世界に落ちた後
眼が覚めると辺りを見渡すと家の中。
「…あ!眼が覚めたようですね…大丈夫ですか?」
「誰だ…また幼女みたいな格好をしてるな…。」
「よ、幼女じゃないです!身長は確かに140を超えたかなぁ…ってぐらいですけど、私は今年でやっと18歳になったのですよ!これでやっと町の外に出られる年になったのですから。」
怒らせたみたいですまんな。
「身長のことを言われるのは慣れっこなので良いですけど。」
良いのか。
「それよりも!何で私の初めて持った自分の家の中庭で寝てたんですか!家を持って2日目の朝に眼が覚めてふと中庭に言ったらあなたが寒そうに寝てたんですから!運ぶの大変だったんですよ?玄関で寝てる人の土を落とすのとかも!」
それは…、あの幼女め…変なところに落としてんじゃねぇ。
「…本当にすまなかった。」
「…もういいです。」
なんか膨れてる顔見るの久しぶりだな。
「…運んでくれて疲れてるのに怒るの疲れないか?」
「だれのせいですか!こんなに朝から疲れさせたの!」
それは本当にすまない。
「それで、私の家の中庭で何で寝ていたんですか?」
眼が覚めたらここにいた。なんて言っても通じそうにないし…。
「それが…今までの記憶が曖昧なんだ。どこから来たのかも。」
記憶喪失設定で貫くことにしてみる。
「そうですか。それは災難でしたね。でもこんな都市のほぼ中央に位置する私の家の中庭で…。なぜ…倒れていたのですか?」
やばい。そんな場所だなんて思ってなかったぞ…。どうしよう。
…。
ぐぎゅるるる…。
「…おなかが減って朦朧として迷い込んだんですね。それなら仕方ないです。」
少女はそれを言い終えるとすぐに食事の準備をしに行った。
あれ?行けた?今のうちに一安心しておくか。
「食事の用意できましたよ。」
「あぁ、ありがとう」
さて、この世界での初めての食事、
「…あ、そういえば、あなたの名前聞いてませんでしたね。」
…意外にもやわらかいパンだ。何もつけてないが素朴な味でおいしい。
「自分の名は…、漆守(うるし まもる)っていうんだ。あなたは?」
「私はマギエ・トーカ、…トーカって呼んで。そっちは…ウルシマル君とか?カッコよさそう。」
なにそれ、それだったらウルマで、なんかそっちのほうが自分で言いやすい。
「そう…じゃあウルマ君これからあなたはどうするの?」
まずは、働く場所を探して…お金が貯まったら旅に出ようかな。
「じゃあ働き場所かぁ。人柄も良さそうだし…城の警備なんてどぉ?」
城の警備?
「そう。城の警備。時給が高くて優遇も良いからね。こんな大きな城を狙う人なんてほぼいないから安心だし。」
「そうか…じゃあその仕事受けてみようかな。面接とかはあるの?」
なんか倍率とか高そうだし。
「面接?話し合うみたいなことはせずともいけるでしょ。じゃあ先行って待ってるね。」
トーカは食事を終えるとすぐに出かけていった。
近くにあったバッグさえなにも持たずに。
「あれ。忘れ物していったか?」
後ろから追いかけたほうが良さそうかな?
無用心だなぁ。田舎じゃないんだから。
…よし、この家の鍵をちゃんと閉めて出かけるか!
鍵も全てテーブルにおいて行ったようだし。
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