悪魔

絶望&織田

俺もつられて笑った

佐藤(仮名)の親は子供を平気で山里に置き去りにするような親だった。


佐藤は毎日泣きながら神様を否定した。


唯一、肯定したのは絶望と神と対をなす悪魔だけだった。


佐藤は悪魔崇拝に傾倒し『悪魔召喚』と称して野良犬を石で撲殺して、儀式の生け贄にするような奴になった。


そんな佐藤が嬉々として俺に自慢した。


「悪魔召喚を可能にする本を手に入れた」と。


本は中世イギリスで作られた物で羊皮紙は罪人の皮で作られ、留め具は罪人の骨で出来ていた。


佐藤は寝る間を惜しんで翻訳をしながら書物を読み漁った。


そこから導き出されたのは悪魔召喚に際して必要とされる生け贄は成人の女性と男性の死体だった。


佐藤は迷うことなくサバイバルナイフで就寝中の両親を殺した。


佐藤は次に魔方陣を描いて呪文を唱えて俺を呼んだ。

俺は佐藤のラブコールに応えて言ってやった。


「暇潰しにずっとお前を見て声をかけたりした。お前はずっと悪魔に憧れて俺を呼び出そうとしたが、お前鏡を見たことあるか?立派な悪魔がそこにいるぞ」


佐藤は腹を抱えて笑った。


俺もつられて笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪魔 絶望&織田 @hayase

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る