第15話 村娘が世界を変えてもいいじゃない!
今は敵の意識下にいるリアムに直接声を届ける。
そのための方法には一つだけ心当たりがある。
しかしそれを実行するのは余りにも無謀な挑戦といえた。
あのヘリオスが命を削って戦わなければいけない強敵に、彼女が近づく方法などあり得るのだろうか?
「メディア。私はね、誰かを犠牲にして誰かが助かるなんて大っ嫌いなの」
「はい。それは知っています。でもそれでフィオナ先生が犠牲になるのはそれこそ本末転倒です!」
メディアはフィオナの考えを良くわかっている。人の心を見透かすことは得意だと思っていたフィオナだが、こんなにも簡単に真意を悟られるなんて無様な話だ。だが……気分は悪くない。それを理解してなおフィオナが止まらないことを知っているのだから。
「リアムが騎士になりたかったのは何故だかわかるかしら?」
「おそらく、いざとなれば紋章による大審問で魔精霊ごと消えるためです」
「ご名答。リアムの意識がある状態なら帝国貴族として、彼を勇者の紋章で殺すことはできるわ」
「でも、それではフィオナ先生が納得できませんよね」
「ええ。だから私は考えたの。彼と一緒に私も大審問を受けられないかとね」
「それは危険すぎます。そもそも大審問を受けて生き延びた人なんて聞いたことが……」
「そうよね。最後に大審問を受けたのは私の父さんと母さんの仇。オイディプス親王だわ。でもね、その前に一人だけ生き延びた人がいたのよ。その人に話は聞いてきたわ」
「それって、まさか!?」
「そう、帝国騎士シニス・テオドリック。彼は自ら大審問を受けて身の潔白を証明したのよ」
デルフォイを発つとき、フィオナはテオドリックと長話をしていると思ったが、まさかそんなことを聞いていたなどとは……。
「どのみち単純に魔精霊を倒すだけで彼を救えないなら、ヘリオスはリアムを焼き尽くす以外にないわ。それなら私が行って彼を助けるしか無いわよね?」
本当にこの人はできそうも無いことを簡単に語るものだ。とメディアは思った。たぶんきっと初代勇者であるヒューペリオもこんな人だったのだろう。
「敵が再生するまでの時間に二人分の道を作ります。紋章の力を使うんです。わたしだって前に出ますよ」
「ありがとう。紋章が消えていないと言うことは、あの中ではまだリアムが戦っているってことよ。だから、私が行かなくちゃね」
不思議とメディアの身体の震えも止まる。
絶望の中で希望を失わぬ者。どんな強大な相手でも怯まずに立ち続ける者。
それこそが彼女の主や目の前の女性の持つ勇者の資質だ。
その気に当てられたのかメディアの弱気も吹き飛んだようだった。
「ヘリオス様が優位に立ったときに一気に駆け抜けます。行きますよ」
顔を見合わせてうなずく二人。
その正面では今まさに二人の精霊人間による決戦が繰り広げられていた。
500年ぶりにこの世界に帰還した風の
その意識は前回の転生の際に融合した
その身を中心に毒をはらんだ魔風が吹き荒れる。ヘリオスの光の精霊の力の発現を目の当たりにして、力押しから戦いを切り替えてきたようだ。
ヘリオスは次々と押し寄せる風の刃をかわしながら考える。
リアムが魔精霊ではないかと疑念が湧いた時、どうしても自分の手で助けたいと思った。
勇者を継承したときその力の正体を知った彼は、乗っ取られる前に魔精霊を倒すことでそれが実現可能では無いかと推測した。
歪められているとはいえ、その力は自分と同じ
それができるのは世界で自分しかいない以上、彼はここまでやってきた。
次の勝ちに繋がるのなら、逃げられるときは逃げれば良い。
それでも……世の中には絶対に逃げてはいけない戦いもある。
人類の敵を倒し、フィオナとリアムを救い出す。
大切な友になってくれるかも知れない二人も救えずに、何が人間の救い主か?
それだけで無限に戦う力が湧いてくるような気がするのだ。
『光よ【告げる】
それは太陽を掴む【腕】
【捉えよ】我が敵の影
【焼尽せよ】塵にとなるほど
請い願うは光の【鞭】なり!』
次々と空中から降り注ぐ竜巻や鎌鼬の合間をヘリオスは透過するように駆け抜ける。光と一体化することで瞬間的に拡大された知覚は、研ぎ澄ませれば研ぎ澄ますほど時間を緩やかに流す。
耳元を流れるかすかな風の揺れから攻撃を予測し、最小限の動きで避けながら光を集める。
そのままなぎ払った剣先から迸る光は、魔精霊の影に吸い寄せられるように伸びていく。
『風よ【告げる】
【たゆたう】は不可視の壁
【天翔る】は不可知の刃
【重ねて告げる】
【満たせ】我が叫びの限り
世界を砕く【嵐】となれ!』
魔精霊の両手足が吸い付くように風の上を滑っていく。
武器として空中に設置された風は四肢のどこからでも張り付くことができる。
軽業師もかくやという動きで、上下左右あらゆる空間をあるいは駆け上り、あるいは滑り降りて移動することを可能とする。
「どうした? 自慢の光も当たらねば意味が無いぞ!」
光に補足された瞬間、足の一部を風に変化させて追跡を振り切る。
立った今まで足があった空間には光が収束して燃え上がっていた。
着弾点を焼き払う光の鞭は爆発によって風を散らしてヘリオスの居場所を作る。
「ならばこれでどうだ!」
精霊化による加速で残像を残し、火花を散らしヘリオスが斬りかかる。
ただでさえ人類でも最高クラスの剣士である彼の攻撃。
それがでたらめな力と速さで振るわれているのだ。
魔精霊もリアムの記憶から武術を再現するも、力の差は歴然としている。
今は辛うじて魔法による空間制圧が可能だが、その優位も崩れ去ろうとしてた。おぼろげながら思い出せる500年前の記憶にある誓約の勇者は、最後には周りの被害などお構いなしに地上に落ちた太陽のごとくその身を焼き尽くした。それは忌まわしき屈辱の記憶。
「ククク。空の上までは追って来られまい」
しかし手の内を知ったからには、次はそうはさせまい。
自分には空間全てを自由に移動する力がある。
それを最大限に利用すべく風を身にまとい、フワリと身体を浮き上がらせて空へと逃れる。
この身体は実に良い。
短い鎗に長弓も使いこなせる。
「この
それに自分――アイアースと呼ばれていた頃――の記憶の中にある闘法も思い出してきた。
振り上げた手の先に風でできたいくつもの縄が出現する。
それは東の辺境で狩りに使われるボーラと呼ばれる武器。
ただし普通のそれとは違い縄は違う速度でねじれ狂う風であり。
重りとなる石も辺りを吸い寄せる小さな竜巻。
「捕まる前にケリをつける!」
ボーラもまた風による偏差攻撃。風の流れに従ってヘリオスを包囲する。
振り払おうにも相手の意思で自在に動くそれを払いのけるのは難しい。
『風よ【告げる】。
我が手に【集え】
牙となり空を【裂け】!
爪と化し我が敵を【穿て】
命ずる。風の矢よ【降り注げ】!
思いのままに【埋め尽くせ】!』
ふわりと宙に舞い上がりながら一度は
「どうだ! 一撃で死なぬなら貴様の寿命が尽きるまで殺し尽くすまでよ!」
普通であれば風に含まれた毒だけで死に至るはずだが、毒は光に当たると青い炎を上げて消えてしまう。
それならば動きを封じて面の風で圧殺する!
「光よ【告げる】
我は【駆ける】どこまでも
【重ねて告げる】光を束ねよ
風を貫き【道】となれ!」
恐るべき勢いで放たれた死の攻撃も今のヘリオスには効かなかった。
「な、何を? 俺は空からお前を射殺していたはず?」
信じられないというように深々と突き刺さった剣を見つめる。
知らぬ間にその身体は地面近くまで降下していた。
一体何が起こったのだ?
「俺の光で道を作った。お前が風の中を自由に動けるように、俺も短い距離なら光で跳ぶことができる」
「馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!」
「人の身体に入った時点で、知覚は人間のそれに制限される。それを忘れたお前の負けだ」
ヘリオスの剣が心臓を貫く。そして切り上げられた一撃はリアムの頭部を吹き飛ばしていた。これで魔精霊の動きは止まる。
頭を砕かれる瞬間、
****************
話は少しさかのぼる。アイアースの想定外の敗北は、やはりフィオナの策によるものだった。
「風の魔法を撃つんですか? でも相手には効きませんよ!」
熟考の末フィオナが出した答えを、最初メディアは理解できなかった。
「そうでしょうね。あの魔風の嵐、まさに自在自在に操れるようね。文字通り何でもできるといっても過言じゃ無い」
「だけど一つだけ確かなことは、自在に操るためには自分で視認する必要があるのよ。あいつは風を使って移動する時、必ず目線で確認しているの」
誰もが渦巻く風に目を奪われるであろう中、フィオナだけは本体であるリアムを見ていた。
勇者の力を解放したヘリオスと戦っている
事実、近づくこともできぬほど吹き荒れていた魔風の壁にところどころ綻びが見える。
「つまりこちらから撃った風の魔法は一切が無効化されるけど、風に風をぶつける限りは相手が視認しない限りただ打ち消し合って消えるだけ。届かないことを逆に利用させてもらうわ」
そうして風の隙間からフィオナはヘリオスに合図を送っていた。
こちらを心配して、常に様子を見ていたヘリオスは、フィオナの身振り手振りから意図を察した。
他のやり方も考えたが、敵が本当に風を見るのに集中しているのなら、展開した風は正面に集中するための障壁の役目を果たしているのではないかと推測したのだ。
先ほど光の鞭を撃ちだしたのは、メディアの魔法を隠すため。
そしてヘリオス自身の光を隠すためでもあった。
熱によって歪められた空気の流れが陽炎による錯覚を引き起こした。
そのため上空に逃げながら風の矢を降らせていていたはずの敵は、まんまとヘリオスの間合いに引き寄せられていた。
結果、ヘリオスは魔精霊の頭部を粉砕した。
再生するとはいえ、フィオナにとって気分のいいものではないが、動きを止めるためならば仕方ない。
今は失った頭部を再生させるべく、肩口から上を風の塊が蠢いている。
「ヘリオス様っ!! ご無事ですか!」
制御を失い再び吹き荒れ始めた嵐の中を、二人は懸命に呪文で道を作り上げて進む。急いで駆け寄るメディアをヘリオスは手を上げてなだめる。
「これで何年か寿命を持って行かれただろうが、俺は大丈夫。それよりもこのまま再生を許せば今度こそリアムは意識を呑まれてしまうかもしれん」
見たところ魔精霊と違い、ヘリオスは精霊の方を人間の意識が従属させているようだ。
そのため肉体や精神に膨大な負荷が掛かるのか、身体を維持するだけで寿命を削っているように見える。
ヘリオスが命を懸けてくれることにフィオナも覚悟を決める。
再開したあの日の夜、リアムが自分に渡してくれた龍角馬のペンダントを握りしめる。見つめるリアムだった者の首にも同じペンダントがあるのを見て大きくいちどうなずくと、フィオナはヘリオスに告げた。
「ヘリオス。私とリアムを大審問にかけてもらえないかしら?」
「ちょっと待て。俺は君たち二人を助けると約束をした。それをリアムどころかフィオナまで大審問にかけるなどとは、
「そうよね。精霊の力で苦しんでいたのは貴方も同じだったわ。文字通り命をかけて私達を助けてくれようとしてた。だからこれは
早くしなければ魔精霊は再生する。試せる時間はもわずかしか無い。
「だから私達を助けるために紋章の力を使って!」
迷う時間も今は惜しい。程なくヘリオスも決断する。
「ここまで俺を導いてくれたフィオナの言葉だ。信じるよ。メディ、準備を頼む」
「先生、絶対に二人で還ってきてくださいね!」
「もちろんよ。メディア、貴方はわずかな時間でとても成長したわ。だからこれが終わったら貴方の師として教えられることは全て教えるつもりよ」
最初は再び師と呼ばれることに戸惑ったフィオナ。
だけど旅を通して彼女に何かを伝えたいと強く願うようになった。
「ねぇ、ヘリオス?」
「なんだ?」
「きっと初代の勇者ヒューペリオも私と同じだったと思うわ。自分にしかできないことを考えたから、その決断を悩まなかった。だからね……王や騎士なんかじゃなくて、村娘が世界を変えてもいいじゃない!」
そういうと、笑顔でフィオナは前に進む。
猛毒の風が
足下をすくわれそうな向かい風。その中を手の届く距離まで駆け抜ける。
(負けるもんか!!!)
フィオナの手が魔精霊の身体に触れる。
恐怖をこらえ、その手の中でリアムのペンダントと己のそれを重ね合わせる。
もう半分ほど消えかけたリアムの紋章。そこに自分の手を差し出して握る。
しかしそれは自殺行為。真っ白なフィオナの手が瞬時に爛れ表皮が崩れ始める。
「くっっ!!! あぁぁぁぁっ!!! お願い、早く紋章を!」
身体を貫く魔風の毒の痛みに抗いながら呼ぶ。
『我は紋章官、メディア・ラプシス。神紋よ、我が問いに答えよ。心正しき者、心健やかなる者、心強き者の声を聞け。紋章よ。開け!』
『応えよ! 我が紋章旗! 神より賜りし奇跡を示せ!』
ヘリオスの号令と共に、手に輝きが生まれる。
そしてその背には、太陽を象ったコリントスの紋章旗が出現する。
そこより生じた光の円陣が走査するように紋章を持つ二人を包み、紋章旗を象った円陣が出現し、その足下から闇が立ち上っていく。
『我、ヘリオース・イアソーンが祈念する。神威顕現・裁断の扉よ来たれ!!』
日食のように円陣がすっぽりと闇に包まれると、あれほど吹き荒れていた風がピタリとやんだ。
秩序の神による審判を受けるべく、二人はこの世では無いどこかへ転移した。
****************
『まだだ。まだ立ち上がらなければ……フィオナの元に帰らないと』
どこまでも身体が沈み込んでいく底なしの渕。
もう自分が自分である感覚すら思い出せない。
それでもリアムは愛するフィオナを思い出し、最期の気力を振り絞る。
『忘れるな! 思い出せ! 思い出せ!!』
自分がここにいる理由。浸食する魔精霊に対して、少しでもヘリオスが優位に戦えるように意識を繋ぎ止める。
それがリアムにできるせめてもの抵抗だった。
夜明けの太陽が全て上り切った後、意識を失うと同時に彼は自分の意識がこの世とは違う別の空間に引き込まれたことを理解した。
その時、目の前に現れた顔に大きな傷のある長い鈍色の男。それがずっと彼の中で世界に表出する機会をうかがっていた風の
ボーラを繰り出し、それに気を取られれば、今度は真ん中に穴の空いた円形の刃の着いた武器などを飛ばしてきた。
しかも懐に入り込むと徒手格闘を挑んでくる相手は手強く、互いに体力の尽きることの無い世界で、ずっと戦っていた気がする。
防ぎきっている間は主導権を奪われないのでは無いかと考え、デメトリオスに教えられた防御の構えで攻撃をやり過ごし相手が武器を持ち替える瞬間を狙って、テオドリックから学んだカウンターを叩き込む戦い方で善戦したが、腹部に相手の飛び道具を受けて膝をついたところで記憶が途切れていた。
そして、今は一面の闇だ。
どこからか自分に問いかける声が聞こえてくる。
《なぜ……故郷を、家族を捨てて逃げた》
『僕は逃げたんじゃ無い。故郷を出たのは戦うためだ!』
《
『そうして得た幸せに何の意味がある? 僕はそこまでして幸せになどなりたくは無い』
質問は繰り返される。
それらはとても些細なことだが、産まれてから彼が積み重ねてきた罪だ。
大審問の奇跡。
それは心の檻に魂を閉じ込め、魂の資質を見定めるために尽きる事なき尋問を行う不破の牢獄。
《エイドスの紋章を継ぐ者、リアム・ライアン。お前は生を得る者か、それとも死すべき定めのものか?今こそ審判の時!》
誓って恥じるような生き方をしてきたつもりはない。
だが……もし自分が諦めることで、恐らく今は自分の身体を乗っ取っているだろう魔精霊を滅ぼせるのなら?
フィオナや両親のいる世界を守れるのなら、ここで裁きを受けいれることも許されるのでは無いか?
《選べ。お前は生きるべきか? 死ぬべきか?》
自分の手の紋章を見る。これを捨てれば敵は自滅する。これは望んだ結末では無いのか?
生きて帰れぬかもしれぬとわかっていても、騎士の宣誓を行ったのはその覚悟があったからだ。
でも、それでも自分は帰りたい。フィオナに逢いたい。
「フィオナアァァァッ!」
彼の心に最期に残された名前、その名が呼ばれた時。自分の左手に懐かしい感触が甦る。
「見つけたわ! リアム!」
ガシリと自分の左腕を掴む細い腕。目を開けるとそこには夢にまで見たフィオナの姿があった。
「良かった。貴方の魂が見つからなかったらどうしようかと思ったわ」
「待ってくれ、フィオナ。君がどうしてここに?」
「私も大審問を受けたのよ。同じ場所で大審問を受ければ、きっと貴方と同じ場所に来られると思ってたわ」
「馬鹿な。下手をすれば君まで死ぬところじゃないか」
「この中のことはテオドリックさんに聞いてたから多少は心構えもできてたけど、それでも辛かったわね。でもね、なけなしの勇気を振り絞ってここまで来たから貴方を助けに来られたわ」
フィオナには確信があった。
テオドリックの話を信じるなら、大審問とはその場で秩序の神の支配する領域に転送され、己の心と記憶に裁かれるのだと。
つまり、肉体が魂と切り離されたこの空間でなら、魔精霊に取り込まれたリアムの魂を見つけ出せるはずだと考えていた。
そうだとしても、よくよく考えて見れば、フィオナが同じ場所で大審問を受けると言うことは暴れ回る魔精霊に近づくことだ。
戦う力のない彼女にとっては自殺行為だ。自分がどれだけの傷を負わせたかは考えたくもない。
「聞いて、リアム。ここからは紋章にもう一度誓いを立てれば還ることができる。たぶんあのアイアースという魔精霊の人格はこの闇の中の世界に永久に囚われるはずよ」
「待ってくれ。そうなると例え僕が現実世界に帰っても魔精霊は僕を殺すんじゃないか? 大審問の奇跡は資格無き者を自害させるんだろ?」
問題はそこだ。
例えここでリアムを助け出せても、身体を共有している以上はアイアースの自害に巻き込まれてしまう。
「そこは私に考えがあるわ。リアム、私を信じてくれる?」
「答えるまでも無いことだけど、信じるよ。絶対にみんなで生きて還ろう」
「うん。約束、守ってもらうからね」
フィオナは嬉しそうに何度もうなずいて、リアムに手を重ね合わせる。
二人の手の中にある紋章。
二人の魂は、それを持つにふさわしい高潔さを持っている。
それゆえ、生きるという決意を決めると周囲の闇が急速に晴れていく。
大審問の奇跡に打ち勝つことができたのだ。
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