第6話
いつも通りの準備を済ませ、梯子を登る登る。
中腹で止まることもなく、頂上を目指し続ける。
いつもより早く頂上につき、種の準備を始める。
種は二重にしてあり、先に大雨の降る種が花を開き、時間差で小雨を降らせる種が芽吹く。
雨季の最後にふさわしい、僕の中での最高傑作。
本当ならこの雨の様子を最初から最後まで見るつもりだったけれど、今はそんなことも頭から抜けている。
ただただ、機械的に作業をこなす。
一連の操作を終え、元の位置に戻る。
時間にはまだ余裕がある。
若干雨季も早く終わりそうだけど、まあ、それはいいだろう。
梯子に手をかけ、一段一段降りて行く。
自然とペースが上がる。
中腹まで来たところで〝カラザ〟の方を見るが、やはり時間が少し早いからか彼女の姿はそこにはない。
あと半分だ、早く行って彼女に会いに行かなければ。
その気持ちがどんどん僕を焦らせる。
ただただ梯子を降りる降りる降り
足が滑る感覚。
一瞬の浮遊感。
『先に大雨の降る種』なんだ。滑るにきまってるだろ!
『ここ数年、そのような事故は起こったこともないし、よっぽどのことがない限りそんなことはない』だって? 馬鹿野郎。僕のことじゃねえか!
落ちていく一瞬。そんな言葉が脳裏を掠める。
落ちる
落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる落ちる
落ちる落ちる
落ちる
落ちる
落ちる
僕は、意識を失った。
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