第3話 透明な神

 言われるまですっかり忘れていた。随分前から鳴海がほったらかしであることを。いつの間にかボケることとツッコミを入れることしか考えていなかったからだろうか。ごめん鳴海。


「じゃあこいつ保健室に連れて行くからもう帰っていいぞ。」


「帰っていいの?さっきは午後ロー見たさに帰りたいって言っちゃったけど私が気絶させちゃったんだし最後まで付き合うよ。保健室もちょっと見てみたいし。」


「気持ちは嬉しいんだけど一緒に保健室に行けば間違いなく怪しいだろ。この学校の生徒でもないし。そもそも幼女だし。透明人間みたいに姿隠せるっていうなら別だけど。」


「つまり透明人間みたいに姿を隠すことができれば付いていっていいんだね?」


「まあそういうことになるな。」


「できるのかよ。」


「それができちゃうんだなぁ。」


 一番最初にそれやれよと思ったが口には出さないことにした。


「じゃあ見つかる心配もなくなったことだし行こうよ。」


「こいつもそろそろ連れて行ってやらないと可哀想だもんな。」


「そうだね。じゃあ透明になるからちょっと待ってて。」


 そう言うと幼女は少し真剣な顔になった。なったかと思うと俺の目の前から消えた。ここはやっぱりできなかったーとかいう展開じゃないのか。普通にできちゃう感じなのか。あれ?ちょっとバカにしてたけどこいつやっぱり神様なんじゃね?


「正直これも信じてなかった。ごめん。で今どこにいるんだ?」


「目の前にいるよ。」


 たしかに言われてみれば目の前から声がする。


「よし!じゃあ出発!」

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