2章ーこちらがマナとカナの実力です

リムルに言われ自分のレベルが如何に可笑しいか理解し苦笑する。


「まあそれは仕方ないな。それに関しては俺の能力がやはり影響していると言う事だろうな」

「お兄さんの能力?えっと、この固有技能?のこと?」

「そうだ。俺の異常とも言える数値や技能の数々は俺の能力が大きいんだ。そしてレベルも、な」


そう言うと、惶真はマナとカナに自分達のクロノカードを2人に見せてやれと言う。

カナは「はいなの」と自分の赤いクロノカードを取り出す。

グロッキー状態のマナは「ハぁ…い…」と机に俯せになりつつゆっくりとした動きと疲労感たっぷりの低い声で紫のクロノカード取り出した。

その時マナの様子に、皆(うわぁ…)(あ、あらあら…)と引いていた。


2人のカードをまず惶真が受け取る。

彼女達のクロノカードには惶真が”変性”を利用したカモフラージュを掛けている。

2人のクロノカードのステータス表示がそのままであれば即問題が発生する。

それは、なんせ彼女達は、この世界において人間の敵とされている魔人族なのだ。

惶真の”変性”を用い改変しなければ、他者がカードを見るだけで即騒ぎに発展するだろう。

なので普段は惶真が2人のクロノカードには”変性”で改変されている状態となっているのだ。

勿論所有者であるマナとカナには改変されていない本来のままに見える様になっている。


「…”解除”」


惶真の手にある2人のカードが淡い光を帯びる。

時間にして10秒。

解除が終わった。


「ほら、見てみろ」


惶真に促されマナとカナのクロノカードに目を向けるヴァニラとリムル。

まずはマナのカード。

どれくらい成長したか分かるようにしてある。


==========

○名前:マナ・リア

○性別:女  ○種族:魔人族

○職業:―  ○冒険者ランク【―】

○レベル:『1』→11 ○属性【黒】

筋力:『50』→150

体力:『50』→170

耐性:『50』→120

俊敏:『50』→160

魔力:『350』→500

魔耐:『250』→500

○固有技能

恩恵・昇天…固有魔法【昇天】

○特殊技能

『戦闘系』:剣術:俊脚

『魔法系』:魔法適正【黒】:魔力放出:耐魔力【火/水/風/地/黒/白】:状態耐性【毒/火傷/麻痺/氷結/即死/石化】:魔力付加【属性付加】

『補助系』:言語理解(古代語理解不可)【自動筆跡】:気配感知:気配遮断:共有【感覚共有・念話共有】:覚醒:状態異常不可

『天職系』鑑定【魔力鑑定】:

==========


「わあ、マナってば凄いよ!こんなに強くなってるんだ!」

「ええ、マナちゃんの成長も普通より高いものなのね。特に魔力に関しては…凄いですわ」

「ソ、レホド、デモ…」


絶賛のヴァニラに、成長具合が高く魔力に関しては目を見張るものがあると、やはり魔人族出身だからなのかしら?と思うリムル。

そんな二人にグロッキーのマナが机に俯せになりながら弱弱そうでホラーを感じさせる声で答えながらフラフラと手を振る。

そんなマナに「あはは…」と苦笑をするしかない親子。


気を取り直して次にカナを見る。


==========

○名前:カナ・リア

○性別:女  ○種族:魔人族

○職業:―  ○冒険者ランク【―】

○レベル:『1』→9 ○属性【白】

筋力:『50』→90

体力:『50』→100

耐性:『50』→90

俊敏:『50』→90

魔力:『350』→600

魔耐:『250』→400

○固有技能

恩恵・再生…固有魔法【再生】

○特殊技能

『戦闘系』:杖術:俊脚

『魔法系』:魔法適正【火/水/風/地/白】:魔力放出:耐魔力【火/水/風/地/黒/白】:魔力回復:

『補助系』:言語理解(古代語理解不可)【自動筆跡】:気配感知:共有【感覚共有・念話共有】:覚醒

『天職系』鑑定【魔力鑑定】:治癒士

==========


見ての通り、マナとカナの2人のレベルは惶真より上だ。

2人は迷宮で惶真と同じくらいの魔物を倒している。いやモンスターハウスの罠の際に『ゾンビ魔物』を浄化し倒している分マナの方が多いだろうか。

多くの魔物を倒した経験によって2人のレベルは『1』だった数値は数倍に上がっておりほぼ『10』のレベルに成長している。

しかし惶真のレベルは2つしか上がっていない。

自分と同じ“恩恵”持ちであるマナとカナと違う。

ならばと考えて、答えは1つしかないと考えた。

それは自分の持つ”恩恵“である”変性“の影響だと。

他者からステータスを自分に変換するチートの弊害がレベル上昇率の対価なのではと。


「マナとカナとだと、カナの方がレベルは低いんだ?どうして?」


ヴァニラが2人のステータスを見比べてそう聞いた。

グロッキーのマナは答えられないのでカナが答える。


「それはなの、魔物の大群が現れた時に、マナが殆どの魔物を倒したからなの。その、それがあって今の状態になってるわけなの。アハハ」

「そうですか。その差ですか。しかし、見てみるとカナちゃんも普通より上に感じますね」

「だからマナの方がステータスが上なんだ」

「いや。2人のレベルの差は単純に二人の戦闘スタイルの違いにある」

「戦闘スタイル?」


傾げながら聞くヴァニラ。


「ああ。まあ単純な理由だが、マナは剣を手に戦い前衛で相手と剣を交える戦闘タイプなんだ。まあ魔法を撃つより剣を振り回すのが得意って事だな」

「…ふり、まわす、とか…いわないでぇ…」

「気にしない。逆にカナは魔法を行使していく魔法タイプだ。その分、戦闘に関しては遅れると言わざる追えないわけだ」

「…そうなの。たぶんだけどマナと一緒に走ったりすると、私の方が先にばてちゃうの。要基礎練習なの」


ステータスの差は特に気にする必要はない。

少なくとも惶真はそう考えている。

自分はすべてにおいて応用が利く事が出来るが、他の者はそこまでいかない。

御互いの良い所を、御互いに支えればいい。それが御互いに連携を生むと考えている。

それにマナとカナは元々双子と言う事もあり意思疎通もしやすく息もあっている。

マナが剣で戦い、カナが魔法で援護する。

実際迷宮ではそんな感じで息の合った連携を取っていた。中には二人より各上だった魔物もカナの魔法を援護にマナが仕留めるに至っている。またその逆も然り。


(正直、俺のステータスが2人と同じくらいだったら、戦ったりしても必ず勝てる気はないな。まあ二人にはまだまだ課題もあるしな)


正直マナもカナも課題は沢山ある。

マナは保有魔力の向上を目指す必要がある。それはマナの”恩恵”が膨大な魔力を消費させる為だ。最大恩恵魔法を撃つだけで魔力がほぼ枯渇するほどなのだ。しかも惶真の魔力譲渡があってである。


次にカナ。カナはマナ以上、と言うより惶真自身より魔法適正が高く適正属性である【白】だけでなく基本4属性も扱えるだけの才を持っている。ただ現在は自身の適性である【白】魔法のみの魔法しか習得できていない。

この世界で魔法を習得するには魔法が記されている魔法書を読み解読するか、他の者から魔法を習得するしかない。これまでの街では魔法書は高価な物と扱われているようで、置いていなかった。

他者から習得するのも難しい。

惶真とマナは、魔法適正はそれほど高くなく、他の属性魔法を扱いきれない。

元よりマナに関しては魔力消費が高い故に魔法を行使する機会は低い。

惶真には相手の技能を自分に変換する”恩恵”がある。しかしその力も適性の無いものは習得以前の問題なのだった。

なので今現在カナが習得済みなのは、”恩恵・再生”と治癒魔法、相手を拘束する鎖の魔法、魔力を武器の形に練成し放つ魔法くらいなのだ。

なのでこの迷宮攻略を真の意味で終えた後は、どこかの大きな街とかで魔法書を探す事になるだろう。その中に自分も扱えそうな魔法があれば習得する気でいる。


(一応基本属性の魔法は誰でも習得して扱えるんだよな?)

”イエス。シカシナガラ、マスターニハ、【黒】のマホウガ、アルノデハ?ソチラヲキワメテハ?”

(まあそうなんだけどな。やっぱりこう異世界なんて来てるんだ!他にも魔法を使いたいって思っちまうんだよ!)

”ナ、ナルホド…”


『剣』と話していて熱くなってしまった。

だって魔法だぞ!?

普段使えない魔法を使いと思うのは普通の事だろ?

そう思っている惶真に、珍しく若干引いている雰囲気を見せる『剣』。


「いいなぁ、マナもカナも」


ふとヴァニラの呟気が聞こえた。


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