七

 浴衣姿の小柄な老婦人は、まるで何世紀も前に死んでそのまま保存されているかのように見えた。

 その表情をたとえるのなら能面かあるいは蝋人形で、ただ単に表情がないとしか形容のしようがない表情を浮かべている。

 だから、その老婦人がどのような生涯を送ったのか、まったく想像のしようがなかった。


 わたしはガシゴシ歯を磨きながら新たな死体の置き場所を考え、そして五分後には、他の死体と同様、その存在を極力頭の中から追い払った。

 人間というのは、どんな事態にも慣れてしまうものである。

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