第25話 もう一度言うけどあなたには絶対に負けないんだから!

 有栖川亜梨沙は大富豪である有栖川龍之介の一人娘で、高校二年生です。


 亜梨沙はそれなりに美少女ですが、胸が小さいのを気にしています。


 ですが、男子達の多くは亜梨沙と付き合いたいと密かに願っています。


 そんな亜梨沙の邸に新しく執事が来ました。


 その人の名はトーマス・バトラー。執事の本場である英国の出身です。


 金髪で碧眼。その上イケメンで、亜梨沙は完全に一目惚れしてしまいました。


 誰にも言えずにいましたが、親友の桜小路蘭には見抜かれてしまいました。


 


 亜梨沙はトーマスのいきなりの退院に驚かされ、三日ぶりに訪れかけた「お通じ」が遠のいてしまいました。


 それでも朝食の後、もう一度チャレンジしようと自分専用のバスルームに向かう途中、亜梨沙はあまり見たくない光景を目にしてしまいました。


 トーマスがキャサリンの部屋に入って行ったのです。


(トムとケイトは兄妹なの。何を心配してるのよ、バカね)


 亜梨沙は自分にそう言い聞かせ、バスルームに向かいます。


(またお通じが遠のきそう)


 二人は兄妹とは思いながらも気になってしまう亜梨沙です。


 


 亜梨沙が気になって仕方がないバトラー兄妹はキャサリンが自国から取り寄せた背もたれ付きの椅子に座り、向かい合っていました。


「ありがとう、トム。私のために時間を作ってくれて」


 キャサリンは嬉しそうに言いました。トーマスは真顔になって、


「私達はこのお邸に雇われている身だ。手短に話そう」


「ええ……」


 あくまでも仕事優先の発言をするトーマスに寂しそうに応じるキャサリンです。


「ケイト、昨日の約束は守ってくれるのだね?」


 トーマスは自分の目を見ようとしないキャサリンの顔を覗き込むようにして尋ねます。


「そんなにあの女がいいの、トム?」


 不意にキャサリンが顔を上げて尋ね返します。


「今はそんな事を言っている場合ではない」


 トーマスは真顔のままです。キャサリンはトーマスの右手を両手で包み込むようにして持ち上げ、


「あの女なんかより、私の方がずっと奇麗だし、ほら」


 キャサリンは驚いた事にトーマスの右手を自分の胸に押し当てました。


 普通の男性ならキャサリンを押し倒しているのかも知れませんが、トーマスはそんな事はしません。


「ケイト!」


 トーマスは目を見開いてキャサリンの手を振り払い、彼女の胸から右手を離しました。


「私の方がずっと乳房だって大きいわ。ねえ、トム」


 キャサリンは目を潤ませ、トーマスを上目遣いに見つめます。


 普通のお兄さんなら、例え妹だと思っても動揺を禁じえないでしょうが、トーマスは動じません。


「お前は私の妹なんだよ、ケイト。そんな事をしてはいけない」


 トーマスは穏やかに微笑み、キャサリンを諭そうとします。


「兄とか妹とか、そんなの関係ないわ。私にとっては、トムはお兄様ではなくて、男なのよ」


 キャサリンは椅子から立ち上がって床に膝を着き、トーマスににじり寄りました。


「ケイト……」


 トーマスはあまりにも真剣な眼差しのキャサリンを見て、言葉を失ってしまいます。


「私は本当にトムを愛しているの。だからトムもそれに応えて。お願いよ」


 キャサリンはトーマスの膝にすがりつきました。しかしトーマスは無言のままキャサリンの手を退けました。


 キャサリンはギクッとして身を引きました。


「トム……?」


 トーマスはゆっくりと立ち上がり、


「ケイト、どうしてしまったんだ? 以前のお前はそんな子ではなかった」


 その目は悲しみに満ち溢れており、涙で濡れて来ていました。


「いいえ、私は小さい頃からトムの事を愛していたわ。昔から私はこんな子よ。本当にトムの事が好きなんだもの!」


 キャサリンはトーマスの潤んだ瞳を直視できなくなり、床を見て言いました。


 彼女は肩を震わせ、両手をギュッと握りしめています。


「ケイト、お前の気持ちはとても嬉しいよ。でも私達は兄妹なんだよ。愛し合ったりしてはいけないんだ」


 トーマスはキャサリンに視線を合わせるために片膝を着きました。


「そんな事、関係ない!」


 キャサリンは涙を流しながらトーマスに抱きつき、いきなりトムの唇にキスをします。


「ケイト」


 トーマスは一瞬目を見開いて驚きましたが、すぐにまた微笑んでキャサリンを押し戻します。


「そんなにあの女の事がいいの?」


 キャサリンは大粒の涙を零しながらトーマスを見つめます。


 普通のお兄さんなら「お前の方がずっといいよ」と言ってしまうところですが、トーマスは言いません。


「お嬢様とお前を比べるのは間違っているよ、ケイト」


 トーマスはスッと立ち上がり、襟を正しました。


「これ以上話しても平行線のままのようだ。私は仕事に戻るよ」


 トーマスはドアを開き、振り返らずに部屋を出て行ってしまいました。


「トム……」


 キャサリンは床に倒れこみ、泣き続けました。


 


 亜梨沙は何とかお通じを呼び戻し、ウキウキしながら廊下を歩いていました。


「あ」


 その時亜梨沙はキャサリンの部屋から出て来るトーマスを見かけてしまい、思わず立ち止まります。


 ウキウキ気分がどこかに飛んで行ってしまいました。


 トーマスは悲しそうな顔をしていたからです。


(ケイトと何かあったのかしら?)


 尋ねたいのですが、衝撃の事実を突きつけられそうな予感がして、怖くて声をかけられない亜梨沙です。


「お嬢様」


 そんな不審な動きをしている亜梨沙にトーマスが気づきます。


「あ、トム」


 今気づきましたというわざとらしい演技の亜梨沙です。


 嫌な汗が出て来そうです。


「行ってらっしゃいませ」


 トーマスはいつもの破壊力を伴った笑顔でオプションの白い歯の輝きも見せてお辞儀をしました。


「い、行って来ます」


 亜梨沙はクラクラしながら応じ、フラフラしながら廊下を歩いて行きます。


「お嬢様」


 去りかけた亜梨沙の後ろ姿をしばらく見ていたトーマスでしたが、また声をかけます。


「え?」


 何故かギクッとしてしまう亜梨沙です。そしてそおっと振り返ります。


「しばらくお時間をください」


 トーマスはそれだけ言うと、再びお辞儀をし、廊下を反対方向へ歩いて行ってしまいました。


「え?」


 亜梨沙は何が何だかわからない顔で呆然としてしまいましたが、


「あ、遅刻しちゃう!」


 恒例のパンチラダッシュで玄関へと向かいました。


 今日はワンちゃんです。


「トム……」


 キャサリンはドアの隙間から二人のやり取りを見ていました。


 


 亜梨沙が広大な庭を走り抜けて門をくぐり、舗道に出ると、蘭と桃之木彩乃が歩いて来ました。


「おはよう、亜梨沙」


「おはよう、亜梨沙ちゃん」


 亜梨沙は走るのをやめて二人を見て、


「おはよう、蘭、彩乃。急がないと遅刻しちゃうよ」


「何言ってるの、亜梨沙? 始業時間までまだ三十分あるよ」


 蘭が呆れ顔で言います。


「亜梨沙ちゃん、どうしたの? 具合悪いの?」


 彩乃が妙な心配をしています。


「ええ?」


 亜梨沙は仰天しました。そして思い出します。


(そうだった、夕べ目覚まし時計と携帯の時計を三十分進めたんだ、忘れてた)


 久しぶりのお通じの予感がしたので、それ対策で時計を進ませてあったのをすっかり忘れている亜梨沙です。


 とんでもなくうっかりさん過ぎます。


(だから今日はメイド達もコック達もパパも私を見て驚いてたのか)


 いつもギリギリの行動が得意の亜梨沙が早く起きて来たので、邸の使用人達も父の龍之介もびっくりしていたのです。


 そこまでの事があったのに時計を進めたのを思い出さない亜梨沙には検査入院が必要かも知れません。


「あはは、そうなの、間違えちゃった」


 まさか自分で時計を進めたのを忘れたとは恥ずかし過ぎて言えません。


 亜梨沙は笑って誤魔化しました。


 白い目で見る蘭と更に心配そうな顔をする彩乃です。


「亜梨沙ちゃん、学校に着いたら、保健室に行こう」


 今度はその言葉に蘭がピクンとします。


(朝から嫌な事思い出させないでよ、彩乃……)


 彩乃は蘭の身に何が起こったのか知らないので、文句は言えません。


「大丈夫だよ、彩乃。何ともないから。それに保健の先生、ちょっと怖いし」


 亜梨沙も悪気なくそう言いました。蘭がまたピクッとします。


「おっはよう、有栖川!」


 そこへセクハラ魔神の早乙女小次郎が登場します。


「ガルル!」


 亜梨沙が敵意剥き出しで小次郎を睨むと、


「今日も相変わらず可愛いな、有栖川」


 小次郎が顔を引きつらせて言いました。


「ええ?」


 その言葉に亜梨沙だけでなく、蘭も彩乃も驚いてしまいました。


「だ、大好きだぜ、有栖川」


 そう言うと小次郎はキラッと出っ歯を光らせ、駆け去りました。


「とうとうおかしくなっちゃったのかしら、早乙女君?」


 蘭が目を見開いて呟きます。


「あいつは元々おかしいわよ」


 亜梨沙は何故か顔を赤らめながら言いました。


 実は亜梨沙は正面から告白をされた事がないのです。


 ですから、小次郎の言葉に動揺していました。


「小次郎君、具合が悪いのかしら?」


 彩乃が首を傾げます。するとそこへ、


「おはよう」


 小次郎の親友の高司譲児が現れました。


 蘭がまたピクンとします。


「蘭さん、今日少し時間もらえないかな?」


 譲児が小声で蘭に尋ねます。蘭はドキッとしてしまいましたが、


「今日はちょっと」


「そうか。わかった」


 譲児は寂しそうに微笑み、蘭達から離れかけます。


「高司君」


 躊躇ためらいがちに蘭が呼び止めました。譲児が振り返ります。


 彩乃と亜梨沙は二人の動きに気づき、顔を見合わせて息を呑みました。


「明日なら空いてるわよ」


 蘭がはにかんだ笑顔で言ったので、譲児はニコッとして、


「わかった。ありがとう」


と言うと、小次郎を追いかけます。


「おい、小次郎、そっちは学園じゃないぞ」


 小次郎は気が動転して、大通りの反対側へと歩道橋を走っていました。


「あれあれ、蘭は高司君に乗り換え?」


 つい嬉しそうに尋ねてしまう亜梨沙です。すると蘭はフッと笑って亜梨沙を見ます。


「今日、執事さんが私に落ちたらそれはなくなるわ」


 蘭の挑戦的な目に亜梨沙はギクッとしてしまいました。


「亜梨沙ちゃん、蘭ちゃんは譲児君と付き合っているのよ。乗り換えじゃないよ」


 そこへ彩乃のトンチンカンな天然爆弾が炸裂し、蘭と亜梨沙は唖然としました。


(こいつ、わざとじゃないだろうな?)


 彩乃の度が過ぎる天然を疑う蘭と亜梨沙です。


 


 その頃、坂野上麻莉乃先生は保健室のドアの前で悩んでいました。


(おかしな誤解をされないかしら?)


 あれこれと考え、ブツブツ独り言を言っていると、


「あの……」


 後ろから声をかけられます。麻莉乃先生は、


「ひっ!」


と小さく叫んで飛び上がりました。


「ごめんなさい、坂野上先生、驚かせてしまって」


 振り返るとそこには以前と違って黒縁眼鏡をかけ、黒のパンツスーツを着るようになった里見美玲先生がいました。


「あ、里見先生、おはようございます」


 麻莉乃先生はバツが悪いのか、苦笑いして言いました。


「おはようございます。あの、私にご用でしょうか?」


 里見先生は憧れの麻莉乃先生と一対一で話しているので、まともに彼女の顔を見られません。


 顔が紅潮し、息遣いが荒くなっています。一歩間違えると変質者です。


「あの……」


 お互いに会話の切っ掛けが掴めず、口篭ってしまいます。


「あ、どうぞ」


 里見先生は俯いたままで麻莉乃先生を促します。


「ええと、ちょっとお話できませんか?」


 麻莉乃先生は顔が火照るのを感じながら言いました。


「あ、はい。どうぞ」


 里見先生はそそくさとドアを開き、麻莉乃先生を先に入らせます。


「失礼します」


 麻莉乃先生は消毒液の匂いが充満している空間に足を踏み入れました。


「ど、どうぞ」


 里見先生は麻莉乃先生の脇を通り抜け、パイプ椅子を出しました。


「あ、ありがとうございます」


 何だか非常にぎこちない二人です。


「あのですね……」


 麻莉乃先生はお茶の用意をしようとした里見先生に言いました。


「あ、はい!」


 里見先生はビクッとして手を止め、麻莉乃先生の方に向き直りました。


「できるだけの事はさせていただきます。貯金もありますので、何とかご希望に沿えるように致します」


 何故かいきなり深々と頭を下げる里見先生です。


「は?」


 麻莉乃先生は唖然としてしまいました。


「え?」


 里見先生も麻莉乃先生がポカンとしているのを見て、自分の早合点に気づきました。


「私、この前の事で貴女を責めに来たのではないですよ、里見先生」


 麻莉乃先生ははにかんだ笑顔で言いました。すると里見先生はホッとした顔になります。


「そ、そうですか」


 里見先生も笑顔になりました。


「でも、あの時はびっくりしました。そういう方の知り合いがいなかったですから」


 頬を染めて言う麻莉乃先生を見て、いけない事を妄想しそうになる里見先生です。


「申し訳ありません……」


 里見先生は妄想を振り払い、頭を下げました。


「あ、そんなつもりで言ったんじゃないですから、謝らないでください」


 麻莉乃先生は慌てて立ち上がり、里見先生の肩に手を添えます。


「ありがとうございます、坂野上先生」


 里見先生が潤んだ瞳で見上げたので、麻莉乃先生はドキッとしました。


「私、小学生の時、スカートをたくさん持っていて、毎日取り替えて履いて行っていました」


 麻莉乃先生は唐突にそんな話を始めました。


「はい……」


 里見先生は首を傾げながらも応じます。麻莉乃先生は苦笑いをして、


「そのせいで、男子達に毎日スカート捲りをされて、怖くてスカートを履けなくなりました」


 衝撃の告白に里見先生は仰天しましたが、


(男なんてそんなものよ。みんな野蛮で下品で最低なの!)


 麻莉乃先生にますます惹かれていく里見先生です。


「それで私、ずっと男性恐怖症で、お付き合いした方がいないんです」


 麻莉乃先生は恥ずかしそうに話します。里見先生にはそれがまたたまりません。


(ああ、麻莉乃先生!)


 もう少しで飛びかかってしまうそうな里見先生です。


「でももう、三十を目前にして、今更だとは思うのですが、何とか男の人とお付き合いしてみようと思い始めました」


「そうですか」


 口ではそう言う里見先生ですが、


(ダメ、麻莉乃先生! 男なんか好きになったりしたら、また酷い目に遭ってしまう!)


 心の中では絶叫しています。


「それで、里見先生にご相談しようと思って……」


 麻莉乃先生はググッと里見先生に顔を近づけます。


(ああ……)


 吐息がかかるほど近くにいる麻莉乃先生に失神しそうな里見先生です。


「どうしたら、男性を怖くなくなる事ができるのでしょうか?」


 麻莉乃先生の真剣な眼差しのせいで、


「男なんて好きになってはダメです」


とは言えず、


「わかりました。私でよければ、お力になります」


 心にもない事を愛想笑いをして言ってしまう里見先生です。


(時間をかければいい)


 話す機会が増えれば、チャンスも増える。里見先生はそう思いました。


 


 その日は何事もなく授業が終わりました。


「陽気がよくなって来たので、痴漢が出没しているそうです。女子の皆さん、くれぐれも一人で帰らないようにしてください」


 何故か顔が赤い麻莉乃先生が言いました。


「はーい」


 亜梨沙達は麻莉乃先生の顔色に気づく事なく返事をしました。


「さあ、帰ろう、蘭、彩乃」


 亜梨沙はいつも通り蘭と彩乃を誘います。


「今日は亜梨沙のお邸にお邪魔していい?」


 蘭がニコッとして尋ねました。


「え?」


 ギクッとしてしまう亜梨沙です。


(今朝、高司君の誘いを断わったのはそういう事なの、蘭?)


 顔が引きつるのがわかる亜梨沙ですが、


「いいよ」


と応じます。


「私もいいかな、亜梨沙ちゃん?」


 彩乃が参戦して来るとは思わなかった亜梨沙と蘭はビクンとして彩乃を見ました。


(どうして貴女が来るのよ、彩乃!?)


 心の中で異口同音に雄叫びをあげる亜梨沙と蘭です。


 男は天然娘に弱い。亜梨沙と蘭の共通認識です。


「有栖川ァ……」


 書店で立ち読みして得た「恋愛テクニック」を実践した小次郎でしたが、またしても結果が撃沈で、立ち直れなくなりそうです。


「蘭さんと桃之木も有栖川の邸に行くのか」


 譲児も気になっているようです。


「俺達も行くか、小次郎?」


 譲児が尋ねると、小次郎は目に涙をいっぱい溜めて首を横に振り、教室を飛び出して行きました。


「どうしたんだ?」


 小次郎の奇行に首を傾げる譲児です。


 


 亜梨沙は蘭と彩乃と共に邸に帰りました。


 すると庭園の方から十二神将が駆けて来ました。


(よし、いい子よ、お前達!)


 亜梨沙は蘭が逃げ出すと思い、ニヤリとしました。ところが、


「よしよし」


 蘭は十二神将達を何事もなく迎え、頭を撫でています。


「えええ!?」


 亜梨沙は魂が抜けそうなくらい驚きました。


「可愛いわね、この子達」


 そればかりか、彩乃まで十二神将達とたわむれています。


(こいつら、番犬としてどうなの?)


 亜梨沙は項垂れました。


「お帰りなさいませ、お嬢様」


 そこへ作り笑顔全開のキャサリンが登場しました。


 亜梨沙は後退あとずさりしそうになりますが、


「ケイト、私の親友の桜小路蘭と桃之木彩乃よ」


 二人を紹介すると、キャサリンは、


「よろしくお願い致します」


と深々とお辞儀をします。キャサリンと亜梨沙の確執を知らない蘭と彩乃は、


「こちらこそよろしくお願いします」


 キャサリンは蘭と彩乃の事は知りませんが、


(この二人、トム目当てね)


 見事に見抜く恐るべき洞察力です。


「ケイトはトムの妹なのよ。奇麗でしょ?」


 亜梨沙は他意なくそう言ったつもりですが、キャサリンはそれを聞いてムッとしました。


 でも顔には出しません。


(もう一度言うけどあなたには絶対に負けないんだから!)


 亜梨沙とキャサリンの間に飛び散る火花を知らない蘭と彩乃は大丈夫でしょうか?

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