1章-⑧:エルドラ…冒険者ギルドと

惶真は二日がかりで森を抜け目的地であるエルドラの町に着いた。

時間が判らないが晴々としたいい天気だった。

恐らくは朝と言える時間だと思う。


辿り着いたエルドラの町は四方をそれほど高くない壁で囲まれており、町の出入口は正門と裏門の二種類からのみである。


森から出てエルドラに着いたが壁だけでどこから入ればいいのか分からなかったので「どうするか?」と考えていると『剣』が教えてくれた。


“マチニハイルニハ、マズ、セイモンカラハイリマス。…アソコデスネ。アト、ソノトキ、ミブンノカクニンナドヲサレマス”

(ん? ああ、なんか建物があるな。それに、人の気配もするな。あと身分の確認か…)

“ハイ。アト、ツウコウゼイヲ、トラレマス”

(まじか、入るたびに金が掛かるとは)

“マジデス。ソレホドタカクハナイハズデス”

(そうか。それにしても…よく知ってんな)

“キョウシュクデス”


そんなこんなで出てきた森から左に歩いて、町の正門にやってくると詰所の中から1人の冒険者と言えそうな出で立ちの騎士の男が現れた。


「止まれ!見慣れない格好だな。この町には何様で参られた?」

「観光と、色々物資の補給をしたいのと、冒険者登録が目的です。因みにこの町で冒険者登録が出来ると聞いたのですけど出来ますか?」

「ああ。この町にも冒険者ギルドがあるからな。成程、冒険者志望か…では、君のクロノカードの提示と通行税、銀貨10枚の支払いをしてくれ」


(銀貨10枚か…)


銀貨の枚数を数えていると足りないので聖堂銀貨で払うか、と考えていると『剣』が話し掛けて来た。


“マスター、ツウコウゼイニ、イワカンアリ”

(違和感?)

“イエス。ツウジョウナラ、ギンカ2マイカラ5マイノハズデス”


それを聞いた俺は門番の男に真実か質問した。


「通行するだけで銀貨10枚も取るのか?前にいたとこは4枚くらいだったが」


少し睨みを効かせながら問うと、男は一瞬びっくりとしたが、後ろを指差しながら、


「…あの子達は、君の連れ、じゃないのかい?」

「あぁ?」


と男の指差す方に視線を向けると、その方向の壁のでっぱりからこちらをじっと見つめるフードをかぶった少女が2人いた。

惶真は「そういえば居たな」と、森で出会ったマナとカナと言う名の双子の魔人族の女の子が一緒だったという事を思い出した。

あいつら何をしているのか?と疑問に思ったが、見つかった!と言わんばかりにマナとカナはゆっくりと恐る恐る近づいてきた。


「3人で通行税、銀貨10枚だよ」

「そう言う事か…」


近づいてきたマナとカナは、惶真の背に隠れる様に制服の裾を掴んだ。


「おやおや、だめじゃないか。こんな幼い妹達をほっておくなんて、だめだよ」


微笑ましいといった表情で俺とこの2人を男は見ていた。

どうやらこの男にはこの2人が俺の妹達のように映った様だ。訂正するのも面倒なので、それでいいかと割り切った。取り敢えず、なんで俺がこいつ等の分まで?と思ったが面倒なので聖堂銀貨で支払った。


「えっと。御釣りは銀貨9枚だね。はい。後はクロノカードを提示してくれるかい?」


俺は黒いクロノカードをポケットから取り出した。取り出す際に固有魔法“変性”を発動してクロノカードの能力値や技能を一般的?と思われる数値に隠蔽した。


「ほら、これでいいのか? あと、クロノカードだが実はこの子達は持っていないんだ」

「えぇと、はい。君は問題なさそうですね。…しかし、そちらの子達は持っていないとは?」

「ここに辿り着く前に森でダイノボッドと言う魔物と鉢合わせてな。そいつから逃げる際に落としたらしく、しかも踏み潰されたんだよ。だから…」


ダイノボッドの名前を出すと門番の男は慌て気味に驚く。


「ダイノボッド!?それは本当ですか?こうして無事と言うことは逃げおおせたんですか、よく逃げられたな、あの"暴竜“から……成程それでは仕方ないですね。今回は良いですので、なるべく早く作り直すようにしてください」

「(逃げた事にされてるが…訂正するの面倒だからいいか)わかった、ありがとう。…あと、クロノカードってどこで作り直せるのか分かる?なにぶん田舎から出て来たばかりでね。村のこと以外よく知らないんだ」

「そうですか…取り敢えず、クロノカードでしたらこの町の冒険者ギルドで再発行が出来るよ。ただ、作り直しの場合、お金が必要になりますから」

「作成費か…ちなみに、魔石やら素材を売ったりするのってどこでしているのでしょうか?あまり手持ちがないので」

「買い取り?それも、ギルドで出来るよ。まあ、取り敢えず、初めにギルドに行ってみるといいよ。ああ、あとギルドに寄った際には暴竜の事を伝えておいてくれ」

「分かった。ありがとう」


と、クロノカードを返してもらうと制服のポケットに戻し、正門を抜ける。勿論、マナとカナも一緒にだ。


「ありがと、オウマ」

「ありがとうなの、御主人様」

「…気にするな」


~~~


町に入った惶真は、まず、最初にある事が出来る所を、看板等を使って探した。


「オウマ?何を探してるの?」

「探してるの、ギルド?」

「ん?ギルドじゃない。探しているのは勿論、それは風呂だ。いい加減気持ち悪いからな。ひとっ風呂浴びてさっぱりしたいからな」


ここ数日、野宿で入浴する機会がなかったのだ。日本人としてはいい加減さっぱりとしたかったのだ。文化の差か、王都で泊まった宿には風呂場がなかった。まず町に着いたら探そうと心にしていた。


「お風呂かあ~」

「そういえばもう何日も入ってないの」


マナとカナが自分の着ている修道服を、クンクンと臭っていた。


とにかくギルドに行く前にさっぱりしたかった。

そんな感じで探索魔法等も使い、風呂が利用できる場所を探し始めた。すると王都で利用したトコより大きめの宿を見つけた。

見つけた宿に惶真達は向かった。


「ここにするか…」


宿に入るとまず受付に向かった。向かう時、何人かの男達がこちらに視線を向けていた。恐らく冒険者と言った所だろうか。連れの2人が幼女でよかったか。絡まれることもないだろうし、まあ世間にはロリ好きの変態紳士もいるだろうから少し気にしておいた。って、なんで俺が気にしないといけないんだ?


「いらっしゃいませ!ようこそイザベラへ!ご宿泊ですか?」

「あぁ、一先ず一泊、食事付きで頼む。後、風呂を直ぐに利用したいんだが?出来れば他の客がいない時がいいんだが?」

「一泊と入浴希望ですね。分かりました。えっと、丁度3名様用のお部屋が空いてますのでそちらをどうぞ。後、お風呂ですが、こちら一般用と、家族用とありますがどうされます?」


受付の女の子はマナとカナを見てどうするのか尋ねてきた。2人共どう見ても幼女だしな。そしてどうも俺達を兄妹と見ているようだ。どうするか?と考えていると2人の方が先に勝手に答えた。


「「家族用でいいの!!」」

「!?」


「どういうつもりだ?」と視線を向けると、まるで「お願い!」と言わんばかりに上目づかいをしてきた。


「えっと。家族浴で宜しいですね。時間はどうしますか?」

「…久々なんで1時間くらい頼めるか?出来れば、ゆっくりしたいので個人で入りたいんだが?」

「えぇっと、1時間、ですか?」

「あぁ」

「分かりました。ではこの時間は誰も使う事はないですので、こちらの表の時間で利用してください。あと、こちら、部屋の鍵です」

「サンキュー」


と答えた後、指定された部屋に一先ず向かった。


先にマナとカナを部屋に入れてから入ると俺は鍵をしっかり掛けた。そして、さっきはなんで勝手に決めた?と睨む様に問うた。


「どういうつもりだ?何故勝手に決めた?俺は勝手に付いてくることは許可したが、俺の意思を妨げる事を許可した覚えはないぞ」

「…うっ、だってぇ、他の人が居たら~」

「私達、魔人なの。普通に使えないの…」


あぁ、そう言う事か。成程な。確かに難しいか…

人間と魔人はいがみ合っている関係らしいからな。

今までは“隠蔽”効果のあるローブが魔人としての姿やらを誤魔化せていたが、さすがに風呂に服を着て入るのはマナー違反か。

因みに2人の見た目は髪の色は一緒だが、眼の色は碧色で耳も普通の人間と同じくらいで頬には特に紋様も描かれていなかった。

一応貸切で借りたが、他の人が来ないとも限らないか…

2人が魔人族とばれたら面倒事になるし、身内扱いの俺にもとばっちりが来る可能性もある。と言うか大だな。


まあ、いいか。取り敢えず指定された入浴時間までまだあるので、汗を流してからが好ましかったが先に冒険者ギルドに向かう事にした。

目的は魔石や素材を売って資金作りをして冒険者登録をするのが目的だ。

ついでにマナとカナのクロノカードの作成が目的の1つだ。最も、作成にかかる金額が高い場合と、記載させる内容が他者に確認される場合は作るつもりはない。後者の場合作った後なら俺の“変性”で誤魔化す事が出来るからな。

後は、冒険者ギルドにいる冒険者のステータスを“変性”で得る事。これに関しては、ないに超したことはないから。それにレアな技能を持つ者もいるかもしれないからな。そういう意味で冒険者ギルドは宝の宝庫とも言えるな。

あとは出来れば、持ち物を異空間に収納したりできる能力が好ましい。よく狸と間違われる青いロボットの様なのとか、金ぴかの王様の様なのがいい。


取り敢えずマナとカナを引き連れ宿を出た。宿を出る際に入浴時間に戻って来る事と、冒険者ギルドに行って来る事を受付してくれた女の子に伝えた。


「分かりました~いってらっしゃい~」


女の子はマナとカナを引き連れている俺、そして俺の背に隠れる様に制服を掴んでいるマナとカナを微笑ましい顔で見ていた。

内心「うざっ!」と思ったが気にせずスルーした。この先多くなるだろうスルースキルは。


そして町のほぼ中間点あたりに冒険者ギルドがあった。

施設の前の看板に「冒険者ギルドへようこそ!」と書かれているので間違いはないだろう。


西部劇とかにありそうな風貌の扉を開けると中に入った。

入ると幾人の鋭い視線を浴びた。うん、気にしない。

中央にあるカウンターが受付なのだろう。そこに向かって歩いていると1人の体格のよさそうな男が絡んできた。


「おい!ガキがこんなとこになんのようだぁ!」


俺はウザそうに返した。


「素材の買取りと冒険者登録をしに来た。アンタ邪魔」

「オ、オウマ…」

「ご、ごしゅじん、さま…」


眼中にないと言わんばかり傲岸不遜な態度で返した惶真をマナとカナは心配するようにハラハラとしていた。そんな様子の惶真が気に入らなかったのか絡んできた男は激昂し拳を振り上げてきた。


「てめぇ!冒険者を舐めるなぁよぉ!」


俺は瞬間的に『剣』を抜こうとしたが『剣』が静止してくる。


(なぜ止める?)

“ダメデス。マスター。ギルドナイハ、ブキヲヌクノハ、ゴハットデス”

(そうなのか…正当防衛でもか)

“イエス。ココデトウロクサレルノデシタラ、トクサクデハナイカト”

(わかった。頼りになるよ)

“タヨラレマシタ”


『剣』との対話後、俺は振り下ろされた拳をほいっと掴むと試しに“心眼”を使って見た。


=========================

所有者:カラム 年齢:38 性別:男 レベル:28

職業:冒険者 種族:人間 冒険者ランク:青

筋力:100

体力:200

耐性:100

俊敏:100

魔力:70

魔防:80

固有技能:―

《特殊技能》

戦闘系:拳術:金剛:剛力:大剣術

補助系:言語理解:胆力

=========================


覗いてあんまりと、そのまんまだな。と言う感想だった。

これからはこの手の輩は見る必要ないかと考えた。

王都の宿で絡まれた男とそんなに変わりなかった。

取り敢えず拳を外そうと必死になっている男に俺は“威圧”をぶつけつつ背負い投げの要領で投げ床に叩き付けた。当然かなり手加減している。


「このっ! ぐわぁっ!!?」


叩き付けられ背中を強打したショックで気絶した男を、その仲間と思われる席に着いて驚きの表情を向けている2人の男に向かって投げ飛ばした。

仲間がやられた事で2人の男も席から立とうとするが惶真の圧倒的な“威圧”の視線を受けると、青ざめガクブルと言った様子になり席に着き直した。

相手が悪いと、瞬殺されると本能で理解させられたのだ。


ギルド内は静寂となった。

惶真はこの空気をスルーし受付に向かった。

マナとカナは、今のに驚き硬直していたが、惶真が歩き出すのに気付くと随伴した。


受付に着いて暫くして1人の女性が対応してくれた。

惶真はその女性を珍しそうにボーと見つめた。主にその女性の耳をだ。

ボーと見つめている惶真をマナとカナは「ムッ!」と不満顔を浮かべる。

そんな3人の様子を受付の女性職員は「クスッ」笑みを浮かべるとからかう様に声を掛けてきた。


「アラアラ、駄目よ。そんなに女性をじっと見つめるのは。フフ、その子達が嫉妬していますわよ、少年♪」

「んっ。済まない。珍しかったんでまじまじと見てしまった」

「アラ、エルフは初めてかしら?」


この女性は薄黄緑の髪をしており魔人族であるマナやカナより長い耳をしていた。


『剣』が色々補足説明してくれた。

エルフとは人間の器に精霊の血を持つ異種族の1つのようだ。

この世界には、惶真達と同じ外見をしている【人間】と、人間と精霊の血を持つ【エルフ】、人間と魔物の混血である【魔人】、他に獣の特徴を持つ【獣人】が存在するようだ。最も、どうやら【獣人】は人以下と見なされており迫害を受ける傾向があるようだ。そして、魔物の血を持つ【魔人】は人敵であると【人間】達は認識している。


エルフは精霊との交信能力を持つが故、振興深い者には崇められたりもするようだ。あと、魔人族と同様に長寿であるようだ。


そんなのがなんでこんなとこにいるんだろうか?何故受付嬢をしているのだろうか…

取り敢えず気にせず“心眼”を使って見ると、この女性の魔力量の多さに動揺を抑えながら俺は“変性・変成”を使った。この女性エルフの魔力値と、技能の中に欲しいものがあったからだ。あと、年齢は50越えしているがエルフではまだまだ若いとの事だ。人間換算だと15歳くらいらしい。


「コホン。では改めまして。ようこそ冒険者ギルド・エルドラ支店へ。この度はどの様な依頼でしょうか?」

「依頼ではなく冒険者登録と素材の買取りを御願いしたい。あと出来ればこの2人にクロノカードを作ってもらいたい」


自分達のクロノカードを作ってくれることに驚いたマナとカナは期待半分、申し訳なさ半分と言った様子で、小声で話し掛けて来た。


「!?……私達の作ってくれるの?」

「!?……いいの?私達お金ないよ」

「ああ。必要だろこの先。あった方が便利だろうからな。まあ、先に言っとくが金が掛かる場合は無理だから、出来ればだからな」

「「ううん。ありがと、オウマ『御主人様』」」


「分かりました。冒険者登録と素材の買い取り、あとカード作成ですね。因みに登録は貴方だけですね?」

「ああ。俺だけだ」

「では、こちらの書類に必要事項を記入して下さい。その間に、買い取りの査定を致しますので」

「? アンタが"鑑定"するのか?」

「はい。私は鑑定持ちの天職を所持していますので問題ないですわ」

「分かった。疑って済まない。(知ってたけど)……これらを頼む、カナ、袋を」

「は、はいなの」


惶真はカナが持っていた革の大きめの袋を受け取ると、袋の中からいくつかの魔物の素材と魔石を取り出す。素材や魔石を受付のテーブルに並べると、テーブルの横で登録用紙に目を向け必要事項を書き始めた。

因みにカナが素材や魔石の入った袋を持っていたのは、カナが「何かお手伝いしたい」と言うので荷物を持ってもらう事にしたのだ。決して惶真から指示したのではない。


書き始めて暫くして、受付から大きな驚きの声が上がった。その声に惶真も、惶真が書いているのを一緒に見ていたマナとカナもビクッとした後、声の主の方に顔を向けた。


「ウソっ!この魔石と牙、それにこの爪。間違いなくダイノボッドのモノじゃないの!?」


その声に遠巻きに興味深い惶真達を窺っていた周囲の冒険者達は驚きの表情を浮かべる。

その驚き様に惶真は、マナに尋ねる。


「こんなに驚かれるなんて、あの恐竜モドキってそんなにすごい奴だったのか?」

「恐竜モドキってダイノボッドのこと?それなら、うん、そうだよ。オウマが化物なだけだよ」

「失礼だな…」


まっ、俺の今のステータスならそう言えるだろうか。

マナは後でおしおき決定だが。


丁度書くとこは全部埋めたので用紙を持って近づいた。


「あ、あなた達、何処で手に入れたの?」

「ん?アルトシア王国とこの町に来る前の森でだが?」

「嘘、そんな近くに!?どのパーティと一緒に倒したの!?」

「ん? パーティって何の事だ?」

「えっ!?…まさか」

「そうだよ。アレを討伐したのは俺だけだよ」


その事実に受付嬢だけでなくギルド内にいた周囲の冒険者達は、特に先程絡んできた連れの男達は青ざめた表情となっていた。

職員のエルフ嬢は、驚愕の声を上げる。


「そんな、まさか…ダイノボッドを1人で討伐するなんて……そうだわ!あなたのクロノカードを見せてくれるかしら?どちらにせよ登録の際に見せてもらうのですし」

「ほい」


惶真は黒いクロノカードを取り出すとエルフ嬢に渡した。今回はステータスの数値を半分くらいにしていた。だが、それでもカードを見てエルフ嬢は驚愕の表情となっていった。そしてエルフ嬢は惶真を見つめる。なんだかその眼はまるで化物を見るような目だなと思った。

と言うか驚いてばっかりだな、コイツ。

まあ、ステータス自体はそれ程いじってないが固有技能“恩恵”だけは消しておいたが…


「……どうしましょうか…登録の際には、模擬試験を受けてもらうのだけど、あなたのレベルに合う冒険者がいないわね。どうしましょうか…」

「模擬試験?」

「えぇ、登録するにはクロノカードのステータスによって上級冒険者に依頼し実力を測るのと、聖堂銀貨50枚を支払って頂くのが一般的なのですけど、正直貴方の相手になるかもしれない者がこの町には1人しかいないの」

「ん?1人いるのか?それってアンタの事か?」

「いいえ、私ではないわ。他の者よ」


今のステータスの半分で勝負になる相手か…興味あるな。

此処まで出逢った奴はどれも雑魚と言えたからだ。惶真がチートなだけだが……

聞いてみたが、その人物は明日にならないと帰って来ないそうだ。

ちょっと残念だ。


「それで?結局どうなの?登録できるのか?と言うか買取は?その辺ハッキリさせて頂けないか?…そろそろ時間なんだ」


勿論、入浴時間のな。ギルドの壁に設置されている時計の様なものが後30分程で入浴時間が来ると示していた。出来ればその間に、服とか買いたいからだ。流石に制服一丁の着た切雀はどうかと思ったのだ。

ここだけに時間を使っていられんのだ。


「分かりました。特例として試験なしで登録とさせて頂きます。実力も先程、あしらった彼(カラム)や、ダイノボッドを単独撃破したのですしいいでしょ。いえ、むしろ登録して頂く方がギルドとしても助かるかしら。取り敢えず登録料の支払いを御願いします」

「それなんだが、買取の査定額の方から引いておいてほしいんだが、手持ちがそんなにないんでな。ついでにこいつ等のも」


手持ちに一応金貨があるのでなんとかなる気がしていたが。


「分かりました。査定額が他のも合わせて金貨30枚なのでそこから聖堂銀貨50枚分とクロノカード再発行分、金貨2枚を引いた額をお渡しいたします」


げっ!?再発行に金貨1枚取られるのか。最悪作成は無理だったな。恐竜モドキさまさまだな。うん、クロノカード大切にしよう。


受付のエルフ嬢は、城で見たのと同じ器材を何もない場所から(正確には右手の指輪)取り出すと、まず俺のクロノカードを穴の開いた部分に差し込んだ。それから10秒程で差し込んだ部分から出てきた。

それを受け取り確認すると確かにクロノカードの職業欄に“冒険者”と記入され、種族の横に冒険者ランク【赤】と記された。


「正直あなたの実力がステータス通りでしたら“銀”ランクでも良いと思いますが決まりですので…私以上なのに”赤“なんてね…」

「いや良いよ。特にランクに拘ってないから」


冒険者の決まり事の説明を受けると、ランクが上がると色々指名されたりと面倒事が増えそうだなと思った。その代わりに色々便宜を図ってもらえるようだが。


そして説明後、マナとカナのクロノカード作成に移った。

先にマナから行った。なんだか緊張の面影だな。水晶球に手を翳すと数秒でカードが出てきた。その次にカナも同様に作成に移る。


マナのクロノカードは紫色で、カナのクロノカードは朱色をしていた。

嬉しそうにクロノカードを眺めている2人から、クロノカードを借りるとすかさず“変性”を使い面倒事になりそうな部分を書き換えておいた。

修正を終えると2人に渡すと大事そうに「ありがと~♪」と感謝の言葉と共に懐の袋に入れた。


そんなこんなで入浴の時間までそれほどないので、そのまま用意された金貨を受け取るとギルドを後にした。


~~~


エルフェリアは今しがた驚かされギルドを出て行った見慣れない服を纏った黒髪黒目の少年と、なんだか訳有りでフードを被っている2人のまだ幼さのある少女達を見て呟いた。


「ふぅ~変わった子達だったわね。それにしても、久方振りに見たわね。あの人以来かしら、あんなでたらめなステータスをしていたのは…明日早速教えてあげないとねぇ~……ん?…アレは、あの人の使い魔?」


=========================

~おまけ情報~

『エルフェリアのステータス』

所有者:エルフェリア・シュルフェリアス 年齢:58 性別:女 レベル:45

職業:ギルド職員/冒険者 種族:エルフ 冒険者ランク:銀

筋力:140

体力:250

耐性:170

俊敏:220

魔力:1070

魔防:580

固有技能:―

『特殊技能』

戦闘系:弓術

魔法系:精霊魔法:空間魔法:魔法適正【水・氷】:魔力回復

補助系:言語理解:封印:能力付加:能力拡張:精霊回廊

天職系:鑑定【魔物鑑定/魔石鑑定/素材鑑定】

=========================

=========================

『ギルドを後にした惶真のステータス』

所有者:此花(このはな)惶真(おうま) 年齢:17 性別:男 レベル:3

職業:冒険者 種族:人間(異世界人) 冒険者ランク:赤 

筋力:1440

体力:1790

耐性:1680

俊敏:1660

魔力:3200

魔防:2440

固有技能:恩恵・固有魔法【変性・変成】

『特殊技能』

戦闘系:剣術:金剛:瞬歩:剛力

魔法系:魔法適正【黒】:耐魔力【全属性】:詠唱破棄:魔力放出:魔力付加:精霊魔法:空間魔法:魔力回復

補助系:言語理解:気配感知:気配遮断:心眼:威圧:封印:能力付加:能力拡張

天職系:鑑定【魔物鑑定/魔石鑑定/食糧鑑定/武器鑑定】

=========================

おまけ…

狸に間違われる青いロボット=ドラ○もん…四次元ポケット

金ぴかの王様=英雄王・ギル…王の財宝


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