第五話

【落ちる記者A】

4/13

 私はブラクスの取材のため汽車に乗っていた。汽車の中は静かで隣の席に座るおばさんたちの声だけが聞こえる。

昨日は散々だった。私の妻が死んだのだ。あのガルスに。あいつを産んだ、ガルスって奴を殺してやる。

「そこのお兄さんどこ行くの?」

そこで、おばさんにそう聞かれ私は我に帰る。

「ちょっと諸事情でブラクスまで…。」

私はそこでお婆さんたちの表情が一瞬変化するのを捉える。

「ブラクスでは夜中に外にでないようにね。」

「そうですか。」

実家に居る母さんみたいなことを言ってくるもんだなぁ。と、私は思った。駅に着く直前だった。そこの駅は、橋の上にあってかなり車両が揺れていた。そこで、おばさんたちの顔色が変わった。まるで死んでしまうような顔色だった。

「ま、窓…から。」

なんですか?と言い私はおばさんの指差す方を見る。

黒い何かがいた。

それは橋を壊し、私たちを…。


第6話へ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る