彼方より此方へと巡る旅路の。

透明な光の揺り籠に揺られながら。

どこにあるかもわからない先を目指していた。

遥かなるかなこの旅路。


透明な世界の真ん中から、色づいた世界の最果てへ。

彼方より此方へと旅をしたあなたと共に。

静歌なるかなこの旅路。


透明になってしまったあなたは。

色づいた透明の中で今も見守ってくれている。

巡り廻りてこの旅路。


透明な欠片を集めていく。

未来という暗闇の世界で、必死に探す愚かな旅人がいた。

彼方なるかなこの旅路。


透明こそが当たり前だと信じていた。

夜明けの光で、色づいた世界の重みを知る。

奏楽なるかなこの旅路。


透明という世界から飛び出たことを強く認識する。

しかし、透明でありながら何ものにも負けない輝きが恋しい。

空虚なるかなこの旅路。


透明でさえ染め上げる色の世界の中。

戻れなくなった自分自身は、そこに根を生やす覚悟を決めた。

此方なるかなこの旅路。


透明な光に包まれた、短い旅路の物語。

彼方より此方へと巡る旅路の。

無色が輝虹へと変わる終焉。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る