「某レンタルショップの、某ポイントカード、あるだろ」

「某が多いな」

「じゃあ大ヒントな、イニシャルは」

「モロ正式名称だわ。いいよ言わなくて」

「あれ最近、どこでもポイント貯まるだろ、コンビニから不動産屋まで」

「うん、便利だよな」

「あれ、何でか知ってるか？」

「お得感アピールの客寄せじゃないの」

「もっと深い」

「深い？」

「つまり相関関係探しだよ。カードの利用状況というビッグデータから、統計的に消費動向を導き出すんだってさ」

「急に何だお前」

「サザエさんの視聴率とかスカートの丈とか、妙なものが景気と関係あったりする。誰が何を買ったかまとめて、マーケティングに活かそうってことらしい」

「ふーん、ま、いいんじゃないの。なんか景気良くて」

「ところが最近、そのデータが怪しいとこに流れてる」

「妙なとこ？」

「新興宗教」

「何に使うんだよ」

「だから、勧誘だよ。宗教にハマるヤツをデータから割り出して、効率良く信徒を増やすんだ」

「効率良く、ねえ。キリストが聞いたら嘆くだろうな」

「時代だよ時代」

「つうか何、さっきから断定口調で喋ってるけど、なんで宗教事情に詳しいの」

「俺、勧誘されて、礼拝に行ったんだ」

「えっ信者なの」

「もう辞めたよ。アホらしくてさ」

「何で？」

「お布施がカードのポイントで払えたんだ。有り難みも何もないだろ」

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