第五話

【落ちる記者A】

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 私はブラクスの取材のため汽車に乗っていた。汽車の中は静かで隣の席に座るおばさんたちの声だけが聞こえる。

昨日は散々だった。私の妻が死んだのだ。あのガルスに。あいつを産んだ、ガルスって奴を殺してやる。

「そこのお兄さんどこ行くの?」

そこで、おばさんにそう聞かれ私は我に帰る。

「ちょっと諸事情でブラクスまで…。」

私はそこでお婆さんたちの表情が一瞬変化するのを捉える。

「ブラクスでは夜中に外にでないようにね。」

「そうですか。」

実家に居る母さんみたいなことを言ってくるもんだなぁ。と、私は思った。駅に着く直前だった。そこの駅は、橋の上にあってかなり車両が揺れていた。そこで、おばさんたちの顔色が変わった。まるで死んでしまうような顔色だった。

「ま、窓…から。」

なんですか?と言い私はおばさんの指差す方を見る。

黒い何かがいた。

それは橋を壊し、私たちを…。


第6話へ。

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