第1話 死に挨拶を
バー「
そこはフェンリルの中心にある店で様々な人たちがやって来る。
経営しているのは「フューリー=ナイン」
年齢35歳で黒スーツを着こなしヒゲを生やし、まさに渋い男といえるかっこ良さが溢れる男性だった。
バーにみんなと違う雰囲気を漂わせる人がやってきたのは突然のことだった。
ハットを被り、白いスーツ着ていてかなり目立っているのがわかる。
彼はフューリーがいる目の前の席に座った。
みんなが注目しているなか、彼は―
「マスター、カクテルある?」
「....ん?あ、カクテルね。少し待っていてくださいね。」
いきなりのことでフューリーも何秒か頭が真っ白になってしまっていた。
気を取り直して、カクテルをつくり始める。
ずいぶんこの街には珍しい人だったのでこれにはフューリーも驚きだった。
何分か経った後、突然二人が喧嘩をし始めた。
頬が赤く、言い方もおかしい。
どうやら酔ってしまっている様であることがわかる。
先ほどまで注目は彼だったが今度は喧嘩に目がいってしまっていた。
「やんのかぁ~こらぁ。」
「きこえねぇよぉ~あーん?」
二人の酔いはどんどん加速していく。
そんな中、彼は気にもせずカクテルを飲んでいた。
飲んだ後、立ち上がり彼は尋ねた。
「マスター、少し汚しますがよろしいですか?」
フューリーは彼に尋ねられ、もちろん大丈夫だと話す。
すると気前の良い白スーツから何かを取り出した。
よく見ると持つには相応の覚悟がいるブツであり、人の命を奪うもの。
間違いない、あれは拳銃だとフューリーは悟った。
その表情を見て、気づいた彼は口の前に一本の指をたてる。
「シーっ。あの喧嘩している二人実は彼らお金で雇われてる人たちです。」
なぜ急に喧嘩をもっぱじめた理由もそれなら通じる。
「マスター、いえフューリーさんは何もしないでください。
もしやるべきことを邪魔をしたら―」
ふと笑いながら、彼は私の耳元に近づきそっとささやく。
「殺しますよ。」
彼の発言とその表情には冗談に見えずただただ冷徹に見えた。
「では。マスター、また会えるときまで。」
そう言い残し、彼はゆっくりと殺しの対象に近づいていく。
バーにいる全員が陽動に引っかかっている。
気づいたときには既に対象の目の前にいた。
彼は取り出した銃を使わず、何か針のようなもので対象の体に刺し込んだ。
じっくり、ゆっくりと。
対象者が気づいたときにはもう遅く心臓手前まで来ていた。
そして彼は対象者にささやく。
「死に挨拶を。」
その瞬間、一人の男性は人形のように動かなくなった。
バーで一瞬を目撃していたのはフューリーのみ。
完璧な作戦で完璧に成し遂げた。
動かぬ死体となった男性にみんなが気づいたのは一分後だった。
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