第37話
ある種の矛盾ともいえるが、いずれにせよマックス函館が何者かは、彼の行動が如実に物語るだろう。関わりたくないほど先鋭的に。
考えても損なう所は無い一方、得る物も無い。ただし、利害に関係するので思考を割かねばならない。
そして矛でも盾でもなく、マックス函館は抜刀したのだった。
宝蔵院お春こと西大寺千秋にとって、マックス函館のことは放置したかった。だが総理が入り口を塞いでいるので帰れない。
「私は国会議員。しがないクーデター志望者さ。」
マックス函館は自己紹介した。
この国は何なのだろうか。
総理はマックス函館を睨む。マックス函館もまた、総理を見た。
対峙する両者。形容する言葉はあるが、言いようもなく淀んでいる。
「愚かな。力で革命を求めるなよ。政局に血を流せば何も残らんぞ。」
総理の肛門から放たれる光の監獄。言葉とは裏腹に、殺気に満ちている。
「武力?ご冗談を。総理、この行いは世の明るみに出ない、闇のまつり事でしょう?」
雄弁に、刀の切先を総理に向ける。尖端が澄んでいる。
マックス函館は、九本の光に照らされ、濃淡に染まる。
「ならば、これは立派な政治行為ですよ。」
だが、そこまでだ。当事者達は直線で引かれた境界線に阻まれているかのように、交わらない。
言葉が通じない事は、見れば明らかだ。
何もわからない。第三者の千秋は蚊帳の外だ。
依然、正直言って千秋は帰りたかった。
不意に、総理が抜刀した。時が流れ出すと思った。
「人も組織も先鋭化する。お前達を先鋭化に走らせたのはやはり屍達なのか。」
「お互い詭弁が好きですねぇ。ふふ、敢えて弄するなら…啓蒙を受けたのですよ。」
止め処ない戦いの流れが堰を切ったのだと思ったのは一瞬だけだ。
瞬きをした目が開いた時、まさに目にも留まらぬ速さで移動した松平総理はマックス函館と鍔迫り合いを繰り広げていた。
二人は言葉を交わしている。
淀みも澄みも同じである。戦いについていけぬ第三者の目線から見たならば。
「馬鹿な速すぎる。マックス函館は後頭部を殴られて気絶するくらい弱いんだぞ。勝ち目がない。」
総理の実力に山田寺さんも驚嘆していた。
対するマックス函館は、持ち堪えていた。彼もまた実力者という事か。
「マックス函館の奴、私がワインボトルで昏倒させた時は手加減してたんだ。」
殴られるのに手加減もクソも無いが兎も角、確かに剣の技能を隠していたようだ。入滅部隊も甲賀組とは技術的物量的アドバンテージと忍法という隔絶で劣後したのであり、個々の実力は単純な白兵戦で差がつく訳でも無いのだろう。首領とて同じだ。
「良いでしょう。私も謎解きに戯れましょう。」
マックス函館の言葉からは余裕が感じられる。戦闘中に会話を始めるとは。
「どんな謎解きだ。」
「隙ありぃぃぃ」
一瞬の隙を突き、マックス函館は一撃お見舞いした。総理の右肩から血が噴き出す。
「入滅部隊ついて、なんてのはどうですか?」
マックス函館は何も無かったかのように言った。
「面白い。なら一時停戦と行こうか。」
総理は上空に飛び上がると空中浮遊しながら四つ脚で天井に張り付いた。口で刀をくわえマックス函館を見据える。
「我々入滅部隊は初めてゾンビが確認された、瀬戸内の島出身です。」
マックス函館は話しながら歩き、壁を歩き、今度は天井を歩き出した。
「出身と言っても、戦いに参加したのは殆ど私が世界中から集めた人員。入滅部隊の母体となったのは島のとある寺ですが、私はそこの信者でした。」
「そこまでは調べている。ゾンビ出現により先鋭化した自警団だという事もな。」
「少し違いますねえ。我々は同一の目的に集ったに過ぎません。」
校長は肛門から一筋の光を放出したが、マックス函館は光速に匹敵する剣技で刀の側面を当て、光を反射させてしまった。
「これ重かったんですよね。」
マックス函館がカツラを脱ぐと、禿頭には若々しい長髪が黒々と伸びていた。
ハゲのカツラは床に落下すると、重みでお堂の床は完全に崩壊した。
床に立っていた第三者達は破壊された床の下、地面に落ちてしまった。
「あぁっ私の職場が!」
探偵、キャスパー和尚は自分の職場が破壊された事で悲しそうな声を出したが、その表情はニヤついていた。
「ねえ、どうしてキャスパー和尚は嬉しそうなの。」
千秋は聞いたが、菅原さんが制止した。
「駄目だよお春殿。キャスパー和尚は仕事が出来なくなって嬉しいんだ。」
「そうか。」
「残念だな〜これじゃ明日から仕事が出来ないや〜〜残念だな〜」
一方、千秋達にとっては最早第三者、マックス函館と服部半蔵は天井に張り付いて話し合っていた。
「お前は寺とかけ離れた所にいる。」
総理は両眼からもビームを出しながら言った。ビームはマックス函館を袈裟斬りにしようとしたが、マックス函館が前方に投げた空気弾に当たると爆発してしまった。
「あなたが言った事ですよ、総理。思想もまた変容するのです。戦いの中にあってはね。」
「あの島は古来より争いが絶えなかった。」
総理は肛門から九個の光の球体を放出した。光は激突したかに見えた。だが、マックス函館は袈裟を翻し、光弾を回避した。
「成る程な。あの島は誰かが秘匿したい物を集める習性がある。術理か偶然か、お前達もまた、島に引き寄せられたのか。」
「十三宗という言葉があります。」
「中国十三宗か。古代中国で栄えた仏教における十三の宗派。やはり。」
「結論にはまだ早い。十三宗には南都六宗や天台、密、禅、浄土宗なども含まれる。その多くは日本へ渡来し、影響を与えた。」
「だが伝わらなかった宗派もある、そうだな?」
「ええ、伝わらなかったものもある。」
マックス函館は頷いた。
「入滅部隊だと?人を食ったような口を利くものだな。涅槃部隊の間違いでは無いか。」
「涅槃宗。一切衆生悉有仏性。涅槃経を根本とする宗派。中国で争いに敗れ、日本に伝わった事は無いとされる。ですが、日本でも、常修多羅宗と称し一度講義が行われた事がある。」
「奈良時代だな。伝えられた記録はあるが、その後定着してはいない。貴様らはその時から日本に残っているのだと言うのか?」
「いえいえ、そうではありません。あの島の寺は古い。ですが、幾たびの争いで中の人達は何度も変わってるのですよ。野盗が僧を皆殺しにし、住職を名乗った時代もある。」
さっきから何の話をなのだろう。千秋は全く興味が無かったが、状況的に話を聞くしか無かった。
「あの寺が受け継いできたのは教義ではない。経典ですよ。道生訳、涅槃経"全巻"とその注釈本。」
「何ッ!道生は涅槃経を翻訳してない!そもそも黎明期、涅槃経は前半部しか伝わってなかった筈。」
「一切衆生悉有仏性。全てのものは悉く仏性を持つという考え。そもそも涅槃衆自体が、廃れた事でその内容が歴史には伝わっていない。ならばこのような事があっても、何らおかしい事ではないのですよ。」
「あり得ぬ。」
「伝えたのは、遣唐使、粟田道麿です。」
「粟田道麿だとお」
「日本に雅楽春鶯囀を伝えた事で有名な彼ですが…密かにこの秘宝を入手し、日本に伝来させたのです。それは、裏正倉院文書として写経され、後にあの島へ伝わったと聞きます。」
「ならば、その秘宝を受け継いだ貴様らは…ゾンビの仏性についてどう考える?」
「NO」
二人は呵々大笑した。
禅問答である。
「さて、私はある一つの目的を持って仲間を世界中から集めた。もうお分かりでしょう。」
「ああ。お前達は先鋭化した…」
「そうッマイケルジャクソンのファンクラブですッ!」
マックス函館が袈裟を脱ぎ捨てると黒スーツに帽子を被っていた。
「えっ」
「POWッッ!!!」
マックス函館はムーンウォークで近づきながら総理の右肩を切り裂いた。
「はあああああ!?」
「歴史ある寺を隠れ蓑に…世界中から危険な革命思想を持つマイケルジャクソンのファンを集めた集団…それが入滅部隊!何が仏教!クソくらえです!我々の目的はマイケルファンによる国家建造だ!」
いつの間にかマックス函館の右手の甲には三画の紋章が宿っていた。
「現れよッ!!」
マックス函館が呪文を唱えると、星屑の如く光の粒が集まり、総理の背後でマイケルジャクソンが英霊となって姿を現した。
「POWッ!」
マイケルジャクソンの英霊は一瞬のうちに総理の左肩を切り裂いた。
「えっどういう事。何が起こったの?涅槃経はどこへ行ったの?」
「そんなお金になりそうな物はとっくに転売しました!さあ…マイケルジャクソンの墓を暴いて灰にして塗した妖刀村正。それこそ我が愛刀マイケルスサノオ!この名を聞いた時、貴方はアメリカ人ダンサーを想起すべきだったのです!」
マックス函館の愛刀マイケルスサノオは清らかに輝いていた。その輝きはまるでスリラーの頃のマイケルのようだった。
「マイケルの遺灰を混ぜ込んだ妖刀村正。これに幾度もゾンビの血を吸わせる。するとどうなるかわかりますか?」
「何言ってんのお前!?マジで何の為にゾンビ退治してたの!?」
総理の疑問も意に介さず、マックス函館は一方的に話を続けていた。嗚呼、言葉が通じない。
入滅部隊の正体は、先鋭化した危険思想を持つ非公認のマイケルジャクソンのファンクラブだったのだ。
「この刀の霊性は高まりに高まり、私はマイケルジャクソンの英霊を使役することが出来る!」
総理は信じられないアホを見る眼でマックス函館を見た。
「駄目だこいつ。俺は甲賀組さえ皆殺しに出来ればそれでよかったから。この国を任せられる逸材が現れたらそれで良しとしたかったけど、マジで駄目だこいつダメだ。こいつに国を任せたらダメだ。
早いめに殺さないとヤバいやつだ。」
総理は、服部半蔵は九本の光の尾を放った。九尾の狐、ここに顕現せりといった風情だが、この勢いで天井が完全に崩壊した。
「常修多羅宗は錦城高校に雇用された事が有りましてね!その縁で、入滅部隊が雇用されたというわけです!」
マックス函館とマイケルジャクソンの英霊は空中へ飛翔した。
「マックス函館ってあんな奴だったんだ。」
青龍が頭を抱えながら言った。
総理は尾の光をジェット気流のようにして天へと逃れようとする、だが、マックス函館とマイケルジャクソンの英霊はムーンウォークで空中を歩きながらこれを追う。
「総理、全ては島を本土と切り離した貴方の罪ですよ。」
「ここまで先鋭化すると思わんだろ。」
「ふふ…最初、学校に雇用された時は大ピンチでした!なんせ、訳の分からぬゾンビモドキ、失敗すれば粛清!ですが…敵は政府だと判明し、これはチャンスだと思いました!政権奪取!」
「うああああ来るな。」
「私だって全裸のオッサンを追いたくない!」
上空の雲で九本の光流が迸る光景を眺め、千秋は呆然としていた。
「さあお春殿。謎解きを続けますよ。」
探偵キャスパー和尚は容赦なく言った。
「まだ続けるの!?」
キャスパー和尚は頷く。周りも覚悟をキメた。
「犯人が居なくなったんだ。事件を解明するのが、残された私達の使命だよ。」
橘さんはなんか言った。
「ええ…ヤダ。」
「お春殿、総理がお堂で忍法を使わなかったのは、我々を巻き込まない為ですよ。」
キャスパー和尚は無慈悲に続けた。
「犯人の狙いは甲賀組…ならば、甲賀組ではない我々を巻き込むわけにはいかないのでしょう。浅ましいことです。」
「そうなの?」
「総理がお春殿を甲賀組から抜け出させ四教頭側に付かせたのは、スムーズに甲賀組を殺す為。形の上でも一般人が甲賀組に属することは許せなかったのでしょう。それほど彼の憎しみは強い。そして『言伝集成』を与えたのは、この事件を解決してもらう為です。彼は拘りの強い人物なのですね。」
キャスパー和尚は勝手に納得していた。
「だからこれは、凄く簡単な事件なのですよ。こんなもの自供だ。では、一つずつ殺人を解明していきましょうか。」
「嫌です。」
「まず第一の事件、舟渡伝次郎。遺体は瑕疵腹市の林の中で見つかった。これは簡単ですね。仲間とはぐれた時に殺害。」
「この戦いで、レイチェル和尚も命を落としています。おそらく甲賀組の誰かに寄るものです。マックス函館と入滅部隊は、舟渡伝次郎の死をレイチェル和尚との相討ちと思ったのでしょう。」
成る程。初動が遅れたという訳だ。
「ちょっと待って、総理は一般人を巻き込まないんじゃ無いの?」
「入滅部隊は裏社会の人間ですから。犯人はそもそも裏社会の者は、死ぬなら勝手に死ねばいいというスタンスのようですね。特に甲賀組を自らの手で殺す事に拘っただけです。」
「そういうものなの。」
「そういうものです。次に第二の事件、桃地八右衛門。まあ事件では無いのですが。」
確かにそうだ。あれはローズマリー和尚の造反。そして最終的には全員出家した。
「恐らく、服部半蔵が最も忍者館の疑いがあると睨んでいたのは、桃地八右衛門では無いでしょうか?八右衛門の出家は計算外だった筈です。彼は桃地馬琴の人体式神兵器ですから。」
「そっか。」
桃地八右衛門。千秋を今の状況へ導いた切欠も、彼だった。
「場合によっては、八右衛門が殺されてれば、事件は続かなかったの?」
千秋は聞いた。
「それは無いでしょう。犯人の動機は忍者館の地位を得ることでは無く、甲賀組を全員殺す事だ。とはいえ、計画に少なからず影響を与えた筈です。」
ここでも入滅部隊は動かない。当然だ。
「この時点で、甲賀組が全員死んでも陰謀が続く事が決定します。」
キャスパー和尚は冷徹に言った。
「なんで?」
「八右衛門が出家してますから。候補者は候補者。出家者を殺すなんて出来ないでしょうしね。」
確かにそんな罰当たりはいないだろう。
「八右衛門を殺せないなら、桃地馬琴を殺す必要がある。念には念を、他の人体式神兵器全ても。その目論見は白虎氏がまんまと達成させられましたがね。」
キャスパー和尚は白虎を見た。
「確かに。だが俺は桃地馬琴とか言う奴は殺してないぞ。」
白虎が言った。
「彼は外に出ないでしょう。」
千秋は果報矢文之介の記憶で見た、ある屋敷に鎮座した即身仏を思い出した。千秋には総理の本当の動機がなんと無くわかってきた。
「あの少年が…総理だったんだ。」
「さて、次に第三の事件、百面刑部。彼の生前の最後の姿は、私もかすれゆく意識の中で見ています。」
ベジ四駆強盗の件だ。
魔法のボンネットバス。このお堂にいた時、突然現れて千秋を拉致してしまった。結局、その間に百面刑部は殺された。ボンネットバスは、総理の作り出した式神だった。
「あの式神は、私を刑部から離れさせる為だったのね。」
「でしょうね。貴方は犯行現場に、最も近いですから。」
恐らくこの時も入滅部隊は気付いていない。疑いを持ったかもしれないが。
「入滅部隊ではマライア和尚、ボナンザさんが七本槍に潜入しています。この時、恐らくかなり疑いは持ったでしょうが、入滅部隊とマックス函館は、ボナンザの単独行動だと判断せざるを得なかったのでは無いでしょうか。」
それはそうだ。よもや一国の総理大臣が、忍者を殺しているなどとは誰も信じないだろう。
「次に第四の事件、お茴。現場に入滅部隊は、一人もいません。この殺人はオカマバーの中、二人の忍者と店主、客の眼の前で行われました。」
その時、千秋はマダムマリファナと田原本を見た。
「流石に、この辺りは関わった人に聞かないと分かりませんね。」
キャスパー和尚はマダムと田原本を見つめた。
「待って、探偵さん。」
山田寺さんが口を挟んだ。
「あそこのオカマは兎も角、田原本は私の密造銃を作ってる職人よ。彼は無関係だろ。」
その場の空気が凍った。
「ええー!」
千秋は田原本を見て、山田寺さんを見て、もう一度田原本を見た。そしてキャスパー和尚を見た。
「どういう事!?探偵さん!」
「知らないです。」
田原本はフィギュアを眺めていた。
「シャルルマーニュたんハァハァじゃけんのう。」
彼はその筋のオタクである。背には機関銃を背負っていた。
「あの機関銃は!?入滅部隊から仕入れたんじゃ無いかって甲賀組が言ってたけど!?」
「田原本は銃を作る程のマニアよ。どっからか仕入れても、不思議は無いわ。」
山田寺さんは謎のフォローをした。
「シャルルマーニュたんハァハァじゃけんのう。」
シャルルマーニュは、アニメのキャラだ。
「ストーップ!」
場を収めたのはマダムマリファナだ。
「そんな田原本ちゃんは何故小娘なんかの言う事を聞くの?」
マダムは余計な対抗心を燃やした。
「それは私がシャルルマーニュたんのアニメの声優のバイトをしてるからよ。」
山田寺さんはカミングアウトした。
「マジ…かよ…」
謎が解けたところでキャスパー和尚が解説を始めた。
「多分犯人はそれを作戦だと言ったんじゃ無いでしょうか。」
やや投げやりに探偵が推理した。
「どうなの、マリファナ。」
千秋は聞いた。
「お春殿は若いから黙っててくれって、信成ちゃんには言われてたけど…」
マダムは語り出した。
「でも、探偵さんが絡むんならね。実はお春殿が去った後、総理が作戦だって言って、お茴ちゃんをブッ殺したのよね。毒矢で。」
「毒矢!?」
あの時、お茴は入滅部隊を倒す策があると言っていた。その後、お茴はゾンビ化した上で忍法で意識を保ち、結婚式でアマンダ和尚を拉致する事に成功した。
「愛する者の為に死ぬ馬鹿は、子供が知るべきでは無いって思ったの。」
マダムは言った。
「成る程。これで残った甲賀組は二人。第五と第六の殺人、お仮名と石ノ老猿。ミカエラさんの結婚式でお春殿を警護する任務を負わせ、纏めて殺害した訳だ。この時点で既に入滅部隊は確信していた筈です。」
それはそうだ。自分達の関わりの無いところで敵が死にまくる。アマンダ和尚を犠牲にしてでも、確かめる必要はある。一国の首相が殺人犯などというスキャンダルは。
「マイケルファンの国を作りたい入滅部隊にとって、事実の確認は是が非でも行いたいですからね。そして総理の首を掴んだ。」
キャスパー和尚は何故か上半身裸になった。
「さあこれで、私の美肌が全ての事件を解明しました。どうです!?この輝きは。」
「アラいい男。」
マダムが惚れ惚れするように言った。
「でしょう!?犯人は上空に逃走しました。残された我々にできる事は、私の美肌の行方を見守る事くらいだ…」
その後一同は三時間くらいチンパンジーの出処について話し合った。
「ウキーキー」
突如チンパンジーが空を指し示すと、天からジェットパックを背負って降り立つ男が現れた。
「あなたは電子組の薬師博士。」
薬師博士は着地すると語り始めた。
「ウキーキー」
「キー」
「キーキー」
二十分ほどチンパンジーと会話した薬師博士はついに日本語で語り始めた。
「総理は何処へ行きましたか。」
「空へ飛んでいったけど。」
「それはいけない。たった今判明したのですが、ビショップの正体はマックスというマイケルジャクソンの英霊を使役する危険人物なのです。」
「知ってる。」
薬師博士は一瞬躊躇ったが、決然とした表情で言った。
「お春殿、どうか聞いて欲しい。私の名前は松平薬師。松平信成の実子であり、葛城似鳥との間に生まれた十五歳。」
「ええええ」
つづく
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