第7話 貴族のお嬢様視点
あの悪魔は、私たちを繰り返し繰り返し尋問した。
頭が朦朧として寝かけたら、蹴られ、殴られ、そしてあの恐ろしい拷問魔法をかけられた。
私は公王の城に上がるときに、親戚筋の貴族に公王の近辺で何かあったら知らせるようにいわれていた。
何かあったときにすぐにお力になるためだと言っていたが、そこに何の裏もないと信じるほど呆けてはいない。きっと、私は私の知らないところで行われるゲームの手駒なのだ。
そういった、裏も表も、あの悪魔はすべて聞き出した。
あの冷徹で容赦ない尋問の前に隠し立てなどできる筈もなかった。
あの悪魔は、先王陛下を毒殺したのが誰か、も私やメイドに聞いた。
そんな事を没落泡沫貴族の私や下働きのメイドが知るわけがない。だが、あいつは何度も何度も聞いた。
私は考えられる限りの事は話した。メイドも、ほとんど作り話のような噂まで、何でも話した。
行商人や娼婦に町の様子を何度も尋ね、娼館を訪ねる客のことまで聞いた。
旅芸人や巡礼者は町の外について寝堀り葉堀り聞き出された。そして聞き出した話を、奴は紙に書いて記録していた。
ありえない。
どんどん目が霞み頭が朦朧としてくるのに、同じように起き続けて6人相手に一人で尋問をしているあいつは、まったく平然と淡々としていた。
人間じゃない。
もうどれくらい経ったのかわからなくなってから、ようやく寝ることを許してもらえた。
私たちは倒れるように眠りに落ちた。このときは、これが終わりではなくて、始まりに過ぎない事を知らなかった。
それから、あの地獄の毎日が始まったのだ。
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