生存放棄(2)


   11


 私は白石朝美。高校二年生。母はいない。父は駄目な大人。仕事はろくでもない『バイト』。

 私は今無人島にいます。友達は寝ています。私は寝ていません。

 黒神君達は怪物が出てきたといいました。だから私は寝るのをやめました。怪物に寝込みを襲われたくないから。

 私は疲れました。でも寝たくありません。死にたくありません。生きたいのです。

 友達と話がしたいです。きれいなお水が飲みたいです。白いお米が食べたいです。

 辛いです。私は辛いです。たぶんみんなも辛いです。

 そのとき、暗闇から光が見えました。助けにきた救助隊さんですか?

 私は声をかけました。誰もいませんでした。人はいませんでした。バケモノはいました。

 私は泣きました。叫びました。血まみれの稲月くんと蟹江くんと三和くんが見えました。すぐにふっと消えました。

 私は謝りました。ごめんなさい、ごめんなさいって。ゆるしてください、ゆるしてください。って。

 ――なんか私は憑かれました。眠りたくなりました。死にたくなりました。逝きたいのです。

 私はもう限界です。

 それではみなさん、さようなら。

 白石朝美。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る