第15話「新メンバー二人目?」
「と、言う事で早く宿を借りる金が欲しいので報酬がいいクエストに挑戦したいと思う」
「おーっ! なのです!」
翌日、先にギルドに来ていたマリアに俺とるりりんの決意を伝えた。
「はぁ、宿ね……私は教会の部屋を借りているから冬は問題ないけど、確かに馬小屋で生活している冒険者にとっては一大事よね。いいわ! 私だってクエストを受けるんなら報酬が多い奴の方がいいしね。だとしたら……今日はダンジョンにもぐってみるのはどうかしら?」
「「ダンジョン?」」
マリアの言葉に俺とるりりんは同時に首をかしげた。この見習い冒険者しかいない町にダンジョンなんてものがあるのか?
「ふふふっ! この町トライアルをなめてもらっちゃ困るわね……それがあるのよ!
遥か昔、ある魔王軍の幹部が自分用のダンジョンを作る練習台として使っていた洞窟がこの町の近くにあるの! そのダンジョンは練習用で作られたと言ってもそのつくりは完璧で他のダンジョンと比べてもとても練習用で作られたとは思えないほどだってね!
それに、そのダンジョンは作りが独特な所為であまり他の冒険者が手を出さないから未だにお宝が眠っているかもしれないと言われているわ! 実際にそのダンジョンが出来てから、まだめぼしいお宝は見つかっていないそうよ」
なるほどな……練習用のダンジョンか。これを機会にダンジョンへトライするのもありだな。
しかし、隣のるりりんはそのダンジョンの挑戦を断固反対した。
「絶対イヤです! ダンジョンなんて行くだけ無駄ですよ! どうせお宝もこっそり誰かが持って行ったか、もとから無かっただけに決まっています!」
「何だ? るりりん、今日はやけに消極的だな……いつもなら『ダンジョンごとき、この私の炸裂――』あ!」
そこで、俺はるりりんの懸念に気付いた。
「そうか、お前……ダンジョンみたいな場所だと炸裂魔法が使えないから……」
「ギ、ギクッ! そ、そんなことは~~」
「ああ、そうか! ダンジョンで炸裂魔法使っちゃうとダンジョンそのものが崩壊しちゃうわね! あれ? でも、るりりんって炸裂魔法しか使えないんでしょ? それじゃあ、るりりんはダンジョンだと完全にお荷物じゃない?」
何とかごまかそうとする、るりりんに空気の読めないマリアが止めを刺した。
「お、お荷物……紅魔族であるこの私が……」
「しかし、どうするんだ? るりりんが使えないとなるとダンジョン攻略は厳しくないか?」
「えーっ! お金稼ぎましょうよ! 大丈夫よ。いざとなれば私が強力な支援魔法かけてあげるからマサヤががんばってバンバン敵を倒せばいいのよ!」
「いやいや、さすがに俺とマリアの二人しか戦えないのは辛いって、せめてもう一人、戦闘要員がいればな」
「仲間をお探しかな?」
すると、悩む俺達に声をかける女性がいた。その人は長い銀色の髪をし、少し軽めの防具を身に着けた騎士のような恰好をした女性だった。
「む! 何者ですか貴方は! 名を名乗りなさい!」
その人の登場にお荷物扱いされて若干ふてくされていた、るりりんが怒りをぶつけるかのようにその人に名を訪ねる。
「ああ、済まない。名を名乗るのが遅れた私の名はアプリだ。このパーティーが仲間を募集しているのを掲示板で見て話しかけさせてもらった」
掲示板? って、あのパーティー募集のか!
まさか、応募者がマリア以外にも来るとは…………しかも、礼儀正しいし美人だしスタイル良いお姉さんだし超まともそうな人じゃないか!
「もしかして、募集はもう締め切ったのだろうか?」
「そ、そんなことありません! えっと、アプリさん……貴方の職業は?」
「私か、私の職業は見ての通り『クルセイダー』だ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます