第34話「混浴」
「ばばばば、バッカじゃないの! 一緒にお風呂ってマサヤは男なのよ! るりりん、正気なの?」
「はい、正気も何も大真面目ですが……別に紅魔族では親しい男女が同じ風呂に入るのはおかしいことではありませんよ?」
「そんなのハレンチよ! アクシズ教ではそんなの認めてないんだから! そ、それに私だって一介のプリーストだし……その、男の人と一緒にお風呂に入るのは……わ、分かるでしょ?」
「……何がですか?」
「あああああああああ、もう! この子本気で言っているの!」
うわちゃー……そう言えば、るりりんには前にうっかり風呂で鉢合わせした時に『ヒュプノ』で男女が同じ風呂に入るのはおかしくないって催眠をかけていたんだった……
「よし、一緒に入るか!」
「マサヤまで何言っているのよ!」
なので俺も状況に乗っかる事にした。
「そんな事を言っても、すでに私とマサヤはすでに同じお風呂に入ったことはありますしね」
「ああ、そうだな」
それを聞くと、マリアは表情を一気に青ざめて正気を疑うかのように俺の顔を見た。
「あ、アンタ達それ本気で言っているの……? まさか、私の知らないところで二人はそんな関係に! マサヤの変態! ロリコン! 不潔よ!」
「まて、誤解するな! 別に一緒の風呂に入っただけでお前の想像する事は何もしていない! さっき、るりりんも親しい男女が同じ風呂に入るのは紅魔族では当たり前なんだって言ってただろう? 本当にそれだけだって!」
「おい、ちょっと待て……何故、マサヤが私とお同じ風呂に入ると変態でロリコンになるのかそこを詳しく聞かせてもらおうじゃないか?」
すると、俺達の言い分を聞いたマリアはしばらく頭を抱えて悩むと恥ずかしそうにうつむきながらチラチラと俺を見て質問をして来た。
「そ、その……マサヤさんも私と一緒にお風呂に入りたいのかしら……?」
「モチロン!」
「うぅ……でも私はアクシズ教の清きプリーストで……それが一緒のお風呂なんて!」
「マリア、別に私達と一緒にお風呂に入ることに何故そこまで抵抗するんですか? さっきも言いましたが中の良い男女が同じ風呂に入るのは我が紅魔族では当たり前であり、むしろ、仲間でありながら同じ風呂に入らないのは失礼なくらいなんですよ?」
「うぅ……でも、そもそもその話事態が怪しいと言うか……」
ギクッ!
「でも、それが頭のおかしいことで有名なるりりんの紅魔族だと言われると納得なのよね……」
あ、あぶねぇ。やっぱり、流石のマリアも男女が同じ風呂に入るのはおかしいと分かってはいるが、それが紅魔族の常識と言われている事もあり紅魔族ならそうなのかも? っと、信じてくれたようだ。
すると、いつまでも決心の付かないマリアを見てるりりんが大きなため息を吐いた。
「はぁ……アクシズ教のアークプリーストと言えども所詮はこの程度ですか?
情けない……」
「ああああ! アンタ何を言ってくれるのかしら? 良いわよ! そこまで言うのなら一緒にお風呂! 入ってやろうじゃない!」
「え、マジで!」
「いやいや、マリアが恥ずかしいと言うのなら別に無理して入らなくてもいいのですよ? まぁ、私はすでにマサヤと一緒に入ったことがあるので、マサヤと同じ風呂に入るのに抵抗はありませんけどね…………チラッ」
「ムッキィイイイイイイイイ! 何よ! その余裕ぶった態度は! いいわよ! 私だってマサヤと一緒のお風呂に入るくらい余裕なんだからね!」
っと、言うわけで俺達三人は脱衣所で服を脱ぎ、タオルで体を隠してお風呂のドアの目の前にまで来てしまった。
「おい……俺達、勢いに任せてとんでもない事をしようとしているんじゃないのか?」
「ままま、まさか? わわ、私は清く正しきアクシズ教のプリーストよ? べべべ、別に親しい男女が同じお風呂に入るくらいどうって事ないわよ?」
「そうですよ。全く二人とも風呂に入るくらいで何を怖気づいているのですか? 何回も言っていますが紅魔族ではこれくらいは普通ですよ?」
「るりりん、何回もそんな事言っているけど、実はそれマサヤがるりりんにした催眠とかじゃないわよね?」
ギクッ! マリアの奴なんでこんな土壇場でそんなに勘の良さ発揮してるんだよ! てめぇはそんなキャラじゃないだろ!
「は、はははは! マリアったらヤダな~~お、俺がそんな非道で外道な事をするわけ無いだろう?」
「そうですよ。マリア、この私の常識がマサヤの催眠ですか? そんなバカを通り越した愚考をマサヤがするはず無いですよ。」
「そうよね~いくらマサヤでもそんな事はしないわよね。アハハハハ……」
ふ、ふぅ……なんとか誤魔化せ――
「でも、念のために『ハイ・ブレイク・スキル~~』」
――っと、安心した瞬間、マリアが解呪の魔法を「ビヨヨヨ~~」っと、るりりんに向かって放った。
「あ」
「え?」
「へ?」
そして、俺がるりりんにかけた『ヒュプノ』の催眠は解けたのだった。
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