銀。

銀色の金属。

その新品の美しい輝きはくすんでいく。

銀製のものはみんなそうだ。

傷のない。無邪気な子供のような、銀。


銀の鉱石。

血のように紅い水銀とは違い、白色をした鉱石。

少しずつ積み上がった、大昔の水垢。

それはまるで、聖なる輝きを放つ灰のようで。

無限大の夢の果て、その目に写る始まり終わり


銀を磨くと、とても細かい傷がつく。

その傷は、持ち主の想いの証。

優しく包まれれば、何処までも淡く。

そして荒々しければ、大きく、粗く。

その銀の歩んだ時間の証明が、その細かな傷に刻まれている。

大切に、ゆっくりと育て上げられた銀。

銀にしか出せない美しさがあるとするなら。

それはきっと、その重厚な煌めきの中にあるのだろう。

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