第2話 変える
崩壊寸前の寺を守っている住職を励ますために仲間がやって来た。崩れるものは崩れるママがいい。それが過去を葬る儀式になるようにすべきだと仲間の一人が言った。どうすればそうなるのかと住職が聞くと、死者が墓から出て来てくれるとあの世がよみがえる。俺たちの仕事はそれらの亡者と一緒になった世の中を造ることだと言った。
「住職はいつも死者と話をしているのか」
「供養はしている。読経は欠かさない」
「遊んだことはあるか」
「なんだそれは」
「住職、お前は死者と会ったことがないようだな。それでは空念仏だ」
「死者が話す声を聴かないと面白くなかろう」
「死者を寝かせつけるのが僧侶の仕事だよ。成仏してもらうために」
「それがいけない。死者をよみがえらせなくてはならない」
「それでは亡霊が迷って出てくる。住職の俺一人では相手ができない」
「その通りだ。だから檀家も信者も沢山寄ってきてもらうようにする」
「それができればありがたい。寄進していただけると助かる」
「そういう発想ではだめだ。誰もよってこない」
「どうすればいいのか」
「寺を亡者の劇場に変えるのだ。亡者劇団を創る。俺たちが作ってやる」
「亡者を墓から呼び出すのは住職、お前に頼む。俺たちにその力はない」
「尤もだ。これでも俺は法力を持っている」
「それでは意見が一致したところで酒盛りとしよう」
「墓場の広地でアウトダインがいい。死者も喜ぶだろう」
仲間がてんでてんでに勝手なことを言い出した。
「この寺に沢山の人を呼び込むために、チェインジなう」
仲間のリーダー格の女がこの場を締めた。
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