ブロガーのリアル

かん吉

人はどうして走るブロガーになるのか?

最悪だ。


静岡マラソンまであと2日なのに、とにかく右脚が痛い。10日前に大腿四頭筋の一部が肉離れを起こし、痛みをかばっていたら、今度は太腿の内側の筋肉と、お尻の筋肉も痛くなった。坐骨神経痛を患うと、太腿やスネの内側も痛むそうだ。かなり強いトレーニングを積んできたので、色々無理が来ているようだ。


昨年末の12月から3ヶ月間、我ながら長い距離を走ってきた。平日の昼下がりに35kmも走ったりした。しかも最後の5kmのペースを上げるのだ。かなりきつい練習ではあるけれど、マラソンには30kmの壁というものがある。30kmの壁を克服するには、まず30kmを走ってそこからが本当に練習になる。こういうことを、しらっと言えるところが、マラソンがマゾなスポーツだと言われる理由だろう。


マラソンはここ5年間、ほぼ毎日続いている。シーズン中はシリアスに走っているが、4月の終わりから夏にかけては、レースに出場しない(とても暑くて私には無理を感じる)ので、気楽に走っている。


特に真夏のシーズンは、2kmほどの所に市営の無料プールへ、水着を下に着て走る。プールサイドでシャツを脱ぎ、そのまま水に飛び込み500mほどゆっくり泳ぐ。こういう楽しい時間がないと、ジョギングは続かない。しかし、夏が深まってくると、次第に不安になってくる。脚力と心肺機能は落ちていないだろうか?そうしているうちに秋になり、少しずつスピードを上げていき、10月のレースを目指す。そんなサイクルを回している。


マラソンと同じく続いているのが、ブログだ。こちらも、土日と祝日以外は毎日更新している。


両方とも、時を同じくして、本腰を入れ始めてた。2011年に入ってからブログの面白さに目覚め、同年の秋ころからジョギングを再開している。偶然かなと思っていたのだが、同じ時期に2つの習慣を身につけることは、普通に考えたらかなり難しい作業だろう。しかし、この2つの習慣は、自然と私の生活の一部となっている。


ブログとマラソンを個々に続けようとすると大変だけど、2つをセットにするとお互いを補完しあって、相乗効果で、苦しさをキャンセルできるのではないか?そんな仮説を立ててみた。さっそく検証してみよう。


ブログは自分よがりになってはいけないと言われている。読んでもらう以上、読者のために、読者が喜ぶ記事を書かなければならない。しかし、人間というのは、自分をもっと承認してもらいたいと願う生き物だ。ところが、他人のブログを応援してくれる人なんて、そう多くはない。その代わり、ネガティブなコメントは多く飛んでくる。バカとかつまらないとか。よくぞ人に言えるなと思うような言葉が多い。


多くのブロガーがしてしまうのが、ページビュー自慢や売り上げ自慢だ。1日大体1,000PV、月間30,000PVを超えてくると、自己承認欲が芽生えてくる。しかし、ほめてくれる人がいないので、自分から「俺ってすごいんだよ」と言ってしまうのだ。これがヤバイ。


特にお金の話は、ネットでしてはいけない。いくら稼いだとかの話をすると、読者は一気に増える。しかし、その実態は、常識的な感覚の読者が去り、お金儲けしたいギラギラした連中が噂を聞きつけて集まってきた結果で、同業者ばかりが読者のブログとなってしまう。私の推測の話なので、本当は違うかもしれないが、私は、収益を公開するブログを読むと、純粋な読者としては白けるけど、ブロガーとしては興味が湧いてくる。そんなに間違ってはいないだろう。


同業者ばかりのブログの広告がクリックされるわけがないので、次第に収益は下がっていく。モチベーションも低下して、ブログの更新頻度も少なくなり、次第にフェードアウトしていく。多くのブログがこうして消えていくのだ。


私のブログも、ピークを過ぎると、次第にページビューが減少していった。しかし、私は収益自慢には走らなかった。


マラソンがあったからだ。


マラソンレースに出場したら、レースレポートを、ブログにポストする。もちろん、ただのレポートでは読んでくれないので、レース中に得た知見を元に、ランニングのノウハウ記事にしてポストした。


マラソンレースは全世界どこでも距離は同じ、42.195km。高低差などの違いはあるが、基本的にタイムで評価され、比較されるスポーツだ。フルマラソンを3時間で走ったといえば、知っている人ならすごいねという感想になる。


つまり、ブログで「俺のブログすごくね」と叫ぶのは下品だけど、「マラソンレースでベストタイム更新したよ!3時間10分で走ったよ!」というのは読者をしらけさせていないと(私の中では)考えているのだ。少なくとも、ジョギングを趣味にしている人には、刺激になっているはずだ。


ブログは自由に書けるようで、制限が多い。本音をあえて隠して記事にすることもある。かといって、淡白な記事では人々の興味を引くことはできない。微妙なさじ加減で記事の温度を調節しているのだ。しかし、その作業が続くと、ストレスが貯まり、ついつい本音をぶちまけて記事をポストして、炎上してしまったりする。実は、私は経験したことがある。酔っ払ってブログ記事を書いてポストしてはいけないことを、身を持って学ぶことができた。


私の場合は、マラソンレースの結果を公開して、「俺ってすごいでしょ、頑張ったでしょ」という思いを、暗に吐き出していることで、欲求承認を満たせている。だからブログを続けられる。そして、もっとすごいと言ってもらいたいから、マラソンも頑張れる。仮説の通り、ブログとマラソンは、うまく補完しあっているのだ。


私も今年で44歳になり、体力的にピークを迎えている。マラソンのベストタイムの更新は、そろそろ頭打ちになるだろう。将来は、ブログの承認欲求が満たされなくなるのではないか?そんな心配もあるが、必要はなさそうだ。


なぜなら、マラソン業界には、「年齢別順位」というものがあるのだ。1年間の全国のレースを集計して、年齢別にベストタイムの順位を出してくれる。これなら、歳をとってタイムが伸びなくなっても、今度は同い年のランナーとの競争が待っている。タイムは落ちても、順位が上がっていけば、達成感はあるだろう。


実は、マラソンとブログの関係は、掘ればもっと深いとこでつながっている。ここまで読んでもらえれば、なんとなく感じるものはあるかもしれない。しかし、今日のところは、ライトなところで留めておこう。もうお昼だ。


外は穏やかな天気だ。気温は15度。風も弱い。しかし、週末の天気予報は雨予報。このままだと静岡マラソンは3年連続の雨レースだ。あらら。

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