発展 / development
「狩りに行きましょう」妹が誘ってくる。「ハンティングよ。私たちで暗黒大陸のその細部までを詳らかにしてやるのよ」。真っ赤な皮で縁を覆い、緑色の輝く羽根飾りまでついたサファリ帽を被り直している。サファリジャケットも立派だ。きっとあらゆる地図に磁石に、散弾が入っている。バスルームの中はとうもろこしでいっぱいだ。「行きましょう」そう言って家を出る。玄関を開けるとさっそくガゼルがいる。「ああもう」妹は銃を構える。私も慌てて持っていた散弾銃で狙いを定める。引き金を引く。何かを潰したような音がして、どろどろとしたガソリンが銃口から流れ出る。ガゼルが倒れる。私は近寄ると、ガゼルの腹から煙草を取り上げる。
「やったじゃない! さすがよ」妹が大はしゃぎして走っていく。妹は家の前のスーパーマーケットの角を曲がる。郵便ポストの影に隠れたハゲワシを目ざとく見つけ、一発で仕留める。「ほらね、負けてられないわ」。ハゲワシの咥えていたチョコレートにぱくつきながら妹は自慢げだ。川べりからは大きな船がゆっくりと出航するのが見える。私も負けじと銃を放つ。ダイヤモンドが飛んでいき、塀に当たって弾ける。次々宝石が飛び出て、辺りはきらきらと輝き出す。星は全く見えない。「さて次は何をしましょう」妹が笑う。
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