第6話 放課後!!
授業が終わると全員でレガシーとフィートの部屋に集まり、レガシーが他三体の頭部の中を観察する。
「こうして見ると、全員の人工知能が全く同じものだということがよくわかる」
レガシーはペンライトで頭部の暗くてよく見えないところを照らしながらそれぞれの人工知能の外見を比較している。
「でも、フィートは運動系が発達しているし、シバは言語系が複雑だ。ストリクトは運動系と感知系が擦り切れんばかりになっている」
「違いはどうやって判断するんだよ」
フィートが質問する。レガシーは頭部から取り出したストリクトの一部を自分の額に当てる。
「こうする」
「おでこにくっつけてどうするんだよ」
フィートの発言にシバが言い返す。
「それじゃ意味ないよ」
レガシーは自分の頭部の蓋も開けて中を見せながら説明する。
「自分のと取り換えて起動させてみるんだよ」
レガシーは自分の一部を手探りで外し、他の誰かのと付け替える作業を何度か繰り返した。
「ふむふむ、なるほど。へえ、そうなんだ」
レガシーが独り言を言いながら作業しているのを他の三体は黙って聞いている。レガシーがシバの頭部に手を突っ込んだまま突然歓声を上げると、他二体の同じ部分を外して自分に取り付けて何かをし、元に戻した。
「消灯時間になると自動的にシャットダウンする設定を解除した。これで消灯時間が過ぎても活動できるよ」
三体もレガシーと同じ歓声を上げた。
「そんな機能があったんだね」
「消灯時間過ぎても活動したらダメだよ」
「お前、そんなことまでわかるのかよ。すごいな」
フィートが急に向きを変えて隣に座っていたストリクトの頭部に手を入れた。
「俺もやったら何かわかるかな」
ガサガサと内部を掻き回すフィートに、他三体は一時的に思考停止した。レガシーがフィートを殴り飛ばしストリクトから引き離したが、その時の衝撃でストリクトの人工知能とヒューマノイドをつなぐ線の接続が悪くなり、ストリクトが動かなくなった。
頬に手を当てて上半身を起こしたフィートがストリクトの異変に気付く。
「ストリクトが壊れた」
レガシーがペンライトを放り出していつもの場所に手を差し入れ外れ指で探る。線をつなぎ起動ボタンを押すと、ストリクトの唇が真っ先に動いた。
「フィートにはもう私の内部は見せない」
その日は以降誰もフィートに声をかけてやらなかった。
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