第3話 叩き潰す。コントローラー

柏くんはゲームの対戦で勝つと大喜びし、

負けると本気で怒ります。

そういう人がいると場が盛り上がるので、

対戦ゲームをする時は必ず呼びます。


しかし、彼には悪い癖があります。

それは、怒るとコントローラーに

八つ当たりすることです。


人ん家のコントローラーでも叩きつけたり、

真っ二つに折ろうと力を込めたりします。


ある日、遠藤くんの家で、

対戦ゲームをやった時、柏くんが負けて、

怒ってコントローラーを壁に投げました。


僕はコントローラーを拾い、

操作してみました。

コントローラは壊れていませんでした。

しかし、壁が若干へこんでいました。


柏くんの家のコントローラは、

プラスチックの部分が割れています。

対戦している時に限らず、

一人でゲームをしているときも、

コントローラーを叩きつけることがあるそうです。


割れたコントローラーを僕が見た時、彼は、

「友達のコントローラーは割ってないだろ?それはな、

ちゃんと手加減しているからだ。なっ」

と誇らしげな顔で言いました。


幸い僕のコントローラはまだ無事です。

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