弐、永遠の世界へ、ようこそ(1)
木片の軋む音が空気を震わせて、定周期に鳴く油切れの金属の摩擦が耳に触る。それが切掛けとなって、薄っすらと意識が戻り、日の眩しさが少女の瞼に刺さった。
「ん……」
小さな声を上げて、少女は目を覚ます。まだ意識のはっきりしない頭に乗っかった藁を手で払い除けると、低血圧の身体を起こして大欠伸。惚けた顔で周りを見渡す。
古い石壁に、藁の山。目の前で途切れた床板。お尻のさらに下の方からは、何かを掻き分ける音と陽気な口笛。
再び車輪の軋み、扉の閉まる音が聞こえた所で、明日葉は自分の置かれた状況を思い出した。
「ああ、そうだった! 寝ちゃったんだ!」
改めて周りの殺風景を感じて、青色吐息。
「夢じゃなかった……」
肩を落としながらも立ち上がり、窓から外を眺めて見る。眼下には帽子を被り、デニムのオーバーオールを着たおじさんが、一輪車に藁を載せて隣の飼育小屋へと入って行くのが見えた。先程の音はこの牧場主だろう。
「人形じゃなくて良かった……」
安心すると、改めて何だか自分の身体に違和感を感じた明日葉は、窓から入る日の光を浴びたまま、視線を落とす。白肌色の肢体に、コンプレックスの小さな胸を覆う、淡い空色のフリル生地。下もお揃い。
「え、ええ!」
誰もいないのに、明日葉は思わず身体を隠して、しゃがみ込んだ。明日葉には服を脱いだ覚えもなければ、そんな寝相の悪さも持ち合わせていない筈だった。しかし、下着姿。
小屋の中に自分一人である事を確認し直すと、ほっとして、明日葉は擦れた肩紐を直した。
「借りものなのに、どこ行っちゃったんだろー?」
辺りの藁山を掻き分けても、下階を覗き込んでも、来ていたはずの着物とポンチョは見当たらず。まさかと思って自分の身体を確かめてみるも、特に乱暴を受けた形跡も痛みも無かった。
藁の中から見つかったのは、纏めてブラウスに包まれた、乾ききった自分の衣類のみ。
「おかしいなぁ……」
首を傾げながらも明日葉は、取り敢えず服を着た。しかし、何が起こるか分からない世界だ。気になるが、気にしても仕方がない。夜中の内に生命でも宿って逃げ出したって不思議ではないのだ。
「人形でも、生きてるみたいだもんね……」
そう呟きながら、明日葉の脳裏には昨日の弁慶人形が浮かんだ。あれ程、死を間近に感じたのは初めてだ。余計に暗闇が苦手になりそうだった。明日葉は身震いして、記憶から込み上げる早い脈拍が落ち着くのを待った。
「ふぅ……あそこは二度と行かない」
その決意は良いとして、これからどうするか。少し考えた明日葉は、あの城の事を思い出した。あの場所の近くに吊り橋が有るはずなのである。自分の家に戻る方法があるとすれば、手掛かりはそこしか残されていない。
「お城に、行くしかないかな。よし!」
明日葉は腕を上に、背筋を伸ばした。帰るまでは前向きになると決めたのだ。今は無理矢理でも楽天家を気取ろう。自分は元々暗い性格ではない筈だから。天国のお父さんも、きっと見守ってくれる筈。そう思って、明日葉はふとドーム状の天井を見上げた。
「でも、ここが別世界だったとして、天国からなら此処が分かるものなのかな」
片手を天に伸ばして、尋ねてみる。
「お父さん、ここ、どこ? どうやったら帰れる?」
虚しくサイロ内に、ハスキー掛かった声が響くだけで、返事がある訳もなかった。そりゃそうか、と明日葉は頭を掻く。
「お城に行かないと。街で聞いたら、道、分かるよね」
寂しさを紛らわせる為に、独り言を頻繁に呟きながら、明日葉は窓の外を確認する。太陽はもう高くに黄色く輝いて、風に揺らぐ草原を明るい緑に染めていた。それでやっと自分が昼過ぎまで寝ていた事に気付く。
「疲れてたから仕方ないかな……あはは」
元々の寝坊助な体質はさておき、窓から見える範囲には牛と馬と羊だけ。人形らしき影は特に見当たらなかった。
「よし、幸先良い」
明日葉は口元を綻ばせて、サイロ内の階段へ。しかし、一段下りようとして、一階の床が目に入った。四階の高さを思い出し、顔が強張る。
「こ、怖いものはやっぱ怖い……」
くるりと反転してから、膝と手を床に。そのまま後ろを向きに這いながら、ゆっくりと階段を下りていった。
扉を細く開けた隙間から今一度外を確認して、明日葉はサイロから飛び出した。牧場を抜けて柵を跨ぎ越え、トウモロコシ畑に沿った土道の轍を歩く。しかし、幾つ目かの角を曲がった先に何かがある気配を察して、明日葉は畑の中へと飛び行った。
トウモロコシの木の間から覗くと、橋の手前に侍型のからくり人形が胡座を掻いて、微動だにせず座っていた。よく見ると昨日、鉢合わせた場所と同じ所だ。
「ここが見張りのポイントか何かなのかな」
とにかく今日は気付かれずに済んだ。明日葉はそのまま、こっそりとトウモロコシ畑の中を抜け、昨日の通った河原へと降り立った。飛び石で向こう岸へと渡ろうと、明日葉が足場の石を探していると、昨日と同じ様に、岸に丸太が流れ着いている事に気付いた。
「んー……あれ、また引っ掛かってる」
此処に物が引っかかり易い流れなのだろう。明日葉はそう単純に理解すると、これ幸いと、その丸太の上流側を蹴って、水面で回転させる。これが上手く、思惑通りに遠くの飛び石に引っ掛かった。手前側は、岸の岩に掛かったままである。
これで橋の代わりが出来た。この丸太を渡って飛び石まで行こう。明日葉はそう考えて一歩を踏み出したのだが。
「わっと、と。やだっ!」
案の定、丸太は直ぐに回転し、明日葉は川へと足を滑らした。水面に輪が幾重にも広がりながら、流れ行く。一方方向の圧迫感を持って、冷や水が明日葉の脹脛を覆う。
「あ、でも、なんかこれはこれで冷たくて気持ちいい」
転ばずに脚だけの被害で済んだ明日葉は、呑気に開き直ると川底を歩いて進んだ。深くとも膝上ぐらいまでだ。ホットパンツにも届かない。
「靴だけ濡れちゃたけど……この天気だし、直ぐに乾くよね」
岸に上がった明日葉は、一度靴を脱ぎ、中の水を捨てると、靴下だけ脱いで履き直した。その足で、昨日の道を歩み戻って、一日ぶりの街の広場へと辿り着く。
昨日と特に変わった所もない。奇妙な人達が普通に楽しく寛いだ空間。ただ、まだあのシーザークラウンは広場に来ていない様で、どこにも見当たらなかった。
「ピエロさんはいないか……なら、お城の場所を聞くとなると、昨日話したあのパン屋のニーナさんか、向かいのタオさんが良いかな。タオさんには、ポンチョを無くした事を謝らないとならないし」
明日葉は足早に広場を抜けて、街の入り口へと向かった。赤煉瓦の建物の間を歩くと、今更ながら、一つ一つの入り口の上に壁掛け看板があるのに気付く。鉄板を様々な形に切り出して黒く染めただけのシンプルなものだが、そのシルエットで何を扱う店かが分かる機能的なデザインだ。昨日は下ばかり見て居たから気にも留めなかった。
その看板の中にバケットの絵を見付けて、明日葉は立ち止まる。中を覗こうとすると、ちょうど店の扉が開き、あの焼いた小麦の香ばしい匂いが漂う。そして、同時に出て来た赤いディアンドルの女性と鉢合わせた。確かに、昨日世話になったニーナだ。
「あの……」
明日葉はそうやって声を掛けようとして、思い掛け無い言葉を耳にする。
「あら、見かけない顔ね」
確かに昨日と同じ声で発せられたニーナの言葉に、明日葉は硬直した。見た目も昨日の人と全く同じ筈である。少なくとも明日葉にはその出会いの記憶があった。それでも、相手の目は、全くの初対面を相手にする時のキョトンとした目付きだ。
それはさておき、硬直はしても生理現象は別である。あの美味しい香りにつられて、今日もまたもや、明日葉のお腹の虫が鳴いたのだ。そう言えば昨日のサンドウィッチから何も食べていない。しかし、今日は恥ずかしさを感じる余裕なく頭が真っ白になっていた。
そんな明日葉に見兼ねたニーナは、
「んー少し待ってて」
そう言うと慌ただしく扉を開けて、家に入って行った。暫く明日葉が混乱している内に、再び扉が開いてニーナが出てくる。
「お腹、空いてるんでしょ? これでも持っていきなさいよ。うちの店自慢のサンドウィッチよ」
既視感どころの話ではない。明日葉が恐る恐る中をのぞき込むと、果たして中には昨日と同じサンドウィッチが二つと、瓶牛乳が一つ。明日葉は紙袋を受け取りながらも、取り乱したくて堪らなかった。
「え……ええ……と」
戸惑う明日葉を勝手に解釈したニーナは大きな口を開けて笑う。
「もしかして、お代とか考えてる? あはは! 気にしなくていいわよ。困った時はお互い様よ。言うじゃない、情けは人の為ならずって。見ず知らずの人でも、困っている人を助けるのは当然よ」
昨日と寸分違わぬ台詞に、明日葉は得体の知れない何かが血管の中を駆け巡ったかの様に感じた。更に、追い討ちのように背後の建物から人の出てくる気配と、聴き覚えのある声がする。
「なんだか騒がしいと思ったら、やっぱりニーナか」
振り返ってみると、頬髭とウエスタンハットが特徴的なおじさん。挙げ句の果てには、昨日貰った筈のものと同じ柄のポンチョを羽織っている。
やはり悪戯な笑みを浮かべているタオに、ニーナは冗談で口元を引き締めた。
「騒がしいってのは、余計だね。こんにちは、タオさん」
「ああ、こんにちは」
タオは笑いながら挨拶を済ますと、好奇の目で、顔面の筋肉を引き攣らせた明日葉を眺める。
「おや、そちらの御嬢さんは初めて見る顔だ」
もう明日葉は絶句する他なかった。虫酸、と言えば良いのか。それが食道を登って喉まで焼いていた。あまりにも度を越した悪い冗談にも聴こえるが、目の前の二人は至って大真面目だ。
明日葉には、それからの展開が容易に予想できた。
タオが葉巻を口に咥えて。自分の羽織っているポンチョを取って。明日葉の肩に掛ける。それから相変わらず滑舌の悪い言葉が、呆然とした明日葉の耳に遠く響いた。
「なんだか寒そうな格好だ。それじゃあ夜に冷えるから、これを持って行きな」
人の気も知らないタオの相変わらず優しげな瞳が、余計に心を乱すようで、明日葉には寧ろ憎らしくすら感じられた。
「ええっと……」
胃酸を飲み込んで何とか喋ろうとする明日葉を、昨日のタオの台詞がそのままに遮る。
「いいから、いいから。ちょうど君と同じ年頃の娘がいるんで、なんだか放っておけなくてね」
そこからは、また、既視感のあるニーナとタオの会話が始まった。
「そう言えば、今日はそのセッちゃん見てないね。どうしたんだい?」
「あのお転婆娘、早朝からどこかに出かけててよ。どこに行ったんだか……まあ、そのうち帰ってくるさ」
「男でも出来たんじゃないのかい?」
「まさか、それはないさ。昨日までの様子を見ててもね」
もう十分だった。こんな茶番を皆まで聞く必要は無い。明日葉の混乱は憂鬱を経由して、終いには段々と怒りに変貌してきた。それでも目の前の二人は悪意を持つ訳ではなく、あくまで親切だ。明日葉は声を荒げるのをできるだけ我慢しつつ、それでも張った声になりつつも、早口で二人に向かって言う。
「ま、待ち合わせがあるので! 私はこれで! ありがとうございました!」
明日葉は勢いよく頭を下げると、そのまま二人の顔も見ずに広場の方へと回れ右。駆け出したい衝動を抑えて、早足でその場を去った。しかし、歩きながらも、自分のついた嘘が昨日と同じだった事に気付いて、何だか訳の分からぬ自己嫌悪に苛まれるのだった。
広場に戻ってきたが、頭の中を疑問符が駆けずり回っていて、お城への道を尋ねるどころでは無かった。ついでに、紙袋から溢れるパンの香りにも我慢がならなかった。お腹が減っては考えられる事も考えられない。取り敢えず、サンドウィッチを食べながら一度落ち着いて現状整理をしよう。そう思った明日葉は、昨日と同じ、水場の脇に座る。
周りを見渡せば、武士の恰好をした人物と白いアオザイの女性が向かい合ってパラソルテーブルの下で紅茶を飲んでいたり、香港映画に出てくるようなカンフー衣装で花摘みをしたり。かっちり固めたオールバックのタキシードで子供と砂遊び。白い布を身体に巻きつけた古代ローマ人がスケボーの練習。挙げ句の果て、緑色の糸を全身に纏うギリースーツを着た軍人が芝生に寝転がって呑気に読書に耽っている。
今となって明日葉が気付いてみれば、皆が皆、昨日と寸分違わぬのだ。先程の丸太にしても、もしかすると昨日と全く同じ物だったのかもしれない。この様子であれば、自分を海から引き揚げてくれたカヤですら、何も覚えていないだろう。
「永遠の幸せ」
何となく、その言葉が明日葉の頭の柔らかい所を突いた。平凡な毎日の、本当の繰り返し。きっとこの世界では誰かが誰かと別れる事など決して無いのだろう。成る程、それで永遠の幸せか。いつまでも幸せに暮らしましたって言う事ね。そう考えると、明日葉にはこの世界の茶番と、此処へと勝手に導いてくれた仮面の男に、新たな怒りが沸々と湧き上がって来た。
眉間に皺を寄せて前を睨みながら、明日葉はサンドウィッチを取り出す。ヤケくそになって喉に詰まりそうな程の量をかぶりつき、頬袋を膨らませた。顎に一層力を入れて思い切り噛み締める。
そうしていると、赤い着物の女の子が近付いてきて、明日葉にはまたしても先が読めた。予想通りに、昨日と同じ女の子は明日葉の横に座る。それをちらりと目配せで確認した明日葉は、前を向いたままで、祈る。
(言わないで。何も言わないで。聞きたくない。確信を持ちたくない)
しかし、そんな想いも虚しく、女の子は明日葉の顔を覗き込みながら、こう言う。
「お姉ちゃん、なんでそんなに怒ってるの?」
今日は泣いていなかった為に、少しだけ違った。それはさておき、何故って、何故も何もありますか。むっとして、明日葉は口の動きを止め、横目で女の子と視線を合わせた。
「むかつくの?」
少しの間。
「変なの、この島の人はみんなずっと幸せなのに。ほら、皆、楽しいよ?」
だから、今の明日葉には、その、昨日以上に能天気に見える人々が腹立たしいのだ。この子も含め、皆に罪は無いのだろうが、全くもって現実に気付いていない所が堪らない。明日葉からすれば、その楽天に加わる事を全員から無理強いされているようにさえ感じるのだ。
明日葉は女の子に返事をしなかった。無口の膨れっ面で再びサンドウィッチを食べ出せば、交番の横の小道から、やはりシーザークラウンが現れる。昨日と同じ、黒に紫のストライプが特徴的なスーツ。地面を滑るように歩いて、明日葉に近付いて来た。
もはや投げやりにすらなっていた明日葉は、牛乳で強引に口の中のものを流し込んで、シーザーに冷めた目を向けた。
(どうせ、人形劇が始まるんでしょ)
しかし、シーザーは、明日葉の目前に立つと、長い手足をダイナミックに動かして、陽気にパントマイム。見えない鞄に振り回されながら、一言、二言。
「これは、どうも、今日も来ていたお客さん。君も何かに振り回されて」
やっと透明な鞄を捕まえたシーザーは、驚いたように左右を見渡し、尻餅をついた後、今度は見えないロープに縛り付けられた。大袈裟に表情豊かだったシーザーの顔が、堅い不貞腐れた面持ちへと変化する。そして、天から引っ張られるように立ち上がると、ロープが切れ、手先の垂れた操り人形のように踊り出す。
「そうさこの世は、あゝ可哀想なお人形さん。毎日飽きずに同じ顔。だけど貴方には珍しき、流るる時のお客さん」
相変わらず分かりにくい言葉遣いながら、昨日聞いた言葉から相当に掛け離れている事だけは、明日葉にも分かった。どうやらシーザーは明日葉を憶えているらしいのだ。面食らった明日葉の手から牛乳瓶が滑り落ちる。ガシャン、と硝子の砕ける音が鳴った。
少しだけ、時間が止まる。
割れた瓶を気にするより先に、明日葉はシーザーに訊いた。
「えっ? あの、もしかして……」
しかし、シーザーは言葉を遮って、明日葉の両手を引っ張り、立ち上がらせる。そのまま、自分のダンスに巻き込む形で、明日葉に無理やり社交ダンスを躍らせた。リズミカルに動く二人に踏まれて、足元に散らばった硝子片が鳴る。
明日葉は唖然として、エスコートされるがまま。すると、シーザーは踊りながら奇妙な歌を歌った。
「おっと、時は駆け出す、馬より早く。ハイヨー、シルバー! 追われてるなら逃げろや逃げろ。来るぞ来るぞ、奴らが来たぞ。いつか捕まる捕まったら、あゝ、あなたも可哀想なお人形さん」
歌い終わったシーザーは、明日葉から手を離し、一人でくるくると回転したかと思うと、最後には糸の切れた人形のように脱力。カクン、と首を落とし、膝を地面に着いた。
「え……あの……」
そう言い掛ける明日葉に、シーザーは少しだけ顔を上げて、街の路地へと目配せした。
明日葉はそこで気付く。シーザーはあの人形たちが、近付いて来た事を教えてくれているのだ。軽く頷く明日葉に、シーザーはウインクを飛ばして見せた。
街路を見るにまだ此方までやってきていないものの、街並みの方が騒がしい気がする。明日葉は振り返って、まだ水場に腰掛けた赤い着物の女の子に尋ねた。
「ね、ねえ、お城ってどっち?」
女の子は、ポリスと書かれた建物の脇にある道を指差した。
「お城はねー。あそこをまっすぐいって、みぎー。それか、海岸線をぐるーっとまわるの」
「ありがとう」
しかし、これを聞いたシーザーが慌てて起立し、両手を自分の目の前で振りながら明日葉に言う。
「あそこはいけない、夜の帳そのものだ。近寄り難きに、近寄るな」
「でも、行かなきゃ帰れないんです。もう、あそこしか手掛りが……」
明日葉がそう言っている間に、広場の入り口の方から昨日と同じ悲鳴が聞こえた。
「うわー! な、なんだ!? 人形が、人形が動いているぞー!」
振り向けば、侍型からくり人形が二台。此方に気付いて向かって来る。それを見た明日葉は、素早くぺこりとシーザークラウンに頭を下げる。
「もう行かなきゃ! あの、ありがとうございます!」
何かを言い掛けるシーザークラウンだったが、人形達が走り出したら、明日葉も聞いてはいられない。大慌てで、隅の小道に向かって駆け出した。
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