公平 / fairness
砂漠を走っている。ここはアメリカだ。インディアンの歌が聞こえる。目の前の黄色い月も大きい。いくつかサボテンが見える。突然母が悲鳴を上げる。「あなたおかしくなったの」。徐々に髪がブロンドになっているのが分かる。着ているものはいつの間にかビキニの水着だけになっている。ピンク。目がさめる色だ。しばらくして風が吹くと、母は車に戻っていく。中に敷かれたアラビア風の絨毯にゆったりと身を横たえるのが見える。ぷかりと煙草をふかす。私はすっかりブロンドの美女となる。
私は叫ぶ。「これが公平なんだ」。私は走るのをやめない。じりじりとした日差しが肌を焼く。「きっとセクシーになるんだわ」母が大声を上げる。スピードが上がる。視線の先には陽炎が浮かぶ。フラダンスをする美女が隣を歩いている。美女は少しずつ砂に脚が沈んでいく。「父さんは」私は母に尋ねる。「さあ。絶対に無理なことね」母はにっこりとほほ笑む。「コーヒーはいかが」母が言うと煙草が消える。向こうに中国が見える。母も絨毯に沈んでいく。幸いなことにすっかり眠りについている。父の姿は見えない。何か笛の音が聞こえる。私は思う。「なんてこった。これだよ」
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