第163話 戴冠式《下》
パンゴワン宰相は旧城の前の広場に兵の大多数を展開していた。
旧城は宮殿の敷地にある館のうち、最初に作られた王の居城だ。大理石で飾られた小ジュイサンヌに比べると優美さに欠ける館だが、その実、敵の襲来に備えており頑健だ。
レヴとグレオンは夜陰に乗じて襲撃した。魔術が放たれ、その衝撃と混乱に乗じて一瞬だけ魔術の明かりが夜空に上がり、闇夜から矢が放たれる。
兵士たちの鬨の声を聞きながら、フギンたち別動隊は裏庭から内部に侵入した。
レヴの兵たちはよく訓練された手練れ揃いだ。たった十人という少なさでも混乱に乗じてあっという間に内部を制圧し、活版印刷機が置かれた
四台の機械は布と埃をかぶったまま沈黙している。奥には印紙やインクが詰まった荷箱も置かれていた。
「ここから先は時間との勝負だ!」
フギンはそのうちの一台に掛けられた布覆いを勢いよく取り払った。
その下に、黒々とした機械が置かれている。大きさはフギンの背丈よりも少し小さいくらい。
歯車やベルトや、マテルにはどうやって動くのか全くわからないような部品が整然と並ぶ様は、ハリネズミが針をおさめたままうずくまっている姿に見えた。
「これが……僕の家の商売敵……。なんだか、もっと大げさなものかと思ってたけど……」
マテルはごくりと生唾を飲み込む。
「仕組みは本当に単純なものなんだ。子供のころに芋を削って判子を作ったりして遊ばなかったか?」
「ああ、芋版か。やったやった」
「基本の仕組みはそれと同じだ。要するに判子を自動で押してくれる機械なんだと思えばいい」
フギンは実際の機械を見ながら、マテルに説明する。
機械の片方には、芋判の芋に当たる原版を置くところと、紙を置く板が蝶番で留められた台がある。この台を二枚貝のように重ね合わせ、圧力を加えることで印刷を行う。
もう反対側にはインクを垂らす金属の受け皿があり、伸ばしたインクを複数取り付けられた回転体が巻き取って、原版に擦り付ける。さらに反対側には、用紙を重ねて置き、自動的に印刷台の上に載せる装置がある。印刷が終わると、印刷機の下部を通って重ねられていく仕組みだ。
「な? 簡単だろう」
「そこまで簡単だ、と言われると、複雑な気持ちだね」
写本師の修行は厳しいものだ。正確に書を写すことも、美しい意匠を加えることも、一朝一夕にできることではない。
「マテルがやってきたことも、早々すぐには無駄にはならないさ」
フギンはマテルの心境を気遣いつつ、機械の周囲を一回りして「ここだ」と言ってしゃがみこむ。
そこには《暗黒箱》という名に相応しい、錬金術協会のエンブレムが輝く真っ黒な箱が取り付けられていた。
フギンはほっと安堵の息を吐く。
「助かった。隠匿されているのは動力源だけだ」
フギンは腰のポーチからカードを抜き取って床に広げる。それから筆記具を取り出して、何かを素早く書き付け、カードのうちひとつの上に載せる。
「《寄りて来たれ》!」
魔術によって魔法陣に魔力が注がれ、転移魔術が発動する。
それから間もなく、マテルが見守る視線の先で転移術が発動し、何もない空間に使い古した革鞄と金属製の容器が四つ、ほかにもコードやねじやありとあらゆるものがどさりと落ちる。
すべての荷物の上には、
《大きな貸し一つ。面白い土産話が無ければ金貨五十。ヨカテル》
と書かれたメモがはらりと舞い落ちた。
使い古された革鞄の中には同じく年季が入っているが、よく手入れされた工具一式がおさめられている。ヨカテルが現役時代に使っていたものだろう。
フギンはもう一度、術を発動させる。今度はエミリアから印刷機の使い方について、彼女が知りうるだけの知識を書いたメモが届けられる。
「錬金術師が使う転移術って、こんなこともできるんだね……」
こうした空間を繋ぎ合わせる転送魔術は、魔術師たちは滅多に使わない。
転送に失敗してしまうと重大事故になりかねず、生物を行き来させるには欠陥が多い魔術だったから、長らく研究が取りやめられていたのだ。
しかし物や機械を運ぶのであれば危険性よりも利便性が勝る場合もある。
転移術は錬金術と組み合わせることによって発達した魔術領域だった。
「だから、レヴ王子やグレオンはヴェルミリオンを警戒してただろう? それが錬金術であれ何であれ、新しい技術は既存の技術を刷新させるものなんだ」
瞬時にものや情報をやりとりする術が戦争に利用されたらどうなるかは、火を見るより明らか。ヴェルミリオンの精兵たちのうわさは今や大陸中に轟いている。むしろ、マテルのように帝国の兵力を脅威としない領民のほうが、そんな事情に疎いのだろう。
そのとき、爆発音がして、城全体が細かく震えた。
次の瞬間、ホールへと続く両開きの戸が開き、甲冑姿の男が飛び込んできた。
フギンは剣を、そしてマテルもメイスを構える。
「ちぇすとおっ!!」
そのさらに後ろから、走りこんだヴィルヘルミナの飛び蹴りが突き刺さる。
倒れた男の背中に馬乗りになり、首を絞めながら、言う。
「マテル、フギン! 悪いが、こっちを手伝う暇がない! パンゴワンとかいう奴、手下連中からも兵を集めてて、前評判よりも人数が多いんだ!」
「印刷できましたら、順次搬出しますのでお呼びください!」
アリュウが血まみれの剣を持って、何食わぬ顔で現れる。
その親切そうな物腰が、かえって残酷さに拍車をかけている。
「あぁ……。わ、わかった。そっちを手伝ってくれ……」
印刷機に夢中だったが、外で行われているのは戦と大差ない修羅場なのである。
冒険者は魔物であれば容赦ないが、人との闘争は苦手だ。
そのことを再度意識して、フギンはぶるりと身を震わせた。
「活版印刷機を触るのは楽しいが、こんなところはさっさと出て行きたいな」
「そうだね。がんばろう。何をすればいい?」
「これから《暗黒箱》で秘匿された動力部分を丸ごと外し、即席で作ったものとすげ替える。四台ともだ。マテルも手伝ってくれ」
と、同時に窓が割れる音がした。
それと同時に明かりが消され、部屋が暗く静まる。
直前に見えたのは五人ほどの人影、それも顔立ちや体つきをあからさまに隠した出で立ちだ。騎士や戦士や兵士ではない。暗殺者だとか、冒険者でいうところの盗賊職に近い出で立ちをしている。
「ああいうのもいるのか……」
「フギンは作業を続けて!」
マテルはフギンと印刷機を背に守るように庇った。
フギンが魔術による光を灯す。
インクのにおいが長い夜のはじまりを告げた。
*
ジュイサンヌ宮殿での争いが最高潮に達していたその頃、王都クロヌに住む民たちも異変に気がついていた。
街を燃やしていた略奪の炎が宮殿にも飛び火したかのような有様に、さすがの暴徒たちも驚くほかなかった。コルンフォリ王家の統治がはじまって以来、宮殿が戦いの炎に見舞われることはなかったのだ。
これまでクロヌの民は王家の庇護のもと、平穏な日々だけを享受してきた。だからこそ、その光景はある種の《神罰》のように思えたのだろう。
そして、ちょうどその頃、聖女リジアを乗せた馬車が城壁をくぐりクロヌ市街地へと入って来た。後ろには大勢の信徒たちがランプや燭台の明かりを手に続いてやって来る。
聖女たちの集団は市街地に差し掛かってすぐ、松明を掲げた集団に囲まれた。
大半は街を占拠していた暴徒たちだが、中には王宮での騒ぎを聞きつけて混乱し、逃げ出した市民も多い。
「聖女様! 聖女様、どうかお助け下さい!」
「我らをお救い下さい!」
「もう、もうどうしたらいいのかわからないのです!」
集団と集団はぶつかりあい、群衆となる。
聖女リジアの馬車には騎士団が随行していたが、肌と肌が触れあうどころか、擦れあい押し付け合うほどの混雑では剣を抜くどころの騒ぎではなく、たちまち無力な存在と化してしまった。
小さな馬車の窓の外で揺らめく無数の松明を見ながら、ミセリアは懐剣を抜いていた。
ミセリアはクロヌよりもさらに西の、内乱を経験した国の生まれだ。国が乱れればどうなるかはよく知っている。
暴徒たちが馬車の中に押し入ったなら、それで二人でも三人でも切り伏せ、もしも汚らしい手がリジアにかかることがあれば彼女を殺し、自分もまた喉を突いて死ぬ覚悟だった。
そんな悲愴な剣を横合いから伸びてきた痩せぎすの手のひらが優しく包む。
「リジア様……」
王都に変事ありとの知らせを受けても、クロヌに向かうことを決めたのはアンナマルテではなかった。聖女がそう決めたのだ。
「この私めに恐れるなと仰りたいのですか? 女神がそう望んでおられるのですか?」
どれだけ修行を積んだ聖職者であっても、死は恐ろしい。死よりも恐ろしい運命が待っているなら、なおさらだ。
リジアは女神に立てた誓いを守ったまま微笑み、ただ前を向いていた。
群衆は馬車に繋がれた馬の首を引き、聖女とミセリアの乗った車をいずこかへと運んでいく。
ジュイサンヌ宮殿の方角が明るく輝いている。
絶えず火の手があがり、戦士たちの叫ぶ声が聞こえてくる。
*
旧城内部でも必死の攻防が続いていた。
レヴたちはパンゴワン宰相の本隊と交戦を続け、ヴィルヘルミナやアリュウたちは印刷機を守るべく奮闘している。
マテルもまた、押し入ってきた暴漢たちの剣を受け止める。
左手の手甲だけを顕現させた《例の鎧》で防ぎ、祖父ゆずりのメイスでなぎ払う。
吹き飛んだ敵が稼働中の印刷機に激突するのを見て、フギンが舌打ちをしながら駆け寄った。
そして回転体に巻き込まれたマントや革の手袋を取り除きながら、「倒れるならよそで倒れてくれ!」と悲鳴のような声を上げる。
動力源を丸ごと取り換えて新しいものに繋ぎ直し、印刷機は動きはじめた。
戦ごととは違う振動と、一定の音程を刻むリズムがホールに響いたのも束の間のことで、断続的にパンゴワンたちが送って来る襲撃者が全てを台無しにしてしまうのだった。
これを修理しながらの作業は、骨が折れるどころの騒ぎではない。フギンですら時折、剣で応戦しながらの作業だ。
フギンは出来上がった印刷物を取り上げて、眉をしかめる。
「出来はどうだい、フギン!?」
気を失った襲撃者を窓から外に放り捨てながら、マテルが訊ねる。
両手を真っ黒に染めたフギンは出来上がった印刷物を手に、絶望的な表情を浮かべ、その場に膝を着いた。
「最適なインクの量は把握した。紙を送る速度の調整もまあまあ形にはなった……。が、印刷用紙にかかる圧が強すぎて、皺がよってるんだ。活字の滲みもまだ残ってる……! 単純な機構のはずなのに、こんなに難しく奥深いものとは思わなかった。印刷術とは……っ」
フギンの目には、もはやレヴとパンゴワンの争いなど目にはいっていなかった。あれだけ「簡単だ」と言いながら、望み通りにならない活版印刷機に手を焼いている。いや、それどころか振り回されてすらいた。
マテルはこれまでの旅の経験から気づいていた。
どういうわけかフギンは新しい技術や機械が大好きだ。
おもしろいオモチャを手にすると我を失うのは、フギンの本性なのか、はたまた彼の中にいる魂の誰かがやっていることなのか……。
その職人気質は、工房のために商人らしく振る舞わなければいけないことの多いマテルよりもずっとやっかいだった。
「あるていど印刷できてるなら、もうそれで約束の部数を刷ってしまおうよ! 多少、文字がつぶれていたとしても読み解けるだろ!?」
「そうは、そうはいかないっ! マテル、お前の工房はこんなに酷い刷り上がりの品を客に渡すのか!?」
「工房の仕事の仕上がりの素晴らしさは、無数の職人の努力と研鑽の賜物だ! こんな付け焼刃とはちがう!」
両開きの戸がひらいて、ヴィルヘルミナが魔術によって気絶したアリュウを引きずってくる。気付け薬を飲ませてやりながら、言い争うフギンとマテルを、悲しげに見つめている。
「なあ、フギン~~~~。あのな、言いにくいんだが。品質にこだわるのは良いのだが、もう少し早く作業できないのか? こちらは命がけなのだぞ?」
まるで冗談のような光景だが、やっている方は必死だった。
レヴ側の期待を裏切り、パンゴワンの兵たちは増長を続けている。
それに印刷機側の兵は運搬役を兼ねており、印刷物が出来上がり次第、宮殿から持ち出さなければならない。無駄な消耗はできないのだ。
「フギン……。社会人には、割り切りも必要だよ!」
「ぐっ…………。わかった。今できてるものから搬出しよう。だが、刷りながら改良は続ける。次こそは、もっと、もっと出来のいいものを……!!」
「次があればね!!」
状況を全く考えていないフギンの熱意をとがめるマテルの背後で、荷箱を積み上げたバリケードと習いたての防御呪文で塞がれていたはずの窓が割られ、パンゴワンの兵が強行突入してきた。
*
大群衆がジュイサンヌ宮殿の入口へと詰めかけていた。
平和しか知らない民は戦火に背を向けるということも知らないのだろうか。
それとも、これだけ多くの者たちが王家を慕っているということか。
老若男女が身を寄せ合い、震えながら火の手を見守っている。
リジアとミセリアは馬車の中で身動きもできずに、無為に時間を過ごしている。
宮殿から聞こえて来る戦いの音は明け方に近づくに連れて小さくなり、太陽が空に昇り始めるころ、聞こえなくなった。
そのとき、宮殿内部に動きがあった。
詰めかけた群衆と宮殿とを分け隔てていた門が、音もなくゆっくりと開いたのである。
人々は戸惑いながらも、誘いこまれるかのように一歩、また一歩と宮殿へと踏み込んでいく。
門をまっすぐ行けば広場がある。
宮殿のバルコニーから王や王妃が年始の挨拶を行ったり、新しい王子のお披露目をすることがあり、そのときには民衆の入城も許される。民にとってはいちばん馴染み深い場所だろう。
広場の先に立派な戦馬がつながれた戦馬車が置かれているのが見えた。
荷台に、ひとりの若者が立っている。
黄金の髪をなびかせて、青い瞳は宝玉のように輝いている。体は煤と血で汚れているが、背には金刺繍の入ったマントを羽織り、ただ者ではない様子だ。
何よりも特徴的なのは、青年の額から生えた白い角だろう。
彼の様子は朝日に照らされて、神話の絵物語に登場する英雄のように神々しくすらあった。
その姿を見てとり、民衆は声を上げた。
「レヴ王子様…………!! 王子様だ!」
「王子様、ごぶじで!」
「なんて麗しいお姿なのかしら」
長らく王室の奥深くに隠されていた第一王子の真の姿を知っている者など、いるはずがない。しかし詰めかけた民衆の誰もが、その姿に歓喜していた。
彼らの手には、王家の玉璽が押された一枚の紙きれがある。
そこには、王の第一王子が先祖返りとして生まれついたことや、彼の姿かたちが詳しく記述されている。そして宰相パンゴワンが王子と敵対し、彼を離宮に閉じ込めたこと、この争いの原因がそこにあることまで、すべてが予言のごとく詳細に記述されているのだ。
レヴは民衆を見渡すと、馬車の荷台を降り、恭しく頭を垂れてみせた。
「第一王子が、我々にお辞儀を……!?」
その立ち居振る舞いの高貴さに、土足で王宮の前庭を汚した民衆は、己の姿を恥じた。先ほどまで先祖返りへの罵詈雑言を口にしていた者たちですら、王の血統の神聖さ、高貴なふるまいに胸を打たれずにはいられなかったのだ。
「王子! 王子ばんざい!」
人々は口々に王子のことを称え始めた。
レヴは民衆の喝采を受けながら、聖女リジアの乗る馬車に近づいていく。
王家の人間が、これほどまでに民衆の近くに姿を現すのは、歴史上はじめてのことだっただろう。それも角の生えた異様な姿の王子である。
馬車の外に降り立った聖女の手には、輝く王冠があった。
彼女はそれを民に掲げてみせる。
静謐な朝の清らかな陽光のもと、冠は神々しい輝きを放っていた。
誰かがどこからか、粗末な椅子を運んできた。
そして、王子レヴは民衆が固唾を飲んで見守る中、聖女リジアの手から冠を授けられた。それが意味するところはひとつである。
「みんな、レヴ王子が戴冠なされたぞ!」
「新王陛下ばんざい! ばんざい!」
「王国に栄えあれ!」
「聖女様、ばんざい!」
本来ならば女神教会の奥深くで行われ、貴族たちしか見ることのできない《戴冠式》という、王家が行い得る最大級の儀式がもたらす感動を目の当たりにすれば、先祖返りに批判的な者たちも口を噤むほかない。
こうして人々が口々に王家を称え、喝采を送る中、レヴは戴冠し新しい王として即位した。
そして万雷の拍手が鳴りやまぬうちに、レヴは商業ギルドが定める《先祖返りに対する不平等な賃金契約》を撤廃することを高らかに宣言したのだった。
*
一夜のうちに戦いと印刷、出荷とそして品質向上とを繰り返し、いつの間にか外は明るくなっていた。
大広間は最終的に敵がなだれこみ、敵と味方が入り混じる戦場となった。
だがそれもグレオンたちがパンゴワン宰相の兵を下し、宰相と彼に味方した廷臣たちを一通り捕まえてしまうと、あっという間に形勢は逆転と相成った。
即位の直前に、レヴは自らに与せず、いずれは政敵となりうる王宮の反乱分子を一掃してしまったのである。
そうなると、全てが王子の計略のうち、という気にもなる。
そもそも予定していた錬金術師が去った時点で、レヴが計画に必要な活版印刷機を放置し、何もしなかったということは考えにくい。印刷機が使えないなら、写本工房に依頼して人力で写すことも可能だからだ。
フギンを雇ったのは、あくまでも印刷機にこだわっているのだとパンゴワンに思い込ませるため、兵士の動きを読みやすくさせ、少ない手勢で撃破するためではなかったか……と。
誰もが血と謀略に塗れたこの場所で、ひとりインクと汗に汚れたフギンは、朝の光に出来上がった宣伝文を透かして見ていた。
「印刷に一分のゆがみも狂いもない。活字もはっきりと読める。いい出来だ……」
その瞳は、すでに戦いなど見てはいなかった。
宰相との戦いが勝利したのか、それとも敗北に終わったのかもわからない。
民が差別と偏見に苦しんでいることも、忘却の果てしない彼方にある。
ただ、ひとつの仕事を終えた充足感と、疲労だけがそこに存在していた。
この瞬間、フギンは確かに勝利していたのだった。
*****王子レヴ*****
コルンフォリ王国の第一王子。
優しく穏やかな青年に見せかけた、謀略の人。それでいて、まるで冒険者のように無邪気で自由奔放な面も持ち合わせる。
第一部では、アラリドの妹であるベロウを配下に加え、王弟ルグレの陰謀を退けたが、それがメルとオリヴィニスの窮地を作り上げた。
第50~52話「王の器」、第77話「真夜中の秘密 -2△」
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