前の世界から死んだ後

ここはどこだ。


「やあ、君が不思議な願いをしたんだね?」


ふと後ろから声が聞こえ振り返る。


…だれだ。この茶髪の9歳ぐらいの女の子は。


「9歳ぐらいといわず幼女のゼウスちゃんと言ってよ。」


え?なにこいつ。きもい。


「きもいってひどい!9歳の心はガラスの心なんだよ?」

知らねえよ。そんなガラスの心は砕けちまえ。



というよりなぜに自分から幼女と言っているのか不思議だ。


「見た目が幼女だからだよ!…不思議なのはこっちもなんだけどなぁ。君はさっきから声を出していないのに話せている事実を驚きもせず確認すらしないまま普通に話しかけてくるんだもん。」


そういえば、自分が思っているだけなのに話になっているな。


「…え?今気づいたの?」

今気づいたからそっちに聞こえたんでしょ。

というよりやっぱり神に見えないんだけど。


「神が神って言う時点で神だから。」


意味分からん。神?こんな自分から幼女と言っているこのおかしな人が?

じゃあもっと神らしいことしてよ。


「もう後光とか差してる時点で神だ!っていうオーラが分からないのかなぁ。」


後ろからスポットライトでも照らしゃあ後光みたいなものはでるだろ。

後光だけで神と思えるほうがおかしいわ。


「うわ、ひどい。私のことをただのスポットライトを浴びて後光があるから神だと言い張っている幼女と思っているんだ!」


そのとおりじゃないか!現に後ろに翼の生えた天使みたいな人が1kmぐらいはなれたところからピンライトみたいなものを当てているわけだし。


「え!なんで見えるの!?普通の人にはかすんで見えないはずなのに。」


そりゃ自分は視力2,0から一切落ちてないからな。


「いや、普通の人だったら1kmの先の人は見えたとしても、天使の羽なんて見えないから。」


そうか、じゃあ自分の目がすごいってことで。


じゃあもっと神らしいことをしてよ。


「そうだね。…って!なんでまたループしないといけないの!」


ばれたか。


「そうそう。ここでこんな話題でぺちゃくちゃと話し込んでる時間はないからね。君がここにいることについて話そう。」


自分は死んだからここにいるんだろ?


「そうだね。そして君は死んだときに人を守る力なんていらないから自分を守る力が欲しいと思って死んだ。それは覚えているよね?」


あぁ。あいまいだが思ってたな。


「だから私から君に守る力を与えようと思う!」


へぇ…そうか。それで?


「それで?じゃないでしょ。そこは転生物のテンプレみたいに嘘だろ!?とかこいつぁありがてぇ!とか言うものじゃないの?」


そんなことを言うやついないだろ?漫画みたいな台詞。


「えぇ!?100年前の転生者は実際にこいつぁありがてぇ。って言ってたのに。」


そりゃ江戸とかのぐらいだったらそんなこと言うかもしれんが、現代でそんなこというやつは大体頭が悪いかおかしいやつ…幼女らしき奴が神とかほざく奴ぐらいだな。


「私はおかしくないでしょ!?」


はぁ?…いきなり自分から話しかけてきて幼女だの、神だの、おかしなことしか言ってない奴が、おかしくないわけないじゃないか。


「う…」

論破されてんじゃねぇよ。まだ言い返せることあるだろ。


というより早く死んだときに思った…願った?力とやらを与えてみろよ。


「分かったよ…はい。じゃあ早速この能力の説明をするね。」


第一、守備力,魔法守備は∞となる。

つまり、相手から食らうダメーシは必ず1になる。


第二、代償として攻撃力,魔法攻撃は1となる。

つまり、いくら攻撃しても相手に1ダメずつしか与えられない。


第三、そのほかのステータスは今から行く世界の人々とほぼ同じになる。


第四、ゲームみたいなステータスみたいなものが見れる機能もあげるから頑張って!


「ざっと言えばこんな感じ。そして君には世界の危機を救ってもらいたい!」


第四はふざけてるとして、確かに自分を守る力は高いな。


「でしょ?じゃあさっそく「ちょっと待て。」…なに?」


だれがその世界に行くと行った?

俺は世界が変わってもやられるのなら絶対行きたくない。


「えぇ。じゃあ仕方ない。他にその世界の全ての言葉が分かるようにして最低限のものは用意してあげるから。ね?」


ね?じゃないんだ。自分はもう生きるのに飽きたんだ。


「そう。じゃあもう埒明かないし、行ってきてね。」


そして体が浮かぶ。


「おい、聞いてんのか!?行かないからやめろって言ってんだ。やめろ!」


「がんばって世界救ってきてくれたらやめるよぉ。」


よし。今度この部屋に来たら思い切りお前を跪かせて泣かせてやる。


「わぁ。怖いなぁ。じゃあねぇ。行ってらっしゃ~い。」

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