるんだ?」


「え?だってお金がなければ何をすることもできないじゃない。今日6時間働いて金貨1枚もらえばさすがに冒険者として最低限旅立つことはできるでしょ。」


確かにお金がなければ何もできないかも知れないけど…。


「ってことでそろそろ時間もないし、城の警備行ってらっしゃい!警備の人が集まってるのは正門だからそこに行ったら良いから~。私も特定の場所に行ってくるね。」


トーカは急に話を終わらせるとともにどこかへ走っていった。

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