第2話
次に千秋が目を覚ました時、そこは総理大臣官邸だった。テレビで見た事がある。
「お目覚めですかな。」
目の前にいたのは先刻の男と総理大臣だった。
「何ですかこれは。」
千秋は状況を把握できなかった。
「はじめまして。総理大臣の松平信成です。」
「そして私は甲賀忍者の桃地八右衛門と申す。」
千秋が疑問に思ったのは総理大臣の口にした名前が世間一般で見知った物とは違うということだった。
「テレビや新聞で聞く名前と違いますね。」
「ご安心召されい。通常使っておるのは偽名じゃ。この松平姓が本来の名前でござる。」
何だそうだったのか。
疑問が解決した所で本題に入る。
""o(^▽^)o""
松平総理が語り出した。
「では現在のお主の置かれた状況について説明しよう。
お主は現在、総理大臣官邸にいる。これは言われずとも分かるであろうな。
では何故この場におるのか?それは甲賀忍者桃地八右衛門がお主を拉致してきたからじゃ。
ここまでは分かるな?」
ぶっちゃけ千秋は何一つ理解してなかった。言葉遣いが難しすぎるのだ☆。だが、眼前の男は総理大臣と忍法者だし、それに変な人たちといえども他人に気を使わせるのは悪いと思い、頷いた。
続けて総理はこれまでのいきさつを述べ出した。
「であれば、如何なる目的があってお主を連れて来たのか?という疑問が生ずるであろう。
実はお主は戦いに巻き込まれたのじゃ。
それについてはワシの預かり知る所ではない。八右衛門が詳しく説明致そう。」
八右衛門が両手を広げ立ち上がった。
「ではここからは私が話しまする。
まず私はある任務により敵方の忍者を追跡していた。
ところが、敵の罠に嵌ってしまい逆に敵方から追われる羽目になってしまった。
そこで私は何の関係もないごく普通の一般人を人質にすることを思いついた。忍者は表社会に存在を知られてはいけないので、如何な忍者でも一般人に手出しは出来ないのでござる。
見れば一軒の住宅が建っているではないか。私は一軒家に侵入した。それがお主の家だ。
女、名を聞こうか。」
「宝蔵院お春です。」
千秋は偽名を使用した。
「お春どのか。良い名でござる。
しかして、お春どのの家に侵入した拙者はお春どのを見つけ、人質に取ることで敵を牽制しつつここまで辿り着いたのでござる。」
千秋は偽名を使用したことは別に間違いではないと思った。いくらなんでもこれは戦いに巻き込まれすぎでござる。
「えー!じゃあ私はこれから口封じのために発狂するまで拷問を受け続けるんですかー!?きもーい!」
千秋がわりと現実的な推測を口にすると松平のおじさんは凄く気持ち悪い笑みを浮かべた。
「にやり。流石に一般人にそこまでやるのは忍びない。しかしここまで国家機密を知られて生きて返すわけにもいくまいなあ。
よって松平信成の個人裁量によりお主を任務に参加させる。
お主はほとぼりが冷めるまで百地八右衛門と行動をともにするのじゃ。」
千秋の前途多難な高校生活が産声をあげ始めた。
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