第8話
ゆきの部屋
私は勉強もせずベッドでゴロゴロしていた。
右手の人差し指にはバンソウコウが巻かれて、
それを眺めて昼間になぎさに肉じゃがの作り方を教えてもらった事を思い出していた。
――
「違うよ、ゆき、肉じゃがにソースは入れないよ」
「え?ダメ?」
「そんなだから、ジャガイモの皮むきくらいで指を切るのよ」
「う、うん」
ダメだ、料理ではなぎさに勝てない、いや、ゼロから教えてもらうのだから勉強とは逆か、
素直に従い料理を進めていく。
「ふーう、できた」
「ご飯、あるから、二人で食べよ」
――
……不味い。
「えへへへ、私が失敗しちゃった」
「え?」
「ゆきの分もちょうだい」
「えぇ」
なぎさは私の分もガツガツ食べ始めた。
「そういえば濡れたからバンソウコウの換えある?」
「無いよ」
「一つも?」
「うん、たぶん」
「たぶん?」
「そう言っても、『えへへへ、あったよ』とか言ってくれるでしょ」
「ばれたか」
――
さて、勉強に戻るか。
ゆきの部屋
「なぎさ宿題終わった?」
「何とか」
「最近、何か宿題が難しくない?」
「そうかも」
突然、ゆきはうつむく。
「大丈夫?」
少し、勉強し過ぎたかな……。
「うん、少し休む」
ゆきはベッドに横になる。
なぎさは隣で正座をする。
「あの~気が散るのですけど」
「私、何ができるかな?」
「何もしなくて良いから、隣で正座はやめて」
「う~何かできないかな?」
「私の代わりに勉強する?」
「私、帰るね」
「そう?そうして」
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