第6話
鬼頭のいびきが、ダイニング中に響き渡る。和島が、困ったようにテーブルに突っ伏す鬼頭の肩を揺さぶった。
「鬼頭。ねぇ、鬼頭。寝るなら、部屋に戻りなよ。こんなところで寝たら風邪ひくからさ」
「あぁん? んだよ……どこで寝ようと、俺の勝手……」
そこで言葉は途切れ、むにゃむにゃという声だけが聞こえてくる。南や富田夫妻も、困った顔をした。
「あの……部屋のベッドで寝た方が、寝心地も良いと思いますよ?」
「あんたももう歳なんだから、そんな格好で寝てたら明日の朝、腰痛になるわよ」
「あーあー、わぁかったよ……うるせぇなぁ……」
二人の声に、鬼頭は五月蠅げに立ち上がる。相当飲んだのだろう。立ち上がるのすら、覚束ない。
「……完全に酔ってるな」
「なー。足元が千鳥足なんてレベルじゃねぇぞ。動きがタコみてぇ」
泉が茶化すように、クネクネと踊って見せる。それにも気付かないほど、鬼頭はふらふらとしていた。
「ほら、しっかり立てよ、鬼頭。……和島、お前そっち側の肩支えてくれ」
「わかった」
勇作と和島とで、鬼頭の肩を支える。正樹が、恐る恐る声をかけた。
「あの……俺達も手伝いましょうか?」
言われて、和島は「あぁ……」と呟き、少しだけ考える素振りを見せた。
「あぁ……じゃあ、念のためについてきてもらえますか? ひょっとしたら、ひょっとするので……」
「? わかりました」
よくわからないまま立ち上がり、正樹は和島達の後に続く。
「なんかよくわかんねぇけど、俺も行くー!」
刺激的な臭いでも感じ取ったのか、泉も正樹と共に歩き出す。そして、皆で客室のある二階へと向かった。
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