第5話

とある日

「なぎさ……私、変な夢を見たの……。」

ゆきから相談があると呼び出され、ゆきの部屋に居るのだが」

「私の孫がアルファープラス能力者で……そう、なぎさのように低能力で悩んでいる、夢」

「そう?ゆきはT大に入ってキャリア官僚に成って、一生独身」

「なんか酷くない?」

「ゴメン、ゴメン。で、どんな能力なの?」

「小さな炎を出せるだけらしい」

「へーそうなの」

「なんか、どうでも良さそう」

「正直」

「だ・か・ら。未来はアルファープラスが激減して大変らしいのよ」

「私が……まだ、無理かな」

「うん、ハッキリ言ってね」

「なら、ゆきがT大に入ってキャリア官僚として活躍した方が良いと思うよ」

私たちは複雑そうに苦笑いをして。

「さて、勉強するかな」

「私もアルファー能力の訓練するわ」

何時ものように本に向かって念じる。

『パタ』

今日も倒れるだけだ。

でも、ゆきに未来を見せた、能力者ってすごいな。


クリスマス

私の家でゆきを呼んでクリスマスパーティーを開いていた。

ごちそうを食べて、私の部屋にゆきがお泊まり。

「ゆき?今日は勉強しなくて良いの?」

私はしあわせそうな、ゆきを見て逆に不安になり。

「えぇ」

――ゆきは――ほほえむ。

そうだ、朱次との話をしよう。

「私、朱次と結婚出来るかな?」

子供かもしれないけれど、私はゆきに朱次との色々な夢を語った。

気がつくと朝になって。

ゆきがカーテンを

開けて夜明けを眺め、決意に満ちた眼差し……。

「ゆき?」

「さて、帰って、勉強しますかね」

そそくさとゆきは帰っていき、

これで、クリスマスパーティーはおしまいか、少し寂しく感じがした。






冬休みの25日

うちの学校は図書室が解放されて、

私はアルファー能力の訓練に来ている。

いつもの席に行くと可愛い小さな小包が、

……???

メモが、

『遅れたけどクリスマスプレゼントです』

誰だろ?

ここにあるなら朱次か……。

中身はウサギのぬいぐるみかな。

当たったら朱次かな……えへ。

早速開けてみる。

ああ!

ウサギのぬいぐるみだ!

愛の力かな……えへへへ、アルファー能力が上がったかな、

それも嬉しいな。

よし、このぬいぐるみで訓練だ。

『コロン』

ウサギのぬいぐるみは倒れるだけである。

やっぱり、難しいな……なら、愛の力かな、えへ。

私は上機嫌で訓練を続ける。


街の大型ショッピングセンター


私はゆきと共に買い物に来ている。

「今日はゆき、沢山買ったね」

ゆきは大きな荷物を抱えて大変そうだった。

「私は、ファションセンスも良いから」

「うーん、私はそんなにお金ないからね」

「大丈夫、私が低予算でコーディネートしてあげる」

ゆきに言われるまま、いくつかの服を買ってしまった。

「お客様、今日はイベントデーなので、福引きができますが」

「そそ、うなんだ、それで、景品は何ですか?」

「はい、1当はこれになります」

そこには南の島の絵が……海外旅行だ。

よし、アルファー能力の訓練ついでに当てるぞ!

私は力を込めて紙を引く。

すると、『1当』と書かれていた。

「やった、海外旅行だ!!!」

「おめでとうございます、1当の南の島のポスターです」

「え?」

「おめでとう、なぎさ、ポスターだから1当が出やすいのね」

「ありがとう、部屋に飾るね」


始業式

「相変わらず、偉い先生の話は長く感じるよね」

私がゆきに愚痴ると担任の先生が入ってくる。

ロングホームルームの時間か。

「皆さん、今学期からの転校生が入るのでよろしく頼む」

転校生?仲良くなれるのかな?私はゆき以外に心を開けないでいるのに……。

金髪でブルーの目をした身長が高めの少女が入ってくる。

「アリスナ・ロウギさんだ」

「はじめまして、アリスナと呼んで下さい」

少女は綺麗に挨拶をする。

「えーと席は……」

先生が席の話をするとさえぎるように右側の男子が

「ぼ。僕の席をどうぞ」

「う?アリスナさんの席は決まっていたのだが、まぁ良いでしょう」

担任の先生は首をかしげながら、渋々言う。

そして、少女が隣に座ると

「よろしくね」

私は直感的に感じた、アルファー能力者だ。

「こちらこそ、よろしく。私の能力は軽い物を動かせる程度です」

「あら、さすが、ばれちゃいましたか」

少女は少し嬉しそうに言うが、何か違和感を感じる。

「私の能力は『エアハッキング』です」

「エア?」

「あらゆる、電波を操り、コンピューターと名の付く物はすべてハッキング出来ます」

「エア?ハッキング?しまった、私には分からない」

「簡単に言えば、機械無しで、コンビニのWi-Fiに入るとすべてのデータを見る事が出来ましてね、それから……あれ、これ以上は秘密でしたね」

「ひょっとして、アルファープラスですか?」

「はい、仲良くしましょうね」

アリスナは嬉しそうに答える。

う、ぐぐぐ、これは波乱予感がします。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る