第2話 入社前から始まる仲間作り

10万人の会社は内定が出てから入社する前に、交流会が何回かあった。

 5月に内々定の会(まだ就職協定があったので、一応秘密裏に行われていた)

 10月に正式な内定者の会

 その他にも研修だとか、健康診断とかあったように記憶している。


 その間、とにかく私は知り合いを増やすのに注力していた。

 私の年は10万人の会社は久しぶりに採用を3倍に増やしたので、なんと3000人も採用していたのだ。

 東海エリアだけでも300人。

 どだいこの全員と交流しろと言うのが無理な話だが、なんとなく私は同期を大事にしなければいけないような気がしていた。

 急に巨大な組織に入って不安だったのもあるのだろう。

 やたらと知り合いを増やしたがっていた記憶がある。

 名簿をもとに、他の人が自己紹介したらその中味をとにかくメモしていた。

 (正直なところを言うと、同期の女の子が美人ぞろいだったので、少し期待していたりしたのもある。結局、誰ともそういう話にはならなかったが)


 たしか、秋だったと思うが、私はその名簿をもとに、自分の知り合った大学の連中とのバーベキューを企画することにした。

 交流会の時にその話を周りの知り合った同期にしていたら、次第に話を聞きつけて20人程度が参加するような規模になった。

 その後も冬に飲み会をやったり、同期とは入社前から結構仲良くなったと思う。


 何で、あんなに一生懸命企画してたのだろうか。

 一つの理由は、自分が山口県に両親がいるため中国支社に送られそうになっていたことだ。

 東海で目立っていれば、きっと残してもらえると思っていた。

 でも本当の理由は別のところにあったんじゃないかと思う。

 周りの同期は皆私にとってはすごいバックグラウンドの持ち主だった。

 学生の時から会社のようなものを運営していた連中がいたり。

 陸上で西日本トップを取ったやつがいたり。

 インターハイの選手だったやつがいたり。

 英語どころかフランス語までぺらぺらなやつがいたり。


 あの頃の自分は、あまりに普通の大学生過ぎて、彼らと比較できるような「何か」を持ってなかった。

 だから、せめて幹事でもやって目立たなきゃと思ってたのだろう。

 このときは、そんな思いで何となしに幹事をやっていたのだが、後で振り返ると、このときの自分に本当に感謝したい。

 この頃の努力がなければ今の自分はないだろうから。



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10万人の会社、1000人の会社、10人の会社 ひとりごと @tokuriki

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