逆さ地蔵【ホラー短編】【都市伝説】

だんご大家族

第1話

ねえねえ知ってる?

何を?

女子高生は噂話をしている

「逆さ地蔵ってのがあってね」

「逆さ地蔵?」

「うん」

「お地蔵さんが逆さになっててこの世の者とは思えないような顔してるんだって」

「でね…」

「その逆さ地蔵さんにお願いごとをすると一つだけ叶えてくれるんだって」

「そうなんだ」

「それでね…」


これは私が体験した実話のお話です


私の名前は未江

この高校に通う普通の女子高生です

彼氏はいないけど学力は平均

容姿も普通

親友もいて特記するようなものは特になく普通の学校生活を送っていました

何もかも普通だけれどそれなりに楽しかった

それにこんな生活もありかな?と思っていました

でもあの逆さ地蔵と出会ったせいで

この先あんな地獄のような運命が待ってるとはこの時には夢にも思いませんでした


私は高校の授業が終わり傘をして帰る途中でした

そんな時ふと校長先生の後ろ姿を見る

山へと入って行ってるところでした

この高校のすぐ横には山があるのです

「未江どうしたの?」

ある女の子が話しかけてきた

その女の子は麻衣…私の親友です

「い、いや…何でもないよ」

そう言いかけたところで麻衣も校長先生に気づく

そして意味あり気に私に言った

「ねえ…あの校長先生って校長先生になる前も

ずっとここの先生だったのって知ってる?」

「うん知ってるよ」

「それじゃあ詳しい話は?」

「それは知らないなぁ」

すると麻衣は得意げな顔をする

「あの校長先生…」

「昔ある事件に遭遇したらしいんだ」

「その事件て言うのが…」

その時…携帯の着信音がプルル-!となる

メールだったみたいだ

そしてそのメールを見ると困ったような表情をする

そして私にごめんねっと謝ると駆け足で帰って行った

親からの帰れ催促メールらしい

親の束縛がいつも厳しいと私にいつも愚痴っている

そして最後に麻衣は校門のところから

再びピョコっと顔を出すと私に笑顔で手を振る

私も笑顔で手を振りかえした

そしてそのまま駆け足でバタバタと帰っていきました

ここまでその音が聞こえてくる

さっきの話が少し気にはなりましたが、

かんじんの麻衣が帰ってしまったのでそのまま私も帰ることにします

そして翌日学校に行くと…

彼女は死んでいました


私は信じられませんでした

昨日あんなに元気だったのに…

まさか…事故?

そんな思いにふけりながら廊下を歩いていると

ある男子高校生が噂してるのを聞いてしまいます

「なぁなぁ…」

「ん何だ?」

二人でその男子高校生は話をしています

「あの死んだって女の子知ってる?」

「ああ麻衣って子だろ?」

「顔は知ってるけど話したことはないな」

その男の子は少し残念そうな顔をします

そして話を続けました

「そうなんだ…」

「俺も実は話したことないんだけどさ」

「偶然あの女の子とは家が近くてさ…警察が聞き込みしてたんだよ」

「それで…俺…偶然聞いちまったんだよ」

その男の子は深刻な表情をする

「その女の子な…」

「逆さになって死んでたんだとよ」

「逆さ?」

「ああ親が部屋に入ると

その女の子は天井に吊るされ逆さまになって

まるで扉側に誰かがいたかのような…

そしてこの世の者とは思えないような

絶望の顔をして死んでしまってたんだとよ」

「こっち側を向いてな…」

「親御さんは絶叫したんだそうだ」

私は顔が青ざめる

「そして、よほど怖い者を見たような顔してたって…」

「うそ…」

「まじ…!?」

「絶対言うなよ…!」

「警察に固く口止めされてるんだ…絶対だぞ!?」

「うん…わかった」

その男の子たちはそんな話をしていたが私には一切聞こえていなかった

麻衣が…そんな死に方を…!?

私は怖いけど麻衣の真相を強く知りたいと思いました

それを麻衣が強く願っているように感じました

そしてある事に気づきました

それは実は麻衣が駆け足で帰るときに日記帳を落としていったのです

まさかこんなことになるとは夢にも思わなかったので、

明日返せばいいやと思ってカバンの中に入れっぱなしでした


その麻衣の日記帳が、

今、私のカバンの中にある…

心臓がドキリとしました

本当はこの日記帳を警察に届ければよかったんでしょう

でも私は…それをしませんでした

何かこの日記帳に手がかりがあるかもしれない

それに麻衣の死の原因を強く知りたい…!そう思ったからです


そして私は急いでトイレへと入ります

トイレは何か薄暗く感じます

一つだけ扉は閉まっていました

まぁいいかと特に気にもせず隣のトイレへと入ります

そして便器に座ると麻衣…ごめんねと心の中で謝って日記帳を開きました

しかしその日記帳はしばらくページをめくっていると

いたって普通のことが書かれてあり心がホっとします

良かった…そう思いました

しかしページを読み進めていくうちに文体がおかしくなっていきます


○月○日

校長先生のある噂を聞いた

そしてみんな興味本意である古びた校舎に入り込んだ

そこであるものを見つけた

あの噂通りにお願いごとをしてみた

帰ってきてから何か感じる…


○月○日

また何か感じる

みんなも何か感じるって言ってた

怖いよ…怖い


○月○日

みんなの願い…お地蔵さんは叶えてくれたんだろうか

お地蔵さんが見てる…


○月○日

お地蔵さんはみんなのところにいった

ねえ…お地蔵さん私たちを殺す気なの?

心が限界…怖いよ


○月○日

お地蔵さんが見てる

私の真上で逆さまになって見てる…

お地蔵さんが…

お地蔵さんがお地蔵さんがお地蔵さんお地蔵さん!!!!!!!!


○月○日

未江がいた

傘をさしてる

追っかけよう

未江…

未江未江未江未江未江

未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江未江ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!


「なに…これ…」

私は恐怖で固まります

そして一番最後に書かれてある文字を目にします






ト…イ…レ…で見てるんでしょ?



「きゃっ!?」

私は悲鳴をあげ日記帳を投げつけた!

心臓の鼓動が…そして震えが止まらない

パニックになった

「何…で…分…か…っ…」

そして恐怖に陥りながらまた別のことで背筋が凍るのを感じました


その○月○日とは何と昨日の日付だったのです

日記帳の内容がまるで信じられませんでした

麻衣は私と最後に会った直前に学校内でこの日記帳を書いていたのです

最後に話したときはそんなそぶりも一切見せなかったのに…

それに日記帳を落としたのは…

わ…ざ…と…?

そして校門で笑顔で私に手をふった時のこと思い出します

あの麻衣は確かに嗤っていました

この日記帳の通りなら笑える状況なんかじゃないのに…!

今思い出すと麻衣のあの笑顔に鳥肌が立ちます

あの笑顔の意味は一体何なんだったの…

こうなることが分かってたの…?

私がトイレで麻衣の日記帳を見るって分かってたの…?

そしてあることに気づきます

それにこちらに振り返っているのだから

普通落ちている日記手帳に気づくんじゃないの…!!

やっぱり、わ…ざ…

「いやあああああああああああ!!!」

顔を手で覆い思わず悲鳴をあげてしまう!


麻衣の行動の意味が全くわからずそしてあまりの恐怖で吐きそうになります

「おぇ゛…」

「おぇ゛…!!」

胃から得体の知れない何かが吐き出してきます


そして何か音が聞こえてきました

「コツーン……」

「コツーン……」

それは隣の個室から聞こえてきます

壁を叩く音です

そしてまた私はあることを思い出し背筋が凍ります

それはこのトイレに入って隣に部屋が閉まっていたことです!

私は恐怖に怯えながらも壁に耳をつけます

「み゛…え゛…」

すると叩く音とともに私の名前を呼ぶ声が聞こえてきました!

「ひぃ゛…!?」


壁からのけぞると共に頭上に何かを感じました

頭上を恐る恐る見ると目の前に麻衣がいました

「ぎゃあああああああああ-----!!!!!」

麻衣はこの世のものとは思えないような顔をしていました

逆さで…



<完>

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